April 12, 2018 / 4:32 AM / 5 months ago

焦点:新PB黒字化、3─6年先送りで調整 歳出削減に景気腰折れも

[東京 12日 ロイター] - 政府が6月に公表する「経済・財政再生計画」(新財政再生計画)で、基礎的財政収支(PB)の黒字化目標を従来の2020年から3年─6年先送りする方向で調整していることがわかった。だが、政府内には一段の歳出削減強化が景気腰折れにつながるとの反対意見もあり、政府内での攻防が続いている。

 4月12日、政府が6月に公表する「経済・財政再生計画」(新財政再生計画)で、基礎的財政収支(PB)の黒字化目標を従来の2020年から3年─6年先送りする方向で調整していることがわかった。写真は都内で2016年2月撮影(2018年 ロイター/Thomas Peter)

3月29日の経済財政諮問会議では、黒字化を担保するために、社会保障費の抑制に加えて、今後一斉に老朽化する社会資本ストック(インフラ)の維持費抑制という2つの課題への取り組みについて、次の会議で議論することを決めた。

そうした取り組みを進めることで「20年代半ばの黒字化を目標とすべき」との提言が3月29日の諮問会議で民間議員からあり、複数の政府関係者は、23─26年度を念頭に議論中であることを明らかにした。

内閣府が今年1月に示した中長期試算では、実質2%・名目3%の成長実現ケースにおいて、歳出効率化を全く織り込まず「自然体」で行けば、27年度にPBが黒字化する。歳出改革を行うことで、それより早期に黒字化すべきという考え方が基本になっている。

安倍晋三首相は17年11月の衆院予算委員会で、昨年秋まで20年度としていたPB黒字化目標に代わり、今年6月にも新たな財政再生計画を策定する方針を表明していた。

政府はその中で、裏付けとなる具体的な計画も併せて示すことにした。一時的に財政収支が黒字化しても、歳出削減の仕組みがなければ、再び赤字体質に戻りかねないためだ。

<黒字化先送りでも、社会保障費カットにハードル>

問題は、高齢化に伴う社会保障費増加をどこまで抑制できるかという点だ。18年度までの歳出改革では、3年間で合計1.5兆円増に抑制してきた。

しかし、高齢者人口が今後、急速に増加することを前提にすると、徹底した改革を実行しないまま社会保障費用の増加ペースを抑制するのは不可能との見方が政府内で多数を占める。

財政再建を重視する政府関係者は、今後3年間の目標について、1.5兆円増からさらに抑制すべきと主張する。

だが、その実現には高いハードルが待ち受ける。例えば、難病治療などの高額医療普及が普及し、高齢者人口増加率を上回って医療費が増加するという現象がある。さらに二重投薬などの無駄排除がなかなか進捗しないため、1.5兆円増に抑制すること自体も困難とみられている。

16年度─18年度に社会保障費の増加を1.5兆円に抑制できたのは、オブジーボに代表される薬価改定の効果が大きかった。ただ、これ以上の薬価引き下げには、製薬会社などからの強い反発が予想され、実現できるのか危ぶむ声が政府・与党内に多い。

さらに負担と給付のバランスを「中負担・中福祉」に変えなければ、持続的な社会保障制度にすることはできないとの意見も根強く政府部内にある。

こうした点を踏まえ、榊原定征・経団連会長は諮問会議で「負担能力のある高齢者に負担を求めるなど改革の本丸には踏み込んでいない」と、議論の現状にいら立ちを示している。

<歳出カット、デフレ逆戻り警戒の声も>

その一方、PB赤字のGDP比率を毎年1%ずつ縮小させるような厳しい歳出改革は、総需要の不振を招き、拡大してきた景気を後退させ、デフレ心理を再び強めかねないと反対する声も、政府部内に少なくない。

このように政府内の意見は、収れんには程遠い状況だが、現実に積み上がっているPB赤字の規模は、「弥縫策」では対応できない規模に膨らんでいる。内閣府の試算では、18年度時点で16兆円超だ。

また、6月にまとめる新たな財政再生計画では、22年度以降に加速する高齢化進展の影響を加味しなければならない。

意見集約は進んでいないものの、PB黒字化の時期に関し、5月中下旬に政府内の見解をまとめる方向で作業は進んでいる。今のところ、3年─6年の間で先送りする案が水面下で検討されている。

中川泉 編集:田巻一彦  

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