[ニューヨーク 10日 ロイター] - 米国株式市場は反落して取引を終えた。2月の消費者物価指数(CPI)が約40年ぶりの高い伸びとなり、米連邦準備理事会(FRB)が来週の政策会合で利上げを決定するとの見方が一段と強まった。
ロシアのウクライナ侵攻を巡る不透明感も、売り再開につながった。
ただ主要株価3指数はいずれも、日中安値からは大きく切り返す展開だった。
キングスビュー・アセット・マネジメントのポートフォリオマネジャー、ポール・ノルテ氏は、株式市場の日々の変動は「経済ニュースよりも地政学的なニュースに左右されている」と指摘した。
米労働省が10日に発表した2月のCPI(季節調整済み)は前年同月比7.9%上昇し、1982年1月以来約40年ぶりの高い伸びとなった。
ノルテ氏は「(CPIは)予想から大きく外れてはいない」とし、「今後1─2カ月にはコモディティー(商品)価格の値上がり分が一部織り込まれるため、さらに上昇するだろう」と述べた。
市場は、FRBが来週の連邦公開市場委員会(FOMC)で25ベーシスポイント(bp)の利上げを決定することをほぼ確実視しているが、CPI統計を受け、パウエル議長が先週述べたようにインフレ抑制に向けて年内に「より積極的」な対応が取られる可能性がある。
ノルテ氏は「FRBは景気過熱を抑制するため、今後1─2年の間に4─7回の利上げを実施すると依然予想されている」とした上で、「複雑なのは、これほどイールドカーブが平坦でボラティリティーが高い状況下での利上げはこれまでにないことだ」とし、「市場が混乱している時に利上げをしようとしている」と指摘した。
ウクライナのクレバ外相とロシアのラブロフ外相は10日、トルコで会談したが、停戦の達成で進展はなかった。
アマゾン・ドット・コムは5.4%上昇。1対20の普通株の分割と最大100億ドルの自社株買いを取締役会が承認したと発表した。
S&P総合500種の主要11セクターでは6セクターが下落。情報技術の下げが最大だった。一方、エネルギーは最大の上げとなった。
テクノロジー関連の大型株で構成される「NYSE FANG+(ファングプラス)指数」は2.1%安。
ロシア事業を閉鎖すると発表した金融大手ゴールドマン・サックスは1.1%下落。ロシアによるウクライナ侵攻を受け西側諸国が導入した制裁措置で事業環境が厳しくなる中、米大手金融機関として初めて撤退を表明した。
S&P銀行指数は1.0%安。
ソフトウエア大手・オラクルは引け後に発表した決算を受け、時間外取引で6%近く下落した。
ニューヨーク証券取引所では、値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を1.62対1の比率で上回った。ナスダックでも1.72対1で値下がり銘柄数が多かった。
米取引所の合算出来高は125億株。直近20営業日の平均は136億5000万株だった。
*内容を追加しました
終値 前日比 % 始値 高値 安値 コード
ダウ工業株30種 33174.07 -112.18 -0.34 33106.77 33236.59 32819.76
前営業日終値 33286.25
ナスダック総合 13129.96 -125.58 -0.95 13098.35 13163.50 12946.28
前営業日終値 13255.55
S&P総合500種 4259.52 -18.36 -0.43 4252.55 4268.28 4209.80
前営業日終値 4277.88
ダウ輸送株20種 15322.05 +179.27 +1.18
ダウ公共株15種 981.54 +7.41 +0.76
フィラデルフィア半導体 3211.07 -71.11 -2.17
VIX指数 30.23 -2.22 -6.84
S&P一般消費財 1339.59 +15.36 +1.16
S&P素材 516.35 +0.93 +0.18
S&P工業 832.65 -1.00 -0.12
S&P主要消費財 753.27 -6.80 -0.89
S&P金融 608.28 -4.90 -0.80
S&P不動産 289.38 +1.03 +0.36
S&Pエネルギー 585.53 +17.43 +3.07
S&Pヘルスケア 1511.86 -0.43 -0.03
S&P通信サービス 223.80 -1.69 -0.75
S&P情報技術 2570.38 -45.94 -1.76
S&P公益事業 357.03 +2.57 +0.73
NYSE出来高 10.85億株
シカゴ日経先物6月限 ドル建て 25125 - 375 大阪比
シカゴ日経先物6月限 円建て 25060 - 440 大阪比
私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」