[ 23日 ロイター] - <為替> ドルが全面的に上昇した。欧米での利上げが世界経済の後退につながると の懸念が強まる中、リスク回避の動きが強まり、ユーロ/ドルが再びパリティ割れとなっ た。 ドル指数は0.8%上昇し109.02と5週間超ぶりの高値を付けた。 キャクストンのマーケットインテリジェンス部門責任者、マイケル・ブラウン氏は「 先週の連邦準備理事会(FRB)メンバーの発言を受けハト派に傾くことはないと市場が 判断し、リスクが取り除かれた」と指摘。「パウエルFRB議長が26日に経済シンポジ ウム(ジャクソンホール会議)で比較的タカ派的なメッセージを出すと予想されている中 、リスク回避とタカ派的なFRBがドル高につながっている」と述べた。 ユーロは下落。ロシア国営ガスプロムは19日、欧州に天然ガスを送る主 要パイプライン「ノルドストリーム1」について、圧縮機の点検のため8月31日から9 月2日までガス供給を停止すると発表したことを受けた。 ユーロは対ドルで7月14日以来となるパリティ割れとなった。終盤は1 .1%安の0.99345ドル。 ブラウン氏は、7月14日に付けた安値0.9950ドルが重要な水準で、それを下 回れば、ECBによる政策引き締めの窓が急速に閉ざされる中で、一段と下げる可能性が あるとした。 中国人民元は約2年ぶりの安値を付けた。中国人民銀行(中央銀行)は22日、銀行 貸出金利の指標となる最優遇貸出金利(ローンプライムレート、LPR)を引き下げた。 オフショア人民元は対ドルで0.54%安の6.869元。 ポンドは0.64%安の1.17565ドル。7月中旬に付けた2年半ぶり安 値の1.17435ドルに接近した。 暗号資産(仮想通貨)のビットコインは約2.52%安の2万0972ドル。市場全 般のリスク回避が影響した。 NY外為市場: <債券> 国債利回りが上昇。パウエルFRB議長が26日にジャクソンホールで予 定する講演では、インフレ抑制に向けたコミットメントを再表明すると予想されている。 また、週内に実施される総額1260億ドルの短期ゾーンの入札を控えた売りも、利 回り上昇に拍車をかけたことが指摘された。 22日に金利先物市場に織り込まれた9月の連邦公開市場委員会(FOMC)での0 .50%利上げの確率は54.5%となっている。 終盤の取引で、10年債利回りは4.6ベーシスポイント(bp)上昇 し3.035%。一時5週間ぶりの高水準となる3.039%を付けた。 30年債利回りは1.6bp上昇の3.241%。一時、7週間ぶりの 水準となる3.268%に上昇した。 2年債利回りは7bp上昇の3.335%。 2年債と10年債の利回り格差はマイナス30.4bpと、長短国債 利回りが逆転する「逆イールド」が続いた。 物価連動国債(TIPS)と通常の国債の利回り差で、期待インフ レを示すブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は、5年物が2.83 20%と、6月半ばの水準から約44bp低下している。 米金融・債券市場: <株式> 大幅続落して取引を終えた。今週、米ワイオミング州ジャクソンホールで 開催される経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)で、米連邦準備理事会(FRB) がインフレ抑止に向け強いコミットメントを表明するとみられることが懸念材料となった 。 S&P総合500種の全11セクターが下落し、一般消費財や情報 技術が下げを主導した。 米10年債利回りが約5週間ぶりの水準に上昇する中、ハイテク株や他の高成長株が 売られ、エヌビディアが4.6%安、アマゾン・ドット・コムが3.6 %安。マイクロソフトとアップルも2%超下落した。 市場はパウエルFRB議長がジャクソンホール会議で26日に行う講演で今後の利上 げペースについて新たな手掛かりを示すか注目している。 インフラストラクチャー・キャピタル・マネジメントのジェイ・ハトフィールド最高 投資責任者は「パウエル議長はインフレ期待を抑制して金融状況を引き締めるためタカ派 的なトーンを打ち出そうとする見通しで、市場にとってはネガティブとなる可能性が高い 」と述べた。 景気減速を巡る懸念は各国市場で広がっている。中国人民銀行(中央銀行)は22日 、景気下支えに向けて銀行貸出金利の指標となる最優遇貸出金利(ローンプライムレート 、LPR)を引き下げた。 ロシア産ガス供給の逼迫懸念などから欧州株が下落したことも、米株市場の地合いを 圧迫した。 米国株式市場: <金先物> FRBによる利上げペース加速への警戒感が広がる中、6営業日続落し た。中心限月12月物の清算値(終値に相当)は前週末比14.50ドル(0.82%) 安の1オンス=1748.40ドルとなり、約1カ月ぶりの安値。 NY貴金属: <米原油先物> 4営業日ぶりに反落。需要鈍化への懸念から売りが先行したものの 、有力産油国による減産への思惑から下げ幅をあと縮小。米国産標準油種WTIの中心限 月9月物の清算値(終値に相当)は、前週末比0.54ドル(0.59%)安の1バレル =90.23ドルとなった。10月物は0.08ドル安の90.36ドル。 積極的な米利上げ継続による景気後退懸念に加え、中国南西部を中心とした熱波対策 の計画停電で、世界的にエネルギー需要が鈍化するとの見方が投資家心理を圧迫。外国為 替市場でユーロの対ドル相場が再びパリティー(等価)割れとなり、ドル建てで取引され る原油先物の割高感が強まったことも重しとなり、9月物は朝方に一時86.60ドルの 安値を付けた。 しかし、石油輸出国機構(OPEC)の盟主、サウジアラビアのエネルギー相が減産 を示唆したとの報道が伝わると、流れは反転。買い戻しが活発化し、午後には90ドルの 節目を回復した。エネルギー相は米メディアとのインタビューで、「机上と実際の市場に 乖離(かいり)が生じている」とし、足元で産油量を小幅に増やしつつある「OPECプ ラス」が課題に対処するため、「いつでもさまざまな形式で」減産を行う選択肢もあると 述べた。 NYMEXエネルギー: ドル/円 NY終値 137.47/137.50 始値 137.03 高値 137.64 安値 136.90 ユーロ/ドル NY終 0.9941/0.9944 値 始値 1.0009 高値 1.0013 安値 0.9927 米東部時間 30年債(指標銘柄) 17時05分 95*18.50 3.2314% 前営業日終値 95*22.00 3.2250% 10年債(指標銘柄) 17時05分 97*21.00 3.0238% 前営業日終値 97*30.50 2.9890% 5年債(指標銘柄) 17時05分 98*03.75 3.1646% 前営業日終値 98*11.00 3.1140% 2年債(指標銘柄) 17時05分 99*13.13 3.3161% 前営業日終値 99*16.13 3.2650% 終値 前日比 % ダウ工業株30種 33063.61 -643.13 -1.91 前営業日終値 33706.74 ナスダック総合 12381.57 -323.64 -2.55 前営業日終値 12705.22 S&P総合500種 4137.99 -90.49 -2.14 前営業日終値 4228.48 COMEX金 12月限 1748.4 ‐14.5 前営業日終値 1762.9 COMEX銀 9月限 1887.8 ‐19.1 前営業日終値 1906.9 北海ブレント 10月限 96.48 ‐0.24 前営業日終値 96.72 米WTI先物 10月限 90.36 ‐0.08 前営業日終値 90.44 CRB商品指数 292.8336 +0.8057 前営業日終値 292.0279 (
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