[シドニー 25日 ロイター] - 中国は王毅外相主催の会議を来週フィジーで開催する際、警察活動、安全保障、データ通信の協力を盛り込んだ太平洋島しょ国地域全体の包括合意を求める見通し。ロイターが把握した文書で明らかになった。
30日の外相会議に先立ち、中国政府が太平洋島しょ国10カ国に送った共同声明と5カ年行動計画の草案は、中国による地域支配の意図を示しているなどとして、少なくとも1カ国から反発を受けている。
ロイターが確認した太平洋地域指導者21人に宛てた書簡の中で、ミクロネシア連邦のパニュエロ大統領は、中国と西側の間で新たな「冷戦」を引き起こす恐れがあるため、「事前に決められた共同声明」を拒否すべきと主張するとしている。
パニュエロ氏は、台湾を巡る米中の緊張が高まる中、太平洋島しょ国が地政学的な対立に巻き込まれる危険性を強調。「中国がわれわれの通信インフラ、海洋領土と資源、安全保障の面で支配することによる具体的な影響は、主権への影響とは別に、中国がオーストラリア、日本、米国、ニュージーランドと対立する可能性を高めることだ」とした。
共同声明案では、「中国・太平洋諸島自由貿易圏」や、気候変動・保健問題への取り組み支援も提案されている。
王氏は、5月26日から6月4日の日程で、中国が外交関係を持つ太平洋島しょ国8カ国を訪問する予定だ。
中国外務省にこの文書についてコメントを求めたが、回答は得られていない。
ミクロネシア連邦政府は、米国と防衛協定を結んでいるほか、中国とは経済協力協定を締結している。書簡に関してはコメントしなかった。
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