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展望2023:日経平均は年後半3万円の見方も、日銀正常化なら円高が重し

[東京 3日 ロイター] - 2023年の日本株は、年後半に持ち直すとの予想が多い。前半は中銀の金融引き締めによる景気減速懸念で上値が重いものの、後半にかけインフレが落ち着き、利下げも視界に入る中で、日経平均の3万円乗せを予想する声も出ている。ただ、日銀の金融政策正常化が進めば、円高が輸出株などの重しになるとみられている。

2023年の日本株は、年後半に持ち直すとの予想が多い。東京証券取引所で12月30日撮影。(2023年 ロイター/Issei Kato)

市場関係者の見方は以下の通り。

●年後半に3万円超を試す展開も、NISA拡充が追い風に

<三菱UFJモルガン・スタンレー証券 チーフ投資ストラテジスト 藤戸則弘>

年前半と後半で相場の様相が全く変わるとみている。前半は世界的に株安となり、日経平均は2万5000円まで下落するリスクがある。日本企業は、上期に減益となる可能性が非常に高い。外需中心に売り上げの落ち込みは避けられないだろう。2022年の7─9月期まで企業業績の底上げに寄与した円安が剥落することも、日本経済にとっては逆風となる。

米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げは、少なくとも3月までは続くだろう。インフレが期待したように鈍化しない場合、5月まで続くのではないか。欧州中央銀行(ECB)やイングランド銀行も利上げを継続するするとみられる。経済協力開発機構(OECD)の予想では、米欧の成長率は0.5%で、わずかな環境変化でもマイナス成長に陥りかねない。とりわけ年前半は、景気減速や景気後退(リセッション)が警戒されそうだ。

唯一期待されるのが、OECD見通しで2023年4.6%の成長となっている中国だ。ただ、この数字がコロナ規制の緩和などで年後半の相当程度の経済回復を前提にしていることには注意が必要だ。

後半は緩やかに回復基調をたどるだろう。特に秋以降は、FRBによる金融政策の緩和を織り込む相場となり、日経平均の3万円超えも想定される。24年からのNISA(少額投資非課税制度)拡充を踏まえ、個人投資家を中心に株式投資への意欲が高まるとも予想している。10ー12月期にかけてU字型、もしくはV字型のシャープな戻りとなるのではないか。

日経平均の2023年予想レンジ:2万5000円ー3万0000円

●日本株は前半に一段安、欧米景気悪化で 中国回復は支え

<シティグループ証券 株式ストラテジスト 阪上亮太氏>

日経平均は、2023年の前半にもう一段、調整するリスクがある。市場では欧州や米国の景気後退リスクが意識されているが、まだ十分に織り込んでいない。欧米株の調整に連れて、日本株も下押し圧力が強まるだろう。

欧米の利上げ減速や停止が予想される中、22年のような円安による国内企業の業績押し上げ効果は見込みにくい。来期の会社計画は減益になり得る。織り込む中で日経平均は、2万3000円程度に下落する余地がある。

もっとも、世界同時不況は見込んでいない。コロナ禍からの正常化で欧米に出遅れた日本経済は、景気悪化というほどにはスローダウンしない。中国もゼロコロナ政策の修正によって景気が回復するだろう。世界経済のスパイラル的な悪化は想定しにくい。

景気悪化の根本原因はインフレだが、景気が悪化すればインフレは沈静化するため、悪循環は起こりにくい。欧米の景気後退は、中国景気が下支えとなって長期化せず、年後半には持ち直すだろう。日経平均は年末にかけ、2万8500円程度に値を戻していくのではないか。

日経平均の2023年予想レンジ:2万3000円─2万8500円

●日本株は年央にかけ上値試し、円高が重し 物色2極化

<野村アセットマネジメント シニア・ストラテジスト 石黒英之氏>

日経平均は22年と同様にレンジでの推移を見込んでいる。欧米での金融引き締めへの懸念がインフレ鈍化とともに和らいでくるだろうし、中国経済の復調が見えてくれば日本株は支援される。一方、円安の追い風がなくなり、上値も限られそうだ。

最大の貿易相手国である中国が、かなり強力な経済政策で投資・消費を刺激し経済回復する意向を示している。中国経済の復調が見えてくれば、国内企業にとっても業績の支えになる。年前半から年央にかけ、日経平均はレンジを上抜けて上値を試す局面もあり得る。

一方、2022年は円安で全般的に業績が押し上げられたが、23年はこれがなくなる。このため、指数としての日経平均は上値が重くなりかねない。年後半には円高が企業業績の下押し要因になる可能性がある。ドル高の重しが和らぐ米企業に対してパフォ-マンス面で劣後し、出遅れ気味になってくるだろう。

セクター別では、半導体や電子部品に見直し買いが入りやすいとみている。ただ、セクター全体がいいわけではなく、2極化が進むのではないか。グローバルトップやオンリーワンといった特徴を持ち、円高でも勝てる、価格転嫁力のある会社が買われるだろう。投資家は、企業の真の稼ぐ力を見極める眼力が問われそうだ。

●年後半に日経平均3万円トライか、引き続きディフェンシブ株優位に

<JPモルガン証券 クオンツ・ストラテジスト 高田将成氏>

2023年の日本株は、年前半は米景気後退懸念が引き続き警戒される中、上値の重い展開となりそうだが、年後半にかけては米金利の安定に伴い株価はサポートされそうだ。2022年は米国の利上げやインフレ動向が見通しづらかった一方、23年は不確実性が少しずつ解消されるだろう。

年前半は景気後退リスクが意識され、投資家は保守的でディフェンシブな運用戦略でポジションをキープする姿勢が続きそうだ。また、1―3月期は日銀の正副総裁の交代や一段の金融政策正常化観測が、為替市場の変動、株式市場の動揺につながりやすいとみている。

年後半にかけては、米連邦準備理事会(FRB)がゆくゆくは利上げを打ち止めするとの織り込みが、市場で進むとみている。FRBが景気への配慮姿勢を強めると、米短期金利が低下し、イールドカーブがスティープ化していく動きになるだろう。このタイミングで、株式はポートフォリオのローテーションシフトが起こると予想され、株のリスクテイクが増えるとみている。年末にかけて日経平均は3万円を試す展開となりそうだ。

ただ、年前半から年後半に移る中で、株式市場は単純かつ一本調子には動きにくい。市場が想定している通り米国でリセッション(景気後退)が起きるのかが、2023年夏頃の焦点になるだろう。仮に、リセッションが起これば中銀が景気を支えるアクションを取るのではないか、との期待が出てくる。一方、明確なリセッションが起こらない場合は足元のような弱気相場が続き、停滞した状況となりそうだ。

物色面では、「主演」としてディフェンシブ銘柄を選好するスタイルが続きそうだ。ただ、2022年からディフェンシブ株が買われ続けていたため、「助演」という立ち位置では年後半みれらたように、電子部品や半導体関連銘柄の物色も広がりそうだ。

日経平均の2023年予想レンジ:2万6000円―3万円

*12月23日までの取材に基づきます。

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