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アングル:大塚家具の経営権争い、大株主を拘束する「行動指針」
2015年3月16日 / 07:42 / 3年後

アングル:大塚家具の経営権争い、大株主を拘束する「行動指針」

[東京 16日 ロイター] - 創業者の父と社長の娘との間で、経営権をめぐる委任状争奪戦(プロキシ―・ファイト)が展開されている大塚家具(8186.T)。その大株主となっている国内金融機関が今、どちら側の意見に賛成すべきか頭を悩ませている。

 3月16日、創業者の父と社長の娘との間で経営権をめぐる委任状争奪戦が展開されている大塚家具、大株主となっている国内金融機関が今、どちら側の意見に賛成すべきか頭を悩ませている。株主の1社、三井住友FGの看板、都内で昨年11月撮影(2015年 ロイター/Toru Hanai)

日本版スチュワードシップ・コード(機関投資家の行動指針)導入によって棄権はできず、判断の大義名分が見い出せないまま、株主総会開催の27日が迫ってきた。

<大票田・金融機関の議決権>

「できれば、議決権を行使せず、棄権したいくらいだ」――。ある金融機関の幹部は、大塚家具の議決権行使をめぐる難しい立ち位置に関し、こう述べた。

大塚家具の大口株主の保有比率は、創業家の関係者を除くと、最大が米系投資会社のブランデス・インベストメントの10.7%、次が日本生命保険の5.8%、東京海上日動火災保険の3.2%、そして信託銀行を通じて保有する三井住友銀行が3%と続く。

一方、創業者会長の大塚勝久氏の持ち分は18%。対抗する娘の大塚久美子社長は、9.7%を保有する資産管理会社を支配下に置く。

金融機関が保有する議決権は「大票田」となっており、勝負の帰すうを決めかねない。すでに会長側と社長側は双方が入り乱れて水面下で主要株主に接触し、自陣営へ取り込もうと必死の説得を繰り返している。

金融機関のうち、ブランデスは10日、保有する10.7%のうち半数以上を売却し、持ち分が4.8%に減少したとする大量保有変更報告書を提出。同時に会社提案に賛同することを表明した。

これにより、議決権として確定している10.7%が久美子社長側に回ることが確定した。

大塚家具の株価は、会長と社長の対立が表面化した2月下旬以降、1100円台から一時2000円超まで急騰。「この間に売り抜けた」と市場関係者はみる。

<議決権行使求めるスチュワードシップ・コード>

鍵を握るのは、残りの日本生命と東京海上日動、三井住友銀行の動向だ。複数の関係者によると、3社とも10年以上前から同社株を保有。三井住友銀と東京海上日動は政策目的、日本生命は投資目的だ。

通常、日本の金融機関は、投資先企業で議決権をめぐる争いが発生した場合、会社側に付くケースがほとんどだ。

特に政策株の場合は「現経営陣に対する信任を前提に株式を購入している」(大手行幹部)ためだ。実際、会社側に対抗して株主提案をするのは、短期の投資回収を目指して増配や自社株買などの株式還元策を求めるファンドが多い。「中長期的な企業価値の向上を目指す」(同)ことを旗印としてきた国内金融機関としては、自ずと会社側提案に傾きがちだった。

ただ、今回の大塚家具のケースでは、対立する会長と社長がそれぞれ取締役メンバーだ。会長である父親は創業者で、直近まで社長を務めてもいた。ある金融機関幹部は「会長、社長側ともそれぞれの理屈があり、どちらに付くとは言いにくい」とこぼす。

金融機関の中には「議決権行使の棄権」も選択肢に上がったもようだが、それを覆す原動力になっているのが日本版スチュワードシップコードの導入だ。

機関投資家としての受託者責任を求めている同コードは「すべての保有株式について、議決権を行使するよう努めるべき」と定めている。

金融庁のある幹部は「どちらの提案が正しいという正解はない。受託者責任を果たすために、真剣に考えぬくことが重要だ」と話している。

金融機関は難しい選択を迫られそうだ。

布施太郎 編集:田巻一彦

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