[31日 ロイター] -
<為替> 2020年の外為市場では、ドルが年間で17年以来の大幅な下落を記録した。米国で新型コロナウイルス感染が拡大した3月には安全資産買いで上昇したが、米連邦準備理事会(FRB)による前例のない刺激策でその後は下落した。
ドル指数は3月に3年ぶり高値となる102.99まで上昇したが、この日は3月高値から12.65%、年間では6.77%安い89.96。
新型コロナウイルスワクチン普及に伴う世界経済見通しの改善、過去最低水準の米金利、FRBの資産買い入れ継続でドルの投資妙味が薄れた。また、追加の財政刺激策や財政・経常赤字の増加が予想され、ドルにとっては今後数年間さらなる逆風になるとみられる。
ユーロは1.2215ドルで、通年では8.97%上昇。30日には18年4月以来の高値となる1.2310ドルを付けた。
オーストラリアドルとニュージーランドドルは31日、18年4月以来の水準まで上昇。豪ドルは一時、0.7743米ドル、NZドルは0.7241米ドルを付け、通年ではそれぞれ9.76%と6.82%上げた。
ドルは対円で103.25円。年初からは4.90%下落した。今月17日には9カ月ぶり安値の102.86円を付けた。
対スウェーデンクローナでは8.2176クローナで、年間で12.09%安となった。
ビットコインはこの日、一時2万9300ドルまで上げ、年初来では300%を超える上昇となった。
英ポンドは1.3656ドルで、通年では2.98%上昇。この日は18年5月以来となる1.3686ドルまで上げた。
ドルは対カナダドルで年間1.79%下落。この日は1米ドル=1.2755カナダドルだった。
<債券> 国債利回りが低下し、イールドカーブがフラット化した。年内最後で短縮取引となる中、全般的に薄商いだったことから振れが大きくなった。
経済指標では、週間の新規失業保険申請件数が78万7000件と、前週の80万6000件から減少。ただ、新型コロナウイルス危機の収束が見えない中、申請件数は高止まりが続いた。
10年債利回りは1ベーシスポイント(bp)低下し0.917%。2年債利回りとの利回り格差は79.2bpと1週間ぶりの水準に縮小した。30年債利回りは1.6bp低下の1.646%。
長期債利回りはコロナ禍の影響で3月に過去最低水準を付けたが、その後は戻す動きが続いた。最近ではコロナワクチンの展開に伴う景気回復期待が利回りの伸びを後押しした。
通年では10年債利回りが100bp低下、30年債利回りは74bp低下。2年債利回りは144bp低下した。2年債と10年債の利回り格差は44.8bp拡大した。
来年は経済指標が改善した場合、長期債利回りの上昇傾向が継続する可能性もある。
<株式> 年内最後の取引となる中、ダウ工業株30種とS&P総合500種指数が最高値を更新。年間ではハイテク株の多いナスダック総合指数が43%強値上がりした。
新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるため導入された都市封鎖(ロックダウン)が経済に大打撃をもたらす中、株価は3月に急落したものの、その後はじりじりと持ち直す展開が続いた。S&P500は3月下旬に付けた安値から66%強上昇。年間では約16%伸びた。ダウ平均は約7%高。ナスダックの伸びは2009年以降で最大となった。
ハーベスト・ボラティリティー・マネジメントの調査・トレーディング部長、マイク・ジグモント氏は「実社会では気が狂いそうだったが、それでも今年の株式相場は強気の年となった」とした上で、コロナ禍をきっかけに世界が一変し、勝ち組と負け組の選別が一層進んだと指摘した。
業種別ではハイテクや一般消費財の伸びが目立つ一方、過去10年間出遅れているエネルギーが引き続き最もさえなかった。
個別銘柄では、ネット通販大手アマゾン・ドットコムやアップル、手作り品などの売買サイトを運営するエッツィー、オンライン決済サービスのペイパルなどが相場のけん引役となった。
今月21日にS&P500に採用された電気自動車(EV)メーカーのテスラは年間で743%急騰した。
経済指標では、週間の新規失業保険申請件数が78万7000件と、前週の80万6000件から減少。ただ、新型コロナウイルス危機の収束が見えない中、申請件数は高止まりが続いた。
市場は、1月5日に行われるジョージア州での上院議員決選投票に関心が集まっている。ジョージア州によると、有権者280万人超が郵便投票を含む期日前投票を済ませた。前回2008年に行われた上院選投票者数の210万人を上回っており、投票者数は過去最多となる見通し。同州の決選投票を巡っては、次期政権与党となる民主党が2議席とも確保すれば、民主党が上下両院を実質支配することになるため、注目される。
<金先物> 年内最後の営業日で商いが細る中、3日続伸した。中心限月2月物の清算値は前日比1.70ドル(0.09%)高の1オンス=1895.10ドル。年間では372ドル(24.4%)上昇し、米メディアによると、これは2010年以来10年ぶりの大きさという。
未明にかけての外国為替市場でドルがユーロに対して弱含み、ドル建てで取引される金塊は割安感から買われやすかった。米労働省が朝方発表した週間新規失業保険申請件数は2週連続で改善し、市場予想に比べて少ない水準にとどまったものの、年末で市場参加者も少なく、相場は小動きに推移した。
今年は新型コロナウイルスの流行を受け、安全資産としての金塊需要が増大。世界的な 金融緩和や大規模な財政出動の流れが強まる中、将来的なインフレ高進を見込んだ買いも 加わり、8月には史上初めて2000ドルの節目を突破した。
<米原油先物> 3日続伸した。米国産標準油種WTIの中心限月2月物の清算値は前日比0.12ドル(0.25%)高の1バレル=48.52ドルだった。3月物は0.1 3ドル高の48.63ドルとなった。年間では20.5%の下落となった。
米追加経済対策成立や新型コロナワクチンの普及による経済正常化が期待される中、米株式相場が午後にかけて上昇。投資家のリスク回避姿勢が後退する中で、リスク資産とされる原油にも買いが入った。また、前日に発表された米エネルギー情報局(EIA)の週 間原油在庫統計で市場予想を上回る取り崩しが示されたことも、相場を支えた。
ただ、外国為替市場では対ユーロでドル高が進行。ドル建てで取引される原油などの商品の割高感につながり、原油の上値は抑えられた。年末年始に休暇を取る市場参加者が多く、薄商いだった。
ドル/円 NY終値 103.24/103.27
始値 103.05
高値 103.31
安値 103.01
ユーロ/ドル NY終値 1.2213/1.2217
始値 1.2273
高値 1.2287
安値 1.2211
米東部時間
30年債(指標銘柄) 14時05分 99*16.00 1.6462%
前営業日終値 99*04.00 1.6620%
10年債(指標銘柄) 14時05分 99*19.50 0.9165%
前営業日終値 99*16.50 0.9260%
5年債(指標銘柄) 14時05分 100*02.25 0.3608%
前営業日終値 100*00.75 0.3700%
2年債(指標銘柄) 13時10分 100*00.13 0.1230%
前営業日終値 99*31.88 0.1270%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 30606.48 +196.92 +0.65
前営業日終値 30409.56
ナスダック総合 12888.28 +18.28 +0.14
前営業日終値 12870.00
S&P総合500種 3756.07 +24.03 +0.64
前営業日終値 3732.04
COMEX金 2月限 1895.1 +1.7
前営業日終値 1893.4
COMEX銀 3月限 2641.2 ‐16.1
前営業日終値 2657.3
北海ブレント 3月限 51.80 +0.17
前営業日終値 51.63
米WTI先物 2月限 48.52 +0.12
前営業日終値 48.40
CRB商品指数 167.7969 +1.1178
前営業日終値 166.6791
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