June 21, 2019 / 6:04 AM / a month ago

コラム:止まらぬOPECの市場シェア低下、岐路に立つサウジ

[ロンドン 20日 ロイター] - 石油輸出国機構(OPEC)の世界原油市場におけるシェアはじりじり低下している。生産量を抑えて価格を高止まりさせることを目指しているからだ。

 6月20日、石油輸出国機構(OPEC)の世界原油市場におけるシェアはじりじり低下している。生産量を抑えて価格を高止まりさせることを目指しているからだ。写真は2018年12月、ウィーンで撮影(2019年 ロイター/Leonhard Foeger)

BPが11日公表した最新の世界エネルギーに関する統計によると、OPECの生産量ベースの市場シェアは昨年41.5%と、2003年以来の低水準になった。

今年は米国の経済制裁によってイランとベネズエラの生産が減る以上、OPECの市場シェアがさらに下がって02年以来の低さになるのはほぼ確実だ。

OPEC各国は02─08年にシェアを拡大してきたが、その後低下傾向に転じ、今も反転の兆しは見えない。

昨年のOPECの合計生産量は08年と比べて日量200万バレル(5%)しか増えていないが、非加盟産油国はこの間に960万バレル(29%)増産している。

OPECの事実上のリーダーであるサウジアラビアは160万バレル(15%)、イラクは220万バレル(90%)それぞれ生産を増やした。一方、非加盟産油国ではカナダの増産幅が200万バレル(62%)、米国が850万バレル(126%)で、主として陸上のシェール生産が増えた結果だった。

サウジのシェアは1990年代以降ずっと安定していたものの、他の多くのOPEC諸国は戦争や、制裁を科されたこと、政情不安などでシェアを失った。

<サウジの目標>

サウジがだれもが認めるOPECのリーダーとしての地位を築いたのは1990年代だった。ライバルのイランとイラクが戦争と制裁の影響で生産に支障を来し、ナイジェリア、リビア、ベネズエラなどの生産も汚職や政策面の失敗、政情不安によって打撃を被ったためだ。

サウジはずっと、長期的な市場ポジションを揺るがせず、米国との外交関係を損なわないという条件で、短期的な輸出収入を最大化することを目指している。

それを実践する上でサウジは状況に応じて優先順位を変え、シェアを犠牲にして原油価格を維持したり、逆に価格を顧みずにシェアを守ろうとしてきた。

近年では中東地域の「宿敵」であるイランが米国の制裁で輸出を制限され、さらに最近はベネズエラも同様の事態にあることを受け、サウジのジレンマは軽減されている。

これらライバルへの制裁のため、サウジはシェアをそれほど失わずに価格を保つことが可能になった。

ただ、イランとベネズエラがほぼ全面的に市場から締め出されてもなお、原油価格がなかなか上昇しないことから、サウジのこうした戦略の限界が露呈しつつある。

原油価格と市場シェアの両面で、長期的なトレンドはサウジにとって好ましくない状況となっており、同国が進める社会と経済の変革に向けた諸目標の達成が難しくなっている。

<戦略再考の余地>

サウジとOPECが取り組んできた生産抑制と価格押し上げで最も恩恵を受けたのは、米国のシェール業者と、国際石油メジャーを含めた非OPEC地域の生産者だ。

サウジが生産を抑え、そうしなかった場合よりも価格を高水準に維持してくれたことが、米国では第1次シェールブーム(2011─14年)と第2次シェールブーム(17─18年)を支えた。

BPによると、昨年もサウジは1─6月に生産抑制を続け、年間でもわずか40万バレル増産しただけなのに対して、米国では220万バレルも生産が増えた。

対照的に15─16年、サウジが価格維持を放棄して市場シェア確保を狙った局面では、同国の生産が増加した半面、米国のシェール生産は落ち込んだ。

中期的には生産を抑えて価格を押し上げようとするサウジの戦略は持続できない。なぜならそれは、シェール業者やその他の非OPEC生産者にあまりにも大幅にシェアを譲り渡してしまうからだ。

17─18年と18─19年にサウジを助けて供給を抑制してきたロシアは既に、高い原油価格と市場シェアの低下が長期的にもたらす結果への不安を吐露している。

目先の話をすれば、サウジの政策担当者は世界の経済成長と原油需要の鈍化に伴って在庫が再び積み上がり、価格が下落するのを避けることを重視している。

しかし中期的に考えると、サウジが市場を主導する役割を保ちたいなら、価格目標の追求姿勢を緩め、市場シェアに改めて焦点を当てざるを得なくなるだろう。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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