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カメラが捉えた現場、2021年(上)

[22日 ロイター] - 欧州や米国を目指す移民たちの過酷な旅から、世界中で起きた紛争や抗議デモまで、ロイターの写真記者は今年も最も重要なニュースの現場にいた。

トランプ米大統領(当時)の支持者が集った連邦議会議事堂で、警察が投じた閃光弾が爆発した(2021年 ロイター/Leah Millis)

ウクライナ軍の兵士がロシア軍と対峙(たいじ)する最前線の塹壕から、ミャンマー軍が抗議デモに参加する人たちに向かって実弾を発射した現場、そして数千人のトランプ前米大統領支持者が連邦議会を襲った様子まで、彼らはカメラに収めてきた。

欧州に渡ろうと乗り込んだボートで火災が発生し、火傷を負ったリビア出身の父と娘を撮影したダリン・ザミットルピー記者は、「皮膚がただれて、言葉にならない叫び、うめき、泣き声を発している人々のことは、忘れられるようなものではない」と振り返る。

2021年に撮影されたロイターの優れた写真を、撮影した写真記者の言葉とともに紹介する。

(3回シリーズの1)

リア・ミリス記者

「当時大統領だったドナルド・トランプ氏(共和党)の支持者数千人が、1月6日に連邦議会議事堂を襲撃した。2020年11月に行われた大統領選挙の結果を覆し、勝利したジョー・バイデン氏(民主党)の大統領就任を阻止しようとしたのだ。この事件は、1812年の米英戦争以来最悪となる、米国政府の所在地に対する攻撃だった。

私は、トランプ支持者たちが警戒線を圧倒する前に議会議事堂の西側に到着した。そしてそこから7時間、混乱の様子をカメラに収めた。いつからか、支持者らが『せーの』と声を揃えて言い始めた。それを聞いて、彼らが議会議事堂のドアを破って侵入しようとしているのだと気付いた。支持者らは報道陣に対して攻撃的で、暴行の被害に遭った同僚もすでに数人いた。そのため、私はもみ合いの中で押し潰されたり、怪我をするのは避けたかった。全体の状況を確認するため、数週間後に行われる予定の大統領就任式のために組まれた足場を私は登っていった。

私が目の当たりにしたのは、議会議事堂がすでに違う入り口から侵入されていた様子だった。でも私の近くにあった入り口を巡る攻防は数時間続いた。警備員や警察官は、暴徒化したトランプ支持者たちと取っ組み合いで戦い、うち数名が重傷を負った。この日、4人が命を落とし、デモ隊に攻撃された警察官1人が翌日に死亡した。また、後に計4人の警察官らが自ら命を絶った。

ついに治安部隊は群衆を押し返すことに成功した。そして午後5時4分に、残りのデモ隊を解散させるために、閃光弾を群衆に向けて放った。この閃光弾の目がくらむような光で、議会議事堂が薄暗くなった空にはっきりと照らし出された。私にとってこの光は、『米国人が母国の議会議事堂を攻撃し、侵入する』という、この日起きた暴力とショックを象徴となるものだった。そしてその混乱の上で風になびき、誰もが知る議会議事堂のドームに影を落とす米国旗。私はこの光景を忘れることができない。

その日、議会議事堂には多くの報道カメラマンが集い、建物の中でも外でも、重要な写真を撮った。この1枚は世界中での報道だけでなく、トランプ氏の弾劾裁判でも使われた。議会議事堂襲撃事件は米国史に刻まれたし、私たちはこれからもこの日のことを、米国の転機として思い返すだろう」

サバクトビバッタの大群の中に立つ男性。ナニュキ(ケニア)で撮影(2021年 ロイター/Baz Ratner)

バズ・ラトナー記者

「イナゴが東アフリカで大量発生した。気候変動によって悪化した異常気象の影響で、休眠卵の孵化に適切な条件がそろってしまったことが原因だ。ケニアでは、イナゴが最後に見られたのは数十年も前のことだった。それが今では、ただでさえ食糧不安が問題のこの地域で、イナゴが作物や植生を荒らしている。

イナゴの大群は1日で最長150キロメートル移動することができる。移動ルートは道のない土地も含むので、群れを追うのにはとても苦労した。やっと追いついたかと思えば、イナゴが移動してしまっていたこともあった。だが運の良いことに、私はあたりに詳しいガイドを見つけることができた。

イナゴの大群の中での撮影は、まるで雪やあられの嵐の中でする撮影に似ている。だがイナゴが飛び、車にぶつかる音の方が大きく、また服にくっつきやすい。

この1枚を撮った日は、未舗装の道路を車で走っている時に、イナゴの大群に遭遇した。イナゴが周りを飛ぶ中、丘の上に立つ武装した自然保護官に、目が留まった。

私は丘のふもとから、望遠レンズを使ってこの1枚を撮った。ひと1人が写っていることで、イナゴの大群がいかに信じられないほどの大きさか、そして長年にわたる大量発生がこの地域に今も影響していることを伝えられているのではないだろうか」

治安部隊の発砲を受け、地面に伏せる抗議デモ参加者たち。ミャンマー中部マンダレーで撮影(2021年 ロイター)

ソエ・ゼヤ・トゥン記者

「ミャンマーでは、2月の軍事クーデター後に国中で混乱が発生した。私は、ミャンマーに拠点を置く知り合いのカメラマンたちに、現地の写真を送ってくれないかと頼んだ。ミャンマー全土でインターネットが遮断され、現地にいるカメラマンたちと連絡を取ることが難しくなっていった。

ロイターは、3月3日の抗議デモ中に殺害された、エンジェルさん(本名カイアル・シンさん)という若い女性についての情報を得ていた。彼女の写真がSNS上で広く共有され始めていたのだ。ある日、私たちは抗議デモに参加していたフリーランスのカメラマンから写真を受け取った。そして、それらの写真が、エンジェルさんが殺害されたデモで撮影されたものであることに気づいた。彼に、全ての写真を注意深く確認するよう頼んだ。すると、彼はすぐに、殺害される直前のエンジェルさんが写っている写真を4-5枚見つけることができた」

安全上、名を伏せているこのフリーランスのカメラマンはこう語った。

「私は、現地警察と治安部隊が抗議デモを解散させ始める前から、反クーデターデモの様子を撮っていた。この写真は、治安部隊がデモ参加者に向けてゴム弾や実弾、催涙ガスを放ち始めた時に撮影をしたものだ。

これを撮って数分後には、事態が悪化して近くのアパートに避難せざるを得なくなった。この写真は、エンジェルさんが亡くなるその一瞬前に撮られたものだ」

(翻訳:寺本晶子)

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