April 28, 2014 / 6:44 AM / 5 years ago

コラム:米国のアジア戦略に必要な「3カ条」

[25日 ロイター] - By Ali Wyne

 4月25日、オバマ大統領とその先の米政権が、アジア太平洋地域へのリバランスを推し進めるのに重要な点が少なくとも3つある。写真は韓国ソウルで記者会見に臨むオバマ大統領(2014年 ロイター/Kim Hong-Ji)

日本を皮切りに韓国、マレーシア、フィリピンを歴訪しているオバマ米大統領は、各国首脳に対し、外交政策の軸足をアジア太平洋地域に移す「リバランス(再均衡)」重視の姿勢をアピールしている。

オバマ大統領は1期目就任に当たり、米国はイラクやアフガニスタン戦争をはじめ、中東政策に過剰に予算をつぎ込んだとの認識を持っていた。

そして、2011年10月、クリントン国務長官(当時)が両戦争の規模縮小を説明し、米国はアジア太平洋地域に軸足を移すべきだと強調した。翌年1月には、国防総省がクリントン氏の発言を正式な政策として掲げ、米国はその地域に必然的に「リバランス」していくとした。

ただ、それ以降、国外での相次ぐ危機や国内政治状況の変化によって、その取り組みは試されることになった。シリアが内戦状態に陥ったことで、オバマ政権は中東に再び軸足を戻すか、少なくとも中東とアジア太平洋地域を同等に重視すべきとの圧力を受けた。

直近では、ロシアによるウクライナ侵攻を防ぐため、米国は欧州各国との協力に注力している。また、クリントン氏やカート・キャンベル元米国務次官補ら、リバランス政策を作り上げてきた高官が政権を離れたことで、アジアの同盟国は将来に疑問を感じるようになった。

しかし、米国はそういった懸念を和らげ、あらためてリバランス重視の姿勢を見せることが重要だ。リバランスとは、中東問題に背を向けることではなく、世界の中心がアジア太平洋に移っている現実を反映するものだ。

オバマ大統領とその先の米政権が、リバランスを推し進めるのに重要な点が少なくとも3つある。

1.アジア太平洋地域は他の危機にかかわらず優先されるべき

第二次世界大戦以降、米外交政策の大きな課題は、日々の危機管理に追われることで、大きな地政学的変化への対応が犠牲にならないようにすることだった。

米国も外交資源には限りがあるため、特定の国や地域、脅威を優先しなければならない。

アジア太平洋地域は現在、世界の軍事費の24%を占め、世界の人口の33%を占めており、これらの数字は増え続けるとみられる。さまざまな危機が繰り返される一方で、同地域は重要な場所であり続けるだろう。

もし、米国が他の地域の火消しに追われれば、世界秩序に最も大きな影響を与えるであろう太平洋地域の未来を形作る機会を逸することになる。

2.リバランスは中国だけでなく地域全体を含めるべき

米政権がリバランス政策を決定する上で、中国の台頭は、いい意味で重要な要素となった。アジアにおけるパートナーシップ、特に長年にわたる日本と韓国との同盟関係は、米国の影響力を弱めたい中国の意向に対抗するために必要である。また、中国に領土問題を力ずくで解決させないためにも必要不可欠だ。

ただ、アジアでの米国の指導力を再び高めるためにすべきことには、中国の台頭とほとんど関係ないことも含まれている。

過去数年間に行われたものとしては、テロ対策でのインドネシアとの連携や、 海賊や気候変動対策でのインドとの協力などがある。また、昨年の台風30号で甚大な被害を受けたフィリピンを支援したこともその一例だ。中国の近隣諸国は、米国が中国の影響力をコントロールするためにそのようなことを行っているとは思わないだろう。

3.米国は中国封じ込めではなく、アジア太平洋地域での利益拡大に注力すべき

米中関係は、他のどんな要素にも増して、アジア太平洋地域の将来を形作る。両国は最近の外交進展を歓迎し、「新しいタイプの関係」構築の必要性を認識している一方、衝突も続けている。

米国は、中国が一方的に地図上に引いた境界線(九段線)の正当性を認めず、領土問題については国際法に則って解決するよう求めている。さらに、中国の隣国との外交・軍事関係を強化している。ただ、両国間の不和は誇張されるべきではない。米国は中国を封じ込めようとはしていない。

  実際、他のどの国よりも米国は、中国の外交的孤立に終止符を打つ責任を背負ってきた。また、中国の世界経済への参加を促進させたのも米国で、過去35年間の急成長を支えた礎を作った。現在、米国は公海を守る中心的な役割を担っており、中国はそうした海路を通じて必要不可欠な資源を輸入している。

米国は中国との関係強化を続けなければいけない。中国は米国債の最大の保有者であると同時に、米国にとって2番目の貿易相手国であり、3番目に大きい輸出市場でもある。

また米国の大学では、留学生全体の29%を中国人学生が占めており、出身国別では最も多い。そのうちの何人かは、20─30年後に中国の最高指導部に入るかもしれない。米国は気候変動や核拡散など、世界が抱える問題の解決に中国の支援を必要としている。

米国は、中国が抱く懸念を払拭するための努力が必要だ。例えば、中国に環太平洋連携協定(TPP)への参加を促し、中国とその隣国との間で、貿易協定を結ぶよう働き掛けるべきだ。その上で、中国を封じ込めようとする隣国の動きを拒み、長期的な戦略的パートナーとして米国か中国かを「選択」させるようなことは慎むべきだ。

しかし、信頼の構築は、双方向で行われるものだ。米中は経済の相互依存度を高める措置を取るべきであり、それが争いを抑える方向にもつながる。

また、両国間の緊張を和らげるため、小さくても持続的なステップを踏まなければならない。

世界中で起こる危機が米国の対応を求め続ける以上、アジア太平洋地域へのリバランスは試練が続くだろう。しかし、アジア太平洋地域の変化を外交政策の中心に据えれば、米国は世界秩序を形作る大きな機会を得ることになるだろう。

*筆者は地政学的問題の調査を手掛けるコンサルティング会社ウィキストラットに寄稿するアナリスト。著書に「リー・クアンユー、世界を語る」など。

*本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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*冒頭に筆者名を入れて再送しました。

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