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焦点:OPECプラスに試練、米仲介の減産は効果発揮するか

[ドバイ/ロンドン 2日 ロイター] - トランプ米大統領は2日、原油の協調減産を巡りサウジアラビアとロシアの間を仲介したと発表し、大規模な減産につながるとの見通しを示した。だが、世界3大産油国が前代未聞の形の減産合意にこぎつけたとしても、新型コロナウイルス感染症の世界的流行で消えた世界の3分の1の需要に見合うほど、供給を減らせるかは疑問だ。

3月2日、トランプ米大統領は原油の協調減産を巡りサウジアラビアとロシアの間を仲介したと発表し、大規模な減産につながるとの見通しを示した。写真は2019年11月、テキサス州の原油施設で撮影(2020年 ロイター/Angus Mordant)

1つだけ確かなのは、これまで原油価格を押し上げてきた石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなど非加盟産油国による「OPECプラス」が、厳しい試練にさらされることだ。

あるOPEC筋は、OPECプラスのみの対処では追いつかないかもしれないほど需要が急減していると指摘。「途方もない対策を必要とする途方もない状況だ」と述べた。

新型コロナにより、世界の石油需要は日量最大3000万バレル減少。これはサウジ、ロシア、米国の産油量を合わせた量とほぼ等しく、OPEC加盟国の総産油量を上回る。

サウジの政府系シンクタンク、アブドラ国王石油研究調査センターは今週、「現在の落ち込みは、OPEC単独で対処できる規模をはるかに超えている」として国際協力の必要性を訴え、米国その他の高コスト産油国が痛手を被るとの予想を示した。

サウジ、ロシアはともに、世界最大の産油国である米国に直接、減産への参加を求めてはいない。米国では反トラスト法によって石油業界にそうした措置が禁じられている。

しかし、市場のファンダメンタルズに影響を及ぼすためには、米国がある程度減産に加わることが不可欠だろう。

<誤算>

ロシアにおける石油関連交渉の代表者で、政府系ファンドを率いるキリル・ドミトリフ氏は「OPECプラスに加わる国が増えれば、石油市場を均衡させるために合意する可能性が出てくる」と言う。

しかし、そこで思い出されるのは、3月初旬のOPECプラス会合でロシアとサウジが辛辣(しんらつ)なやり取りを繰り広げた末、減産協議が突然打ち切られた経緯だ。

追加減産を主張していたサウジに対し、ロシアは新型コロナによる需要減の全容が分かるまで、減産しても意味はないと抵抗。両国とも歩み寄ろうとせず、互いの決意のほどを見誤った。

ロシアのベテラン石油関係者は「ロシアは、サウジの反応を読み誤った。サウジがよもや、(決裂直後に)あそこまで増産(への方向転換)で脅してくるとは考えていなかった。従来の減産を続けるだけだろうと考えた」と打ち明ける。

サウジ側も、世界の石油需要の減退規模を過小評価していた。

<勝利宣言>

両国は今、対応を考え直し、どちらも正しかったと主張できる道を見つけるチャンスを得たのかも知れない。減産合意にこぎ着けられれば、サウジ側は自国の増産がロシアを交渉のテーブルに引き戻させたと言うことができる。他の産油国も合意に加われば、ロシア側は、やはりOPECプラス単独では対処できないほど、新型コロナの打撃は大きかったと言うことができる。

トランプ氏は2日、サウジとロシアを仲介したので日量約1000万バレルの減産が期待できるとツイートして市場を驚かせた。トランプ氏は国内石油企業の幹部らと会合を予定しているが、政府高官によると米企業には減産を要請しない見通しだ。

ただ、米石油企業が仮にこうした減産に、自発的にも加わらないとしても、結局は減産を余儀なくされるかもしれない。原油価格がここまで下がると、高コストの生産を停止せざるを得なくなるかもしれないし、倒産しないよう国に支援を要請する必要が出てきたりするだろう。

反トラスト法があるため、OPECとの正式な協調には複雑な問題が絡む。だが、テキサス州のいくつかのシェール企業は米エネルギー規制当局に対し、米国の歴史では過去50年で初めてとなるこうした減産の義務化を定めるよう求めており、当局者からも同意する声が出ている。

米高官らは、世界の石油市場を均衡させるため、米国が取り得る対応について、数々の案を検討中だ。

しかし、OPEC筋は、米政府がサウジに何を提案できるのか不明だと話している。あらゆる状況がめまぐるしく変動している時期に、生産企業が十分に迅速に対応し切れるのかさえ、まったく定かではない。

(Rania El Gamal記者、Dmitry Zhdannikov記者)

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