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展望2022:EV市場は高級と低価格に二極化、量産局面で日本勢挽回=デロイトトーマツ

[東京 3日 ロイター] - 欧米や中国メーカーが電気自動車(EV)への取り組みを加速する一方、日本勢は出遅れているとみられてきた。デロイトトーマツグループのディレクター、後石原大治氏は、EV市場の創成期は高級車と低価格車に二極化する中で、量産車に強い日系メーカーのポジションがあだになっていると指摘。同じくディレクターの柴田信宏氏は、量産局面に入れば日系メーカーも挽回を狙えると予想する。EV市場の動向に詳しい両氏に話を聞いた。

 欧米や中国メーカーが電気自動車(EV)への取り組みを加速する一方、日本勢は出遅れているとみられてきた。写真は独ベルリンで2007年11月撮影(2022年 ロイター/Fabrizio Bensch)

<市場は二極化、日本勢は当面不利か>

後石原氏「EV市場は当面、価格が高くても長距離を走れる高級車と、短距離でちょい乗りできる低価格車に二極化するとみている。トヨタ自動車と日産自動車は自社の高級車ブランドをEV専用にすることを決めた。高級車は有形の機能以上にストーリーやヒストリーが重要視される。米テスラが売れているのは、新興ゆえに創業者のイーロン・マスク氏にストーリーが明確だからだ。高級車市場はエモーショナルな世界。量産と性能でブランドを築いた日本勢には不利に働く」

柴田氏「テスラは2030年までに年2000万台のEV販売を目指しているが、これだけの量産ができる新興企業はまだない。トヨタなどはEVの生産量はまだ少ないが、車を量産してきた優位性がある。EVの量産局面で逆転を狙うことはできる。今のランキングの顔ぶれで将来を占わないほうがいい」

後石原氏「例えばテスラが今後、量販車や小型車、米国でピックアップトラックのEVを投入してくれば、トヨタなど日本勢は本気で戦うだろう。今の世界EV販売ランキング上位に中国・欧州勢が並ぶのは、メーンマーケットが中国だから。米国でEVがどんどん売れるようになれば、日米の自動車大手は攻勢を強めるはずだ」

<勝敗を分ける鍵>

後石原氏「資源調達力、ソフトウエア技術力、車がコモディティ化した際のモビリティ・サービス力、コネクテッドサービスの力といった川上・川下のバリューチェーンでの競争力が鍵になる」

柴田氏「恐らく、トヨタはそうしたことに気づいており、取引先や販売店との関係性も含め、どこを自前でやるべきでどこが儲けどころかを見定めた動きを始めている。トヨタは全方位戦略のため、相対的にEVが薄まって見えるだけで、全方位で盤石に準備をしている。欧州勢含め他社は体力的に全方位でできず、覚悟を決めてある程度の舵を切った」

<アップルやソニーの存在>

柴田氏「異業種が参入しやすいEV市場では、米アップルやソニーなどの新規プレーヤーが一定程度、存在感を増すだろう。さらに将来、自動運転化が進んで車の安全性が平準化すると、消費者は車をコストやデザイン性で選ぶようになる。今は過渡期で総合力のある自動車大手が有利ではあるが、コスト優位性やデザイン性の部分ではアップルやソニーなどの異業種が強くなって収益性で上回る可能性がある」

後石原氏「自動運転化が進むと車の安全性は高まり、日本勢がガソリン車で長年築いてきた安全性は他社がEVでも築けるようになる。車の場合、顧客の安全に対するスイッチングコスト(心理的な負担)があり、パソコンのように一気にその流れは来ないだろうが、異業種やスタートアップによる参入障壁は確実に下がってくるだろう。だからこそ既存ビジネスで収益が出ている今のうちに変革する必要がある」

<系列はどうなる>

後石原氏「系列やグループで連携する強さは再評価されるとみている。半導体不足や物流混乱などで部品供給が安定しない中、危機に強く助け合えたのは普段から系列関係がしっかりしている企業だったからだ。カーボンニュートラルの達成もサプライチェーン全体で求められ、ライフサイクルで情報公開する必要がある。その点、系列基盤を持つ日系メーカーは明らかに有利だ。カーボン量を知るため仕入先に製品の成分を教えてもらいたくても普段から深い付き合いがないとなかなか教えてもらえない。系列企業であれば仕入先と一緒にカーボン量を減らし、コストを下げたり、省エネ活動ができるはずだ」

柴田氏「グループ内のメンバーチェンジは今後あり得る。資源・電池・ソフトウエアなど鍵となる領域で新たな企業をグループに入れたり、一部の企業はその位置づけを見直すといったことが将来的に起きる可能性はある」

(白木真紀 編集:久保信博)

*インタビューは12月20日に実施しました。

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