April 26, 2018 / 1:02 AM / 3 months ago

コラム:原油価格上昇でOPECの「任務完了」か

[ロンドン 24日 ロイター] - 2014年半ばから16年半ばまでずっと価格下落に見舞われていた原油市場だが、今や新たな値上がり局面が始まりつつあるようだ。

 4月24日、2014年半ばから16年半ばまでずっと価格下落に見舞われていた原油市場だが、今や新たな値上がり局面が始まりつつあるようだ。写真はフランス近郊で23日撮影(2018年 ロイター/Christian Hartmann)

北海ブレント価格は、サイクルの底だった16年初頭から既に1バレル当たり45ドル、率にして170%も上昇している。先物市場では期近物が1バレル=75ドルと、物価調整後の実質ベースで1998年から16年までの価格サイクルの平均に近づきつつある。今年これまでの先物の平均は68ドル近辺で、1973年以降の実質平均価格50─55ドルよりも大幅に高い。

先物カーブは、下落局面で見られたかなりの純ざや状態から、昨年半ば以降幅広い範囲で逆ざやの様相を強めてきた。歩調を合わせる形で、需給は供給超過から供給不足に振れている。

世界の原油消費は今年、日量150万バレル以上増加し、4年連続で力強い伸びになる見通し。石油輸出国機構(OPEC)非加盟諸国の今年の生産量は日量200万バレルかそれ以上増える見込みで、主に米国のシェール生産増とカナダ、ブラジル、ノルウェーの増産が寄与するとみられる。

しかし国内の政治社会混乱などでベネズエラの生産が急減するほか、残るOPEC加盟国とOPEC非加盟の一部有力産油国が減産を続けることで、世界全体の原油生産は消費ペースに追い付けていない。

経済協力開発機構(OECD)の原油在庫は大きく減り、現在は過去5年平均並みだ。価格下落局面で蓄積された3億バレルを超える在庫は一掃されつつある。

市場の需給をより正確に描写できる消費増を調整した在庫で見ると、過去5年平均を大きく下回りつつ、需給は引き締まり続けている。

このようにスポット価格からスプレッド、消費、生産、在庫に至るすべての指標は、原油市場が価格上昇局面に入ったことを示す。

ただし価格上昇の後には下落局面が常にやってくる。OPECが今年と来年の需給があまりにも引き締まるのを容認すれば、数年後の値下がりに向けた環境を作り出すことになる。

<遅行指標>

複数のOPEC高官は、需給均衡化の取り組みはまだ終わっていないと主張し、そうした取り組みの「完了」を宣言するのを拒んでいる。

特に彼らは、開発・生産部門の投資が比較的低水準であることを理由に、減産継続と価格のさらなる押し上げが必要だと強調する。

ところが投資は遅行指標だ。直近の上昇局面(1998─2008年)の序盤には投資がなかなか上向かず、下落局面(2014─2016年)の終盤になっても底堅かったことが分かっている。

そうした上流部門への投資の動きの遅さは、原油市場に循環的な不安定さをもたらす主因の1つだ。

もしOPECが12月まで今の減産を続ければ、需給は異例なほど引き締まり、価格とスプレッドは落ち着かない水準へと向かうだろう。

価格が上がり、スプレッドが広がれば生産の伸びがさらに加速し、消費の伸びは抑制され始める。

OPECの閣僚は、供給ないし需要への影響は気にしないと明言するが、彼らはしばしば過去において市場の反応について間違った判断を下してきた。

米国内では掘削リグ稼働数が、価格上昇を受けて過去3週間で増加トレンドに復した。これにより、年末までにシェール生産はさらに増えるだろう。

消費の変化をリアルタイムで計測するのはもっと難しく、価格変化に遅れがちだ。とはいえ従来と同じように価格上昇は需要を抑制するとみられる。

<責任の押し付け合い>

OPEC加盟国は、過去1年間にわたる価格上昇はOPECの政策が主な原因だとの見方や、OPECが生産方針を修正すべきだとの意見を真っ向から否定。むしろベネズエラなどの一部産油国の予定外の生産停止や、消費需要の想定外の強さにより、昨年末時点の見通しよりも在庫の減少ペースが速いと指摘する。

また原油市場参加者の間で、米国のベネズエラに対する制裁発動や、対イラン制裁再開を巡る懸念が強まっていることが、価格上昇に拍車をかけているという。

これらのすべての主張は正しい。そしていずれもOPECが制御できる範囲を超える要因だ。それでも生産方針はOPECが直接決められる分野であり、責任を負っている。

OPECの生産量が減ったのは16年11月。当時は供給超過で、在庫は膨らみ、価格はサイクルの底からわずかに上昇した程度の水準だった。

その時点で適切だった措置が今はもう妥当でなくなっているのは間違いない。OPEC加盟国が年末までの減産延長を決めれば、恐らく価格がそれに連動して上がる事態を招く。

トランプ米大統領は既に、ツイッターを通じて原油価格上昇はOPECに責任があるとの見解を示している。

原油や燃料の価格が上がり続ければ、消費国からのOPECに対する政治的反発は強まる一方となる。

だがOPECがより心配すべきなのは、さらなる価格上昇はマイナスの効果を及ぼすことが非常に現実的なリスクだという点だ。

今年と来年の需給を過度に引き締めることで、OPECは2020─21年に次の下げ局面が訪れる下地を生み出す羽目になる。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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