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コラム

コラム:NY証取の迷走、トランプ対中制裁の混乱を象徴

[サンフランシスコ 6日 ロイター BREAKINGVIEWS] - ニューヨーク証券取引所は、中国企業の上場廃止問題で迷走した。中国に対する米国の締め付けがいかに混乱しているかを象徴する動きだ。ニューヨーク証取は中国政府が後ろ盾となっている同国の通信大手3社を巡り、1週間に2度も判断を変え、結局、上場廃止を再決定した。中国に実効的な制限をかけるには、糾弾の言葉を浴びせれば済むわけではないことを示すのは、この騒動の例にとどまらない。

 1月6日、ニューヨーク証券取引所は、中国企業の上場廃止問題で迷走した。ニューヨーク証券取引所前で2020年11月撮影(2021年 ロイター/Brendan McDermid)

ニューヨーク証取は昨年12月31日、トランプ大統領の11月の大統領令に従うと発表した。大統領令は中国の軍を支援していると見なした中国企業への、米国からの投資を禁止する内容だった。

ところが、今月4日になると証取は方針を撤回し、中国移動通信(チャイナモバイル)、中国電信(チャイナテレコム)、中国聯通(チャイナユニコム)の3社の上場維持を認めると発表した。

米財務省のガイダンスによれば、大統領令は子会社には適用されないという理由だった。しかし、結局は同証取が財務省から新しい指示を受け取ったとして再び決定を翻した。

今回の出来事は、性急であいまいだったトランプ政権の命令が引き起こす「どたばた劇」の最新事例でしかない。5日にはトランプ氏は中国電子商取引・アリババグループ傘下の金融会社、アント・グループが運営する電子決済サービス「アリペイ」など、8つの中国アプリとの取引を禁止した。

商務省が極めて迅速に動かなければ、禁止措置は45日以内、つまりバイデン次期大統領が20日に就任した後にようやく発効する可能性がある。バイデン政権になる前に発効させたとしても、法的措置に訴えられるのは必至だ。

ほかにも、拙速に試みられた禁止措置は訴訟でつまずいている。トランプ氏は昨年8月、中国系の動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」や対話アプリ「微信(ウィーチャット)」を事実上禁止する大統領令に署名した。その後、米裁判所はホワイトハウスが行き過ぎているとして、これを差し止めた。米政府は上訴している。

その一方で、ティックトック株式の20%の米オラクルと米ウォルマートへの売却は宙に浮いたまま、まるで忘れ去られている。トランプ氏はいったん売却を認めると示唆したものの、その後は及び腰だ。同氏はティックトックの米国事業の全売却を要求し、米国の安全保障上の懸念を理由に挙げていた。

バイデン氏に教訓になるのは、取引を禁止したり制裁を課したりすることは強硬な物言いや、ささっと署名するだけでは進まないということだ。骨の折れる法的、技術的作業が必要になるのだ。

企業や投資家は、トランプ氏の下での米中関係の緊張の間で捕らわれた状態になった。それはバイデン氏が大統領に就任しても解消しないだろう。ただ、導入するルールが何であれ、それは透明であることが不可欠だ。ニューヨーク証取の「二転三転」がその理由を物語っている。

●背景となるニュース

*ニューヨーク証券取引所は6日、中国移動通信(チャイナモバイル)、中国電信(チャイナテレコム)、中国聯通(チャイナユニコム)3社を11日付で上場廃止にすると発表した。米財務省から新しい指示を受け取ったと説明した。

*トランプ米大統領は昨年11月、中国の軍とつながりがあると米政府が見なした上場企業への米国の投資を禁止する大統領令を出していた。

*証取は12月31日に3社の上場廃止を発表。1月4日に撤回し、その後最終的に上場廃止を再決定した。

*これと別にトランプ氏は5日、中国の金融会社アント・グループが運営する電子決済サービス「アリペイ」など8つの中国アプリとの取引を禁止する大統領令に署名した。具体的な取引の対象を定めるのは商務省に委ねられている。発効するとしても45日以内になる。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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