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展望2021:日経平均は3万円試す、半導体関連や機械株に注目

[東京 28日 ロイター] - 2021年の株式市場では、日経平均株価が3万円を目指すとの予想が多い。新型コロナウイルスのワクチン期待の剥落や、金利上昇、円高といったリスク要因はあるものの、世界的な景気回復と大規模な金融緩和策を背景に、株高基調が継続するとみられている。セクターでは、景気敏感の半導体関連や機械株が注目されるとの声が出ていた。

12月22日、2021年の株式市場では、日経平均株価が3万円を目指すとの予想が多い。都内の株価ボード前で10月撮影(2020年 ロイター/Issei Kato)

市場関係者の見方は以下の通り。

●メインシナリオは春先までに日経3万円、総選挙の時期が相場左右

<大和証券 チーフテクニカルアナリスト 木野内栄治氏>

来年は景況感が回復する中で、材料面では国内の総選挙が最大のポイントになる。国内景気の上向きは選挙とセットとなるケースが多く、そこからPBR(株価純資産倍率)で1.35倍、日経平均で3万円回復というデッサンを描くことができそうだ。

春先までに総選挙を実施、菅政権の基盤が盤石なものとなって3万円を回復するというのがメインシナリオ。現時点で政策がスムーズに進んでいないような印象が強いのは、政権の基盤が固まっていないため。総選挙で勝利を確固たるものにすることが求められ、それが早ければ早いほどいいだろう。

総選挙が任期満了に近づくほど、それまで菅政権は「暫定政権」のイメージが完全に払拭されないため、政権運営に支障をきたす可能性があり、それは好ましくない。選挙の時期が、相場シナリオを左右する要因になるとみている。

リスク要因は円高だ。世界的に景気が回復しても、円高が日本企業の収益を悪化させることになれば、世界同時株高の中で日本のみ蚊帳の外に置かれてしまう可能性もあるだろう。その場合は、株価の下振れが警戒されるようになる。

日経平均の2021年予想レンジ:2万6000円─3万1000円

●企業業績の回復が焦点に、リスクは長期金利の動向

<三井住友DSアセットマネジメント チーフストラテジスト 石山仁氏>

来年は米国株と世界景気拡大にけん引されて、日本株も上昇するというストーリーを予測する。米連邦準備理事会(FRB)のフォワードガイダンスでも示された通り、金利はすぐには上昇しないというのが明確だ。そうした中、低金利下で余ったマネーが株式市場に流れる可能性が高く、来年もこうした金融環境が続くだろう。

米国経済は、コロナ禍でも足腰がしっかりしたハイテク産業と内需に支えられ、堅調に推移する見通しだ。米経済をベースにしてグローバルで景気が拡大する見込みで、日本企業にとっても追い風となる。それを確認するためには、企業業績がきちんと上振れているか、経営者が自信を取り戻しているかが重要になる。足元の業績だけではなく、予想利益やアナリスト予測でも上振れを確認できれば、センチントの改善につながり、株価上昇につながるのではないか。

リスクとして注視すべきなのは、長期金利の動向だ。物価上昇に伴い金利が上昇するのは極めて健全な金利上昇だが、将来の財政負担の懸念や、極端に金利が低下していたことの反動、可能性としては低いが、中銀の政策スタンスが変わるのではないかという危機感などで金利が上昇してしまうと、株式市場にとってリスク要因となるだろう。

日経平均の2021年予想レンジ:2万4000円-3万2000円

●スーパー金融相場、米政治リスクとワクチン期待の剥落で調整局面も

<三菱UFJモルガンスタンレー証券 チーフ投資ストラテジスト 藤戸則弘氏>

超金融緩和策が継続される見通しとなっていることから、2021年も日本株はスーパー金融相場となることは間違いない。コロナ禍による世界的な経済への影響は、ワクチン接種が始まっても落ち着くまでに来年前半までかかるとみられ、金融緩和、大型経済対策を支えに株価上昇が期待できるだろう。

日本企業については、これまで損益分岐点が低下傾向にあったが、コロナ禍による合理化でさらに筋肉質となり、経済が回復し売上高が増加する局面になれば、利益が急速に拡大することが想定できそうだ。とりわけ、既に回復傾向を示す中国経済の恩恵が大きく、こうした実態から海外勢の買いが見込まれる。

警戒したいのは、米国の政治リスクとワクチンに対する過剰とも言える期待感の剥落だ。年明けのジョージア州の選挙結果次第で、米国は大統領と上院がねじれ状態となるが、これはブッシュ父時代以来のレアケースで、バイデン政権が本格始動する来春以降、政策が停滞する可能性もある。さらに、急いで承認したがゆえに、ワクチンに深刻な副作用が生じるなど巨大な薬害リスクが台頭した場合、株価の調整は避けられないだろう。

以上のリスク要因から、日本株は春以降いったん調整に入るが、大きな流れのトレンドが終わることはなく、再び年末に向けて上昇指向を強め、状況次第では日経平均3万円回復もあり得る。

日経平均の2021年予想レンジ:2万3000円─2万9500円

●夏から秋にかけて日経3万円目指す、半導体関連・機械株に注目

<フィデリティ投信 最高投資責任者(CIO) 丸山隆志氏>

株式のバリュエーションは世界的に過去との比較では確かに高く、成長率が鈍化しそう、あるいは金利が上昇しそうといったショックに対して脆弱な局面にある。一方で国債利回りとの相対ベース、すなわち株式のリスクプレミアムの観点では割高とは言えない。米FRBは今後も実質金利をマイナスに保つため金利上昇を抑えるとみられ、株価は国債利回り対比では割高でないという水準が続く。日本株は最近の上昇が急だったのでここから一本調子に上がるとは思わないが、来年夏から秋にかけて日経平均が3万円を目指す展開を予想する。

現在、景気敏感株のウエートが高い日本株の注目度は高まっている。特に、半導体、FA(ファクトリー・オートメーション)関連の機械、電子部品、EV(電気自動車)関連が有望な業種だと考える。世界の半導体販売額や日本の工作機械受注といったデータは既にボトムをつけて戻りつつあり、株価はここから伸びるサイクルにある。サイクルだけでなく、EV化の流れが急速に加速している構造的要因もあり、機械関連、半導体、電子部品には成長余地がある。

ESG(環境・社会・企業統治)に関しては日本企業のガバナンス改善は進んでいるが、やるべきことはまだ多く、取締役会の改革が鍵となる。日本では取締役はサラリーマンとして成功した人のゴールとされ、新しいことをやるよりも過去と同じやり方を続ける人がほとんど。取締役会の重要な役割は会社を成長させるため体制をどう変えるべきかを考えることであり、そうした議論をするには独立社外取締役が多い方が良い。

また国際的なESG格付けでは日本企業のレーティングは低いが、当社が実際に面談した感触では、実際にはきちんと取り組んでいる企業が多い。ただ「やって当たり前」との考えから、しっかり開示をしていないケースがある。われわれも企業側に求めているが、今後開示が進むことにより日本企業の取り組みがESG格付けに反映され、海外投資家の認識が変われば、日本独自の買い要因となり、日本株に新たなチャンスが広がる。

  日経平均の2021年予想レンジ:2万5000円─3万円

●バリュー株優位の相場へ、ワクチン供給がポイント

<楽天証券 チーフストラテジスト 窪田真之氏>

2021年前半は世界景気の回復を背景に、バリュー株の巻き返しが起きるとみる。リーマン・ショック以降はグロース株優位相場のイメージが強いが、日本株をより長い目でみてみると、バリュー株優位相場とグロース株優位相場は交互に繰り返していることが分かる。グロース株のバリュエーションのスプレッド(格差)は、ITバブル期の高水準に近づいてきている。2021年は景気回復を背景とした金利・資源価格の上昇と自動車販売台数の増加で、金融株・商社株・自動車関連株をはじめとするバリュー株が堅調になるとみる。

2021年後半はワクチンの世界的な普及、世界中の巨額の財政出動、世界中の量的緩和の3つが重なることによって、経済活動の正常化を背景に景気は回復し、日経平均はは上値を追うとみる。FRBのフォワードガイダンスでは、金融緩和政策が長期化することが明らかとなった。ただ、いくら金融緩和相場だからといっても株価は理屈抜きに上昇するわけではない。新型コロナウイルスが終息に向かうかがポイントとなる。

したがって、リスク要因はワクチンにあり、供給が遅れたり十分な効果が発揮できなくなると、調整入りしやすい。また、バイデン新政権が実際始まるとなると、きれいごとだけでは済まされない。覇権争いとして米中の対立が激化するのは歴史の必然で、防ぐことはできない。米中対立も引き続きリスク要因として注視すべきだろう。

日経平均の2021年予想レンジ:2万5000円─3万円

*ロイター編集部では、2021年の経済、市場、業界などを展望するインタビュー記事を「展望2021」として配信します。 内外経済や国際情勢、金融市場や各業界の見通しなどについて随時配信していきます。

水野文也、佐古田麻優、浜田寛子、植竹知子 編集:内田慎一

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