November 7, 2018 / 7:28 AM / 10 days ago

オピニオン:米政権の視線は2020年に、日本の中国抑止に追い風=川上高司氏

[東京 7日] - 急速に力をつける中国を、貿易問題などで強くけん制してきたトランプ米大統領。拓殖大学の川上高司教授は、2020年の大統領選に向けてトランプ政権の対中政策は一段と強硬になると分析する。中国への抑止力を高めたい日本は、このタイミングをとらえ、自国の安全保障に対する米国の関与を高めることが重要だと指摘する。

11月7日、拓殖大学の川上高司教授は、米国内の対中強硬姿勢は、対中抑止力を高めたい日本にとって追い風と指摘。写真は日本海で訓練をする米空母カールビンソンとロナルド・レーガン、海上自衛隊の艦艇。2017年7月撮影。(2018年/Handout via REUTERS)

同教授の見解は以下の通り。

中間選挙が終わり、米国の政治は大統領選挙に本格的に突入する。シンクタンクや世論を含め、米国全体が対中強硬路線を強める中で、トランプ政権は再選に向け、中国に対してもう一段厳しい姿勢で臨むとみている。

米中のパワーバランス(力の均衡)が徐々に中国に傾く中、米国が中国の頭をたたく今の状況は、トランプ氏が大統領の座にある限り続く。日本は中国との関係を改善しようとしており、トランプ政権にとっては好ましくないと映るだろう。むしろ米国内の対中強硬姿勢は、日本に追い風と言える。中国への抑止力を高めたい日本は、米国を積極的に巻き込んでいく必要があるからだ。

<INF条約の破棄、日本にとっての意味>

共同通信は4日、日米両政府は尖閣諸島(中国名:釣魚島)を想定し、共同作戦計画の策定作業を進めていると報じた。武装した漁民が上陸し、日本は警察力では対応できずに自衛隊が出動、中国も軍を派遣し、武力衝突に発展する想定だ。平時でもなく有事でもない「グレーゾーン」のシナリオだが、日本はこうした作戦に、いかに米国を関与させていくかが重要になる。

トランプ大統領が中距離核戦力(INF)廃棄条約を破棄する方針を示していることも、日本の安全保障には大きな意味がある。中国は沿岸部に1700発以上の中距離弾道ミサイルを配備しており、台湾だけでなく日本にも照準が向いている。

米国のこの動きを、日本はいかに取りこむか。INF廃棄条約の破棄で米国が中距離ミサイルをこの地域に展開するようになれば、日本の対中抑止力は高まる。

<改憲へ早期に国民投票か>

こうした中で日本も独自に防衛力を強化する必要があり、安倍晋三首相は早いタイミングで憲法改正に向けた国民投票に踏み切るのではないかとみている。日本政府は今年の年末には防衛大綱を策定し、今後5年間の自衛隊の装備計画を定める中期防衛力整備計画もまとめる。どこまで防衛費を増やすかが焦点になる。

一方、中間選挙後のトランプ政権は、通商問題で日本に強い姿勢で臨んでくるだろう。トランプ氏にとっては帳尻が合えば良いので、例えば日本車に輸入制限を設ける代わりに、さらなる米国製の武器購入を迫ってくる可能性がある。地上配備型迎撃ミサイル「イージス・アショア」だけでなく、日本はますます米国から武器を輸入せざるを得なくなる。大綱と中期防は、この点も踏まえたものになるだろう。

トランプ大統領は再選に向け、北朝鮮問題を動そうとするだろう。ロシア疑惑で弾劾の公聴会が開催されることになれば、ここで得点を稼ごうとするかもしれない。だが、功を急ぐあまり、大陸間弾道ミサイル(ICBM)を廃棄させる一方、日本を射程に収める中・短距離弾道弾は温存という、曖昧な合意を交わす恐れがある。米国がINF廃棄条約を破棄し、中距離ミサイルを日本国内や周辺に配備すれば、北朝鮮に対する日本の抑止力は確保される。

*本稿は、川上高司氏にインタビューし、同氏の個人的見解に基づき書かれています。

(聞き手:久保信博)

川上高司・拓殖大学教授(写真は本人提供)

川上高司氏は、拓殖大学海外事情研究所教授・所長。大阪大学で博士号(国際公共政策)取得、Institute for Foreign Policy Analysis研究員、世界平和研究所研究員、防衛庁防衛研究所主任研究官、北陸大学法学部教授を経て現職。主な著作に、「日米同盟とは何か」(中央公論社、2011年)などがある。

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