[11日 ロイター] - 米国株式市場は上昇して取引を終えた。ナスダック総合の上げが目立った。上院銀行委員会で開かれたパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の再任指名に関する公聴会で、大きなサプライズがなかったことから安心感が広がった。
パウエル議長は公聴会で証言し、FRBには高インフレが「定着」しないことを確実にする決意があると表明。金融政策引き締めは堅調な雇用市場を損なわず、むしろ経済成長を維持するために必要という見解を示した。
金利動向に敏感な情報技術セクターは一時、約1%下落していたが切り返した。
TDアメリトレードのトレーダー戦略部シニアマネジャー、ショーン・クルーズ氏は、パウエル氏の議会証言を受け、FRBがインフレ抑制を何よりも優先することはないという安心感につながったとの見方を示した。
当初の懸念はFRBが景気回復のペースを狂わせてしまうことだったが、この日の議会証言では議長が経済への影響に配慮せず、単にインフレを抑制しようとしているわけではないことが示されたと語った。
また、投資家が注目する12日発表の消費者物価指数(CPI)については前年比7%上昇がコンセンサス予想で、すでに高い数字が織り込まれていると指摘した。
S&P総合500種は前日までの5営業日続落に終止符を打った。ナスダックは続伸し、年初来最大の上昇率を記録した。
S&P主要11セクターでは8セクターが上昇。情報技術、一般消費財、通信サービスが上げを主導した。原油価格の上昇を背景にエネルギーも3.4%高となった。
個別銘柄ではIBMが1.6%下落。UBSが投資判断を「セル」に引き下げたほか、目標株価も下方修正した。
製薬大手モデルナは前日に9%超値上がりしていたが、この日は5.3%下落。ファイザーの新型コロナウイルスワクチン開発パートナー、独ビオンテックも6.2%値下がりした。
世界保健機関(WHO)の技術諮問グループは11日、新型コロナワクチンについて、オミクロン株のような新たな変異株に対応するよう改良することが必要となる可能性があるという認識を示した。
ファイザーは0.8%高で引けた。同社は、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)終息後に営業担当者と医師やその他の医療従事者の対面でのやりとりが少なくなる見込みであることから、米国内のセールススタッフを削減する方針を発表した。
カジノ運営大手ラスベガス・サンズは6.6%上昇。JPモルガンが投資判断を「オーバーウエート」に引き上げた。
ニューヨーク証券取引所では、値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を3.05対1の比率で上回った。ナスダックでは2.23対1で値上がり銘柄数が多かった。
米取引所の合算出来高は105億8000万株。直近20営業日の平均は105億5000万株。
終値 前日比 % 始値 高値 安値 コード
ダウ工業株30種 36252.02 +183.15 +0.51 36058.85 36271.47 35769.38
前営業日終値 36068.87
ナスダック総合 15153.45 +210.62 +1.41 14919.26 15158.71 14837.64
前営業日終値 14942.83
S&P総合500種 4713.07 +42.78 +0.92 4669.14 4714.13 4638.27
前営業日終値 4670.29
ダウ輸送株20種 15990.86 -27.72 -0.17
ダウ公共株15種 952.74 -9.92 -1.03
フィラデルフィア半導体 3875.44 +70.06 +1.84
VIX指数 18.41 -0.99 -5.10
S&P一般消費財 1575.82 +16.14 +1.03
S&P素材 561.78 +6.18 +1.11
S&P工業 896.03 +5.64 +0.63
S&P主要消費財 800.62 -1.15 -0.14
S&P金融 688.57 +5.71 +0.84
S&P不動産 306.38 -0.49 -0.16
S&Pエネルギー 482.24 +15.92 +3.41
S&Pヘルスケア 1595.84 +12.05 +0.76
S&P通信サービス 263.02 +2.66 +1.02
S&P情報技術 2950.30 +35.30 +1.21
S&P公益事業 352.29 -3.27 -0.92
NYSE出来高 9.17億株
シカゴ日経先物3月限 ドル建て 28490 + 340 大阪比
シカゴ日経先物3月限 円建て 28455 + 305 大阪比
私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」