[12日 ロイター] -
<為替> 終盤のニューヨーク外為市場ではドルが安定的に推移した。欧米での新型
コロナウイルス感染第2波を受けた投資家の慎重姿勢がコロナワクチンを巡る期待を上回
った。
ニューヨーク時間のドル指数は0.01%高。アジア時間で安値を付けた後、
ロンドン時間ではやや値を戻していた。
米労働省が12日に発表した11月7日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節
調整済み)は、70万9000件と前週から4万8000件減少し、3月以来の水準に改
善した。ただ、ドルへの影響は限られた。
この日は米欧英中銀のパネルディスカッションが開催されたが、新たな手掛かりは乏
しかった。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長と欧州中央銀行(ECB)のラガ
ルド総裁は、コロナワクチンの臨床試験(治験)で良好な結果が出たことを歓迎しながら
も、経済の先行きは不透明なままだと強調した。
バノックバーン・グローバル・フォレックスのチーフ市場ストラテジスト、マーク・
チャンドラー氏は「きょうの資本市場は神経質ながらも落ち着きが見られる」と指摘。価
格が新たな方向性を示しているわけではないが、新型コロナを巡る見通しや中銀の今後の
金利政策、米大統領選の行方などが懸念されていると述べた。
安全通貨である円は対ドルで105.125円に上昇。コロナワクチンを巡
るニュースを受け、今週は約2%下落している。
ユーロは0.2%高の1.1803ドル。
アジア時間に対米ドルで1年8カ月ぶりの高値を付けたニュージーランドドル
はその後売られ、終盤は0.5%安。
カナダドルは対米ドルで0.6%安の1.3140カナダドル。カナダドル
はコロナワクチンを巡るニュースを受け、9日に一時1.2928カナダドルまで上昇し
ていた。
ウェルズ・ファーゴ・セキュリティーズのエリック・ネルソン氏は、カナダ経済は比
較的安定しており、コロナワクチンへの期待を背景とする原油高の恩恵も受けるため、カ
ナダドルは今後数カ月間、堅調に推移するだろうとした。
ポンド/ドルは0.8%安の1.3113ドル。欧州連合(EU)と英国と
の通商協議を巡る懸念が重しとなった。
NY外為市場:
<債券> 米金融・債券市場では国債利回りが低下。新型コロナウイルス感染の世界
的な急増や米国の物価指標が弱かったことで、相場の下支えとなった。
米疾病対策センター(CDC)によると、新型コロナウイルス感染者は12日時点で
14万3408人増加し1031万人超。死者数は1479人増の24万1069人だっ
た。
10月の消費者物価指数(CPI)は前月から横ばいとなり、予想の0.1%上昇を
下回った。食品が緩やかに上昇したが、需給が緩む中でガソリンが下落した。前年比の伸
びは1.2%上昇だった。
この日行われた270億ドルの30年債入札は、全般的に底堅い結果となった。利回
りは1.68%と入札前取引(WI)の水準をやや上回ったものの、応札倍率は2.29
倍で、8月時点から多少上昇した。外国中銀など間接入札者の落札比率も61.9%と、
8月の59.8%を上回った。
FHNフィナンシャルのシニア金利ストラテジスト、ジム・ボーゲル氏は、市場参加
者が多い中で国債相場が値上がりしたと指摘した。
10年債利回りは10ベーシスポイント(bp)強低下し0.884%
。前日はベテランズデーのため休場だった。
エバーコアISI(ニューヨーク)の債券ストラテジスト、スタン・シプリー氏は、
1%の水準が10年債利回りの大きな心理的節目となるものの、「1%を突破するにはも
う少し材料が必要になる。この日のCPIやコロナ感染者の増加も利回りを押し上げるも
のではない」と指摘した。
30年債利回りは1.645%に低下。2年債利回りも0.
176%に低下。2年債と10年債の利回り格差は70bpに縮小した。
米金融・債券市場:
<株式> 米国株式市場は下落して取引を終えた。米国内で新型コロナウイルス感染
者が急増する中、有効なワクチンの大量配布が可能になる時期を巡る懸念が高まった。
米国の1日当たり新規感染者は11日、8日連続で10万人を上回った。
ダウ工業株30種は、景気動向に敏感な工業株や金融株に押し下げられ、30
0ドル超下落した。航空機大手ボーイングは3%安、金融大手ゴールドマン・サッ
クスは1.6安。
新型コロナ流行で大きな打撃を受けている航空会社やクルーズ運航会社の株価も値下
がりした。S&P1500航空株指数は3.1%安、クルーズ運航会社ロイ
ヤル・カリビアン・グループは4%安、カーニバルは約8%急落した。
ベアードの市場ストラテジスト、マイケル・アントネリ氏は「市場は米国で全国的に
新型コロナの感染が急増していることに反応している。ワクチンのニュースは今後のある
時点で支援になるだろうが、今は感染急拡大に直面している」と指摘した。
今週は新型コロナワクチンの臨床試験で効果を示す結果が発表されたことを受け、早
期景気回復への期待が高まっていた。S&P総合500種はこの日の下落でも週初
から約2%上昇している。
米国株式市場:
<金先物> 欧米などでの新型コロナウイルス感染再拡大を背景に安全資産としての
需要が高まり、反発した。中心限月12月物の清算値(終値に相当)は前日比11.70
ドル(0.63%)高の1オンス=1873.30ドル。
米メディアによると、米国内で11日に報告された新型コロナウイルスの新規感染者
は14万5000人を突破し、1日の最多記録を更新。英国でも同日、欧州では初めて死
者が5万人を超え、冬を前に経済活動再開の動きが停滞することへの警戒感が強まった。
また、12日朝に発表された米経済指標は、週間新規失業保険申請件数が4週連続で
減少したものの、依然として70万件超と高止まりしていることが示されたほか、10月
の消費者物価指数(CPI)も全体、コアともに市場予想を下回った。米長期金利の低下
を背景に外国為替市場でドルが対ユーロで軟調に推移する中、金塊は割安感からも買われ
やすかったが、午後に入って米株式相場が下げ足を速めると、金塊への資金流入も鈍り、
上げ幅の一部を縮小した。
NY貴金属:
<米原油先物> 米エネルギー情報局(EIA)の統計で原油在庫の大幅増が示され
たことを嫌気し、4日ぶりに反落した。米国産標準油種WTIの中心限月12月物の清算
値(終値に相当)は前日比0.33ドル(0.8%)安の1バレル=41.12ドルだっ
た。1月物は0.33ドル安の41.41ドルとなった。
EIAが発表した原油在庫は前週比430万バレル増と、市場予想(ロイター通信調
べ)の90万バレル減に反して大幅な増加となった。これを受けて、需給緩和懸念が広が
り、原油は売られた。ただ、ガソリン在庫は230万バレル減、ディスティレート(留出
油)は540万バレル減と、ともに市場予想を大きく上回る取り崩しとなったことで、発
表直後はもみ合う場面もみられた。
国際エネルギー機関(IEA)が12日、新型コロナウイルスのワクチン開発に進展
があったとしても2021年後半までエネルギー消費が急速に回復することはないとの見
通しを示したことも、相場の下押し材料。
NYMEXエネルギー:
ドル/円 NY午後4時 105.13/105.14
始値 105.33
高値 105.38
安値 105.08
ユーロ/ドル NY午後4時 1.1805/1.1809
始値 1.1809
高値 1.1817
安値 1.1788 米東部時間
30年債(指標銘柄) 16時39分 93*24.00 1.6413%
前営業日終値 91*03.50 1.7600%
10年債(指標銘柄) 16時39分 99*30.00 0.8815%
前営業日終値 98*29.38 0.9890%
5年債(指標銘柄) 16時39分 99*09.25 0.3948%
前営業日終値 98*31.00 0.4600%
2年債(指標銘柄) 16時33分 99*28.75 0.1768%
前営業日終値 99*28.25 0.1850% 終値 前日比 %
ダウ工業株30種 29080.17 -317.46 -1.08
前営業日終値 29397.63
ナスダック総合 11709.59 -76.84 -0.65
前営業日終値 11786.43
S&P総合500種 3537.01 -35.65 -1.00
前営業日終値 3572.66 COMEX金 12月限 1873.3 +11.7
前営業日終値 1861.6
COMEX銀 12月限 2430.6 +3.9
前営業日終値 2426.7
北海ブレント 1月限 43.53 ‐0.27
前営業日終値 43.80
米WTI先物 12月限 41.12 ‐0.33
前営業日終値 41.45
CRB商品指数 153.0137 ‐0.6341
前営業日終値 153.6478
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