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[ワシントン/ベイルート 3日 ロイター] - 国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が入手した新資料で、ヨルダンのアブドラ国王やチェコのバビシュ首相らがタックスヘイブン(租税回避地)を利用して秘密資産を保有する取引に関与していたことが分かった。
「パンドラ文書」と名付けられたこの資料によると、こうした取引には新旧約35人の世界の首脳や、91カ国・地域の政治家および政府関係者330人余りがかかわっていたもよう。
アブドラ国王の場合、タックスヘイブンに開いた口座を通じて英国と米国で高級不動産に1億ドル強を費やしたとされる。ヨルダン王宮府は声明で「国王が米英に多数のマンションや住宅を保有していることは秘密ではなく、異常なことでも不適切なことでもない」と指摘。アブドラ国王は「これらの物件に関する費用は全て個人的に負担しており、国家予算や国庫で賄われたものではない」とした。
国王の代理人を務める英法律事務所はICIJに対して、公共目的で行われた支援や援助の資金や公的資金を国王はいついかなる場合も、不適切に使ったことはないとコメントした。
米紙ワシントン・ポストによると、ロシアのプーチン大統領と長年にわたってひそかに関係があったとされる女性が、娘を出産した直後の2003年4月、タックスヘイブンを通じてモナコの物件のオーナーになっていたことも判明した。ロシア大統領府(クレムリン)はプーチン大統領の側近に隠し財産があるという証拠はないとした。
チェコのバビシュ首相は、フランスのカンヌ近くの2200万ドル相当の不動産所有に絡む問題が指摘されている。バビシュ氏は3日、不正行為はないと否定した。チェコは8-9日に議会選挙を控えている。
インディアン・エクスプレス紙によると、インドの実業家アニル・アンバニ氏とその代理人も、ジャージー島、英領バージン諸島、キプロスに少なくとも18社のオフショア会社を保有。
このうち7社は2007-2010年に設立され、少なくとも13億ドルを借り入れ、投資したという。アンバニ氏の弁護士は、法律上必要な情報開示はインド当局に行っているとコメントした。
インド財務相はパンドラ文書に関する事件を調査し、適切な措置を講じると表明した。
レバノンでは、複数の政府高官がオフショアのタックスヘイブンを利用していると報じられた。これを受け、ディアブ元首相は4日、パンドラ文書で関係が明らかになった企業の株式を売却したと発表し、不正行為はないと否定した。
米国務省のプライス報道官は4日、パンドラ文書の内容を確認しているが、具体的な内容についてコメントする立場にはないとした。
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