[ニューヨーク 21日 ロイター] - 米ニューヨークでは騒音が多くの苦情の対象となるなど、市民に不快感をもたらしているが、近海で最近発見された絶滅危惧種のクジラにも悪影響を与える可能性が懸念されている。
米ウッズホール海洋学研究所と野生動物保護協会(WCS)が昨年ニューヨーク沿岸の海中に設置した水中モニターでは、世界に450頭しか生息せず絶滅が危惧されているタイセイヨウセミクジラなど、音声信号による歌を使って餌やパートナーを探す種が複数観察された。
国のデータによると、3月以降空中から行った観察では、セミクジラ8頭、マッコウクジラ4頭、ナガスクジラ21頭、ザトウクジラ15頭を含む61頭のクジラ類を発見。上級科学者のハワード・ローゼンバウム氏は、WCSのチームが先週、ロッカウェイのビーチから500メートル以内の近海で複数のザトウクジラを発見したと述べた。
ウッズホールのマーク・バウムガートナー氏は「クジラは音を使っており、それは彼らにとって最も重要な感覚だ」と述べた。
ニューヨーク・ニュージャージー港付近におけるクジラの死因の多くは船舶との衝突だが、研究者らは人間が発する騒音の影響も懸念している。
バウムガートナー氏は、船舶その他の騒音を騒々しいカクテルパーティーに例え、音が聞こえなくなると指摘。「クジラたちは、仲間とつながったりパートナーと結ばれる機会を奪われている」と述べた。
ニューヨークは、車のクラクションを伴う騒音や地下鉄の音、絶えず行われている再開発の音など、人間にとってもうるさい環境。2016年に市に寄せられた苦情の第1位が騒音だったという。
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