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アングル:オバマケアに暗雲、ユナイテッドヘルスが撤退表明

[ニューヨーク 19日 ロイター] - 米医療保険最大手ユナイテッドヘルス・グループUNH.Nが19日、医療保険改革法(通称オバマケア)で導入された個人医療保険市場から来年、ほぼ全面撤退すると表明した。これにより消費者の選択肢は狭まり、この事業で赤字を出しているライバル各社は保険料を引き上げそうだ。

 4月19日、米医療保険最大手ユナイテッドヘルス・グループが医療保険改革法(通称オバマケア)で導入された個人医療保険市場から来年、ほぼ全面撤退すると表明した。写真は医療関連のパネルディスカッションに参加したオバマ大統領。ホワイトハウスで2月撮影(2016年 ロイター/Carlos Barria)

専門家によると、ユナイテッドを含む数社しか同市場に参入していない州では特にそうした影響が大きそうだ。

もっともアンセムANTM.N、エトナAET.Nの米大手医療保険2社は現在、同業他社の買収について当局の認可を待っている最中で、市場から大きく手を引く可能性は小さいという。

両社の広報は19日、コメントを避けた。

ユナイテッドはオバマケア関連保険最大手の一角で、今年は34州で提供している。同社は昨年11月、加入者の少なさとコストの高さが響き、この事業で過大な赤字が出ていると警告していた。

今年末時点でユナイテッドの保険プランに加入していると推定される65万人のうち、多くの人々は別の保険会社を探す必要に迫られるだろう。

調査会社アバレール・ヘルスのシニア・バイスプレジデント、キャロライン・ピアソン氏は「(医療保険)各社は、どの程度の保険料率なら黒字化するかを見極めようと動き、2017年には料率が大幅に上がるだろう」と言う。

ただ、政府は医療保険市場の利用者に所得税の税控除を提供しているため、保険料が上がっても痛みは和らげられるだろう、とピアソン氏は見ている。

「長い目で見て市場の存続性に影響が及ぶとは思わない」と話すのは、マンハッタン・インスティテュート・フォー・ポリシー・リサーチの医療政策担当デピュティ・ディレクター、エフゲニー・フェイマン氏。たとえ他の保険会社が撤退に追随したとしても、市場が存続できなくなるほど収益性が悪化することは考えにくいという。

カイザー・ファミリー・ファウンデーションが最近公表した調査結果によると、ユナイテッドが市場から撤退すると、同社が保険を提供している1855郡のうち29%は提供社が1社だけという状態に陥る。また、ユナイテッドが今年サービスを提供していないとすれば、標準的なプランの保険料は約1%高くなっていたはずだという。

エトナとアンセムもオバマケア事業では赤字を出しているが、撤退は表明していない。

ユナイテッドの場合、企業向けの大規模契約に比べ、個人向け医療保険プランは収入に占める割合が小さい。これに対してエトナとアンセムは個人向け事業を大々的に展開している。

カイザーのシニア・バイスプレジデント、ラリー・レビット氏は「他の主要保険会社がユナイテッドに追随するとすれば驚きだ。ユナイテッドはある意味で独特の部類に属する」と話した。

(Caroline Humer記者)

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