February 27, 2015 / 8:12 AM / 4 years ago

アングル:日銀総裁「PB黒字化は第一歩」、財政再建に強い意思

[東京 27日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は27日、政府の財政健全化に関連し、2020年度の基礎的財政収支(PB)黒字化が第一歩と明言した。政府内では「より緩やかな指標」を併用する案も浮上しているもようだが、黒田総裁の発言はPB黒字化の重要性をあらためて内外に発信した形となった。背景には、日銀の量的・質的金融緩和(QQE)を成功させるためには、財政再建への信認が不可欠との黒田総裁の「信念」がありそうだ。

 2月27日、日銀の黒田東彦総裁は、政府の財政健全化に関連し、2020年度の基礎的財政収支(PB)黒字化が第一歩と明言した。都内で1月撮影(2015年 ロイター/Toru Hanai)

政府は2015年10月からの消費税率10%への引き上げを1年半延期し、新たな財政健全計画を今夏までに策定する予定。

増税延期で税収下振れの可能性が高まっており、事実上の国際公約とされる20年度のPB黒字化をどのように達成するかが焦点となっている。

こうした情勢の下で、政府内では債務の対国内総生産(GDP)比改善や、政府保有資産を差し引いたネットベースでの債務も、PB黒字化目標と併用すべきだとの声が浮上している。

この日の講演後の質疑応答で黒田総裁は「長期的には債務の対GDP比を引き下げることが重要と、国際通貨基金(IMF)なども指摘している」と指摘。そのうえで現行の「GDP比200%前後の債務は異常に高い」とし、「20年度のPB黒字化は債務GDP比引き下げの第一歩」と強調した。

政府資産を差し引いた純債務については「政府の保有資産は、実際には売れない」としたうえで、公共サービスを切り下げる必要があるほどの債務危機でなければ、指標とするのは「あまり現実的でない」と述べ、ネットベースでの債務の指標を主要な目安にすることには距離を置いた。

黒田総裁が、政府の財政再建に具申するのは初めてではない。昨年も予定通りに消費増税を実施する必要性を繰り返し発信し、安倍晋三首相周辺から「日銀総裁の則(のり)を超えている」との声が出ていた。

こうした経緯があるにもかかわらず、黒田総裁が財政再建に対する政府のコミットメントに言及するのは、財政再建の帰すうが金融政策の動向に大きな影響を与えかねない構図になっているためだ。

昨年10月の追加緩和で、日銀は国債の全発行額に見合う規模を買い入れるかたちになった。政府が財政健全化にまい進する姿勢をみせることで、財政赤字の穴埋め(財政ファイナンス)でないとの説明に「説得力」が出てくる。

逆に、財政赤字が発散すると見えるようになれば、多くの市場関係者から「財政ファイナンス」と見られ、日銀が国債を買えば買うほど、長期金利が跳ね上がるという「悪夢」が現実化しかねない。

現在の円債場では、政府と日銀に対する信認への揺らぎは見えないものの「市場は、あるきっかけで急変する性質を内包している」(国内銀の関係者)と、潜在的なリスクの積み上がりには注意が必要とされている。

今月12日の経済財政諮問会議で、黒田総裁が安倍晋三首相に対し、あらためて財政健全化の重要性を説いたのも、そうした危機感が黒田総裁にあったからではないかとの観測が、市場の一部で出ている。

ただ、別の市場関係者によると、今月のイスタンブールG20(20カ国財務相・中銀総裁会議)の期間中に水面下で展開された米国と独・仏のやり取りでは、米国が欧州側に対し、財政再建に向けた「手綱」を緩めるよう求め、意見が対立していたとの観測が出ていた。

また、米国は日本に対しても、財政再建を最優先にした政策スタンスをけん制しているとの観測が市場の一部で流れている。

財政再建の手法やテンポをめぐって、日米間に様々な動きが出てきた場合、政府の財政再建計画や日銀の金融政策にも微妙な影響が出てくる可能性がある。

竹本能文 編集:田巻一彦

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