[23日 ロイター] - 米下院は23日、医療保険制度改革(オバマケア)代替法案の採決の延期を決定した。採決の行方を見守っていた金融市場は、比較的落ち着いた反応。ただ、トランプ政権が他の政策を実行に移せるか、依然として不安はくすぶっている。
●オバマケア代替案可決になお期待感
<コモンウェルス・フォーリン・エクスチェンジの首席市場アナリスト、オマー・エシナー氏>
(オバマケア代替法案の採決延期を受けた)市場の反応は予想外に小さかった。これは、何らかの交渉がなお続いていて、意見調整のための時間的猶予が与えられたとの希望を市場が抱いていることを示唆している。
報道は法案可決の望みが急速に消えつつあることを示唆しているかもしれないが、市場の反応が薄かったことは、まだ合意への期待があるということだ。
●共和党内の対立、成長支援策の行方に懸念
<アリアンツの首席経済アドバイザー、モハメド・エラリアン氏>
共和党内の意見対立が土壇場になっても続いていることで、ホワイトハウスが今後議会に提出予定の税制改革などの成長支援策の行方を巡る懸念が強まるだろう。
●税制改革に暗雲、事態収拾まで様子見
<エバーコアISI(ニューヨーク)の債券戦略責任者スタン・シプリー氏>
オバマケア代替法案の採決によって資本市場は凍結してしまっている。取引は減り、だれもポジションを取ろうとしない。今回のことは、株式や債券にとって非常に重要な税制改革の見通しを確実に変える。イースター休会まで時間がある。それまでに採決できなければ問題だ。
ここ(オバマケア代替法案の採決)でゴタゴタしていて、税制改革がどう成し遂げるのか、と思う。代替法案が最終的なものとは誰も考えていない。事態が収拾するまで投資家は様子見せざるを得ない。
●採決前の不透明感、延期は懸念せず
<FUNDXインベストメント・グループの最高投資責任者(CIO)、ジェイソン・ブラウン氏>
選挙前や米連邦公開市場委員会(FOMC)前と同様の不透明感だ。採決が延期になったことを誰もが懸念しているか。個人的にはしていない。答えを得るためにもう1日待たなければならないだけだ。結果が出ればインプライド・ボラティリティは低下する。
医療保険制度改革(オバマケア)代替法案を通過させることができないならば、トランプ大統領は他の法案も成立させられない、という指摘はやや的外れだ。
一部の税制改革やインフラ投資に関してはこれほどの反対は出ないだろう。オバマケア代替法案を優先したのはそのためかもしれない。
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