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展望2022:「黒字倒産」増懸念、円安や人件費増も影響=東京商工リサーチ常務

[東京 2日 ロイター] - 東京商工リサーチの友田信男・常務取締役情報本部長は、新型コロナに対する企業支援がなくなると、過剰債務を抱えた企業の「黒字倒産」が増加する懸念があると指摘している。景気回復の伴い売り上げは増加するものの、足元の原材料高や人件費増のコストが直撃する。友田常務は「コロナの出口で問題点が浮上する年になる」とみている。

東京商工リサーチの友田信男・常務取締役情報本部長は、新型コロナに対する企業支援がなくなると、過剰債務を抱えた企業の「黒字倒産」が増加する懸念があると指摘している。写真は都内のオフィスビル。昨年6月撮影(2022年 ロイター/Issei Kato)

<コロナで過剰債務企業増加>

全国倒産件数(負債額1000万円以上の企業倒産)は、2020年が7773件、21年は11月までで5526件に抑えられており、年間を通しても6000件をわずかに超える水準で、1965年までさかのぼる歴史的低水準になる可能性が高い。

コロナ禍で売り上げが減った企業に実質無利子・無担保で融資する「ゼロゼロ融資」や持続化給付金、雇用調整助成金などの実施・延長が、倒産の抑制につながった。

支援金だけでなく融資が実行されていたことで、企業には過剰債務が広がっている。月商に対する借入金の比率を示す「借入金月商倍率」は、全企業で19年3月期、20年3月期は4.77倍、4.72倍とほぼ同水準だったが、21年3月期は5.75倍に跳ね上がった。借入金増加企業だけを取り出すと、20年3月期の5.32倍に対し21年3月期は8.20倍に達している。友田常務は「3—5倍が一般的。8倍は危機ライン」と懸念を示す。

友田常務は「ゼロゼロ融資などで中小企業も資金調達できていたが、それによって過剰債務となっている。金融機関や信用保証協会は過剰債務企業への融資や保証を厳しくしている」と指摘。コロナ鎮静化で売り上げが増加した場合、仕入れ増や人件費増、設備増強に伴う運転資金ニーズが高まるものの、資金調達がうまくいかず「黒字倒産」につながる可能性があるという。

特に、足元で進んだ円安や賃上げを伴う人件費増がこうした倒産に追い打ちをかける懸念がある。友田常務は「価格転嫁できない中小企業への影響は、数カ月先から本格的に出てくる」とみており、コロナで収益力が低下し疲弊している企業は持ちこたえる体力がなく、「すぐに倒産という形で影響が出てくる」という。

借金を返済して事業を閉じる20年の休廃業・解散は過去最多の4万9698件、21年はこれを下回る可能性が高い。企業経営者の高齢化で廃業に向かうはずの企業もコロナ支援で判断を先送りしており、22年は判断を下す年になり過去最高を更新する可能性が高い。ただ「廃業をしようとした際、借金の方が増えた企業は倒産に向かわざるを得ない」という状況にあり、倒産増の要因の一つになる可能性もあるとしている。

<コロナ支援政策転換は段階的に>

友田常務の試算によると、20・21年で1万―1万5000件程度、発生しているはずだった倒産が抑えられた。1998年10月—2000年3月のアジア金融危機の際、倒産した企業は2万4037件あり、友田常務は「本来はこの数字を上回っているはず。22年は支援が薄らぎ、表面化してくる可能性がある。政策転換のタイミングは段階的にしなければ影響は大きい」と話す。

政府に望むのは、過剰債務解消のための政策。友田常務は「銀行の問題ではなく、政府がサゼスチョンしていかなければならない。借入れ返済期限の延長や売掛金担保の融資、ファクタリングに力を入れてよいのではないか」と提案する。

*インタビューは12月17日に実施しました。

(清水律子 編集:田中志保)

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