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フォトログ:近づくコロナ禍の五輪、東京を包む光と影

[東京 23日 ロイター] - 東京五輪・パラリンピックの開幕まで100日となった今年4月、東京タワーや新国立競技場をはじめ、都内のランドマークがオリンピックカラーで一斉にライトアップされた。その夜はあいにくの雨。日本の首都を照らす5色の光はかすんでいた。

 東京五輪・パラリンピックの開幕まで100日となった今年4月、東京タワーや新国立競技場をはじめ、都内のランドマークがオリンピックカラーで一斉にライトアップされた。写真はお台場海浜公園から臨むレインボーブリッジ、都内で4月撮影(2021年 ロイター/Kim Kyung Hoon)

光と影は、東京で2回目となる今回の五輪・パラリンピックの特徴とも言える。

ビルの前を通過する無人自動運転の電車「ゆりかもめ」。2020年4月、都内で撮影(2021年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

およそ半世紀前の1964年に開かれた1回目の東京大会は、敗戦からわずか20年足らずで復興した日本に新たな近代化の到来を告げた。開会式の数日前に開業した新幹線はその象徴だった。

しかし、東京に緊急事態宣言が初めて出された昨年4月、本来ならビジネスマンや外国人観光客で混雑するはずの新幹線は、ほぼ空席で走り続けた。新型コロナウイルスの影響で人々は外出を制限され、2回目の五輪を前に再開発された渋谷の街や銀座の地下道をはじめ、東京は閑散とした。

上野公園の不忍池の近くを飛ぶカモメ(2021年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

いったん延期された「東京2020」はあと1か月で開幕を迎えるが、日本が国の威信をかけ、熱気に包まれるはずだった祭典は、喜びを感じることができない義務的なイベントに変わってしまった。

「前回のように楽しめない」。梅雨どきの蒸し暑さと感染リスクを避けるため、人が少なくなる夕方に散歩に出た高齢女性は、夫にこう話しかけた。「なんだか興ざめ。他人事のようで、自分の国で開催されているとは思えない」と、1964年の大会を知るこの女性は語った。

日本でもようやくワクチン接種が加速してきたものの、コロナ禍はまだ終わっていない。開催都市である東京は3回目の緊急事態宣言が解除されたが、まん延防止等重点措置に移行したに過ぎない。五輪の中止や延期を求める声はなお根強い。

今大会はワクチンを接種した選手や大会関係者だけが入ることを許される「安全なバブル」の中で開催される。一般の人たちから切り離された特殊なスポーツの祭典となる。

文京区「一幸庵」店主、水上力氏の作った和菓子(2021年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

<東京カレイドスコープ>

この1年半、東京は他国に比べると緩やかな都市封鎖(ロックダウン)と解除を繰り返してきた。その中で都市の営みは続き、繁華街から人影が消えることもあれば、喧騒に包まれることもあった。

恋人たちは高層ビルの展望台から街を見下ろし、舞台で能を鑑賞したりする。宝石のような和菓子や、ベルトコンベアに乗って運ばれてくるすしを楽しむ。それがこの都市のイメージだ。

渋谷のスクランブル交差点を歩く人々(2021年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

ただし、今はほとんどの住民がマスクをつけている。コロナ前は無地の白いものが主流だったが、手作りのレースや日本の伝統柄など種類が豊富になった。アニメの人気キャラクターをプリントしたマスクをつけている人もいる。

東京タワー(2021年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

毎日の新規感染者数が増えると通りはひっそりとし、街の骨格がむき出しになる。皇居の荘厳さ、東京タワーのきらびやかさが強調され、電車の走る音が際立つ。

逆に感染者数が減り始めると、宣言が出ていようとも渋谷のスクランブル交差点には秩序あるカオスが戻る。人々はその中を縫い、アートミュージアムで光と色に身をゆだねる。

人の流れによって景色は常に変化し、見る角度を変えれば街も変わる。すべてが一期一会。東京には万華鏡のように無数の幾何学模様があり、筒の傾け方、光の入り方によって同じ模様でも色が微妙に変化する。

東京は決して退屈しない街だ。震災や戦争も乗り越えてきた。新型コロナウイルス禍も克服するだろう。

(白木真紀、村上さくら 写真:Kim Kyung Hoon 編集:久保信博)

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