January 25, 2020 / 2:43 AM / a month ago

焦点:世界的ヒット連発、ポーランドのゲーム産業が密かに躍進

[ワルシャワ/プラハ 23日 ロイター] - ポーランド・ワルシャワの工業地帯にそびえる1970年代のビル2棟。外観はくすんだ色だが、中では今をときめくビデオゲームメーカー「CDプロジェクト」のゲーム開発者や脚本家らが、次の世界的ヒット作を生み出そうとしのぎを削り、活気にあふれている。

 1月23日、ポーランドは約3800万人の半分近くがゲーム人口とされ、この国から毎年100本前後の作品が世界で発売されている。写真はベストベラー本からゲームとなり、世界で大ヒットした「ウィッチャー」のイベント。2019年10月、モシュナにある城で撮影(2020年 ロイター/Kacper Pempel)

東欧随一の経済力を持つポーランドは、密かに世界屈指のビデオゲーム輸出国へと発展してきた。追い風となったのは安い労働コスト、教育を受けた若い労働者、そして共産主義時代にさかのぼる「ゲーム愛」だ。

CDプロジェクト(CDR.WA)の代表作「ウィッチャー」シリーズのヒットでポーランドが世界的な注目を集めて以来、外国人投資家も同国で有望なゲーム開発業者を探そうと熱を入れるようになった。

「人々がポーランドに気付き始めた」と話すのは、米系とポーランド系の両資本が入るベンチャーキャピタル企業、SMOKベンチャーズの創業パートナー、ボリス・ミュージーラック氏。同社は今月、フィンランドの投資家と組んで初めてポーランドのゲーム企業に出資し、現在はアジアの投資家とも出資を協議中だ。

「これまでこの地域に目を向けるのは、エンジェル投資家(富裕な個人投資家)と一部のプライベートエクイティ企業が中心だった。だが、今は世界的なベンチャーキャピタル集団が目を付けている」という。

PwCのデータによると、ポーランドのビデオゲームとeスポーツ市場は、2014年の4億ドル(430億円)から昨年は6億6400万ドル規模まで拡大し、4年後には8億5000万ドルに近づくと予想されている。

<急増する時価総額>

起爆剤は、中世を舞台にしたファンタジー作品「ウィッチャー」の成功だった。全世界で4000万本以上を販売。原作はポーランドのベストセラー本で、昨年12月にはネットフリックスでドラマ配信も始まった。

今年は主人公の視点で移動できる未来アドベンチャーゲーム「サイバーパンク2077」の発売が予定されており、ポーランドのゲーム業界がますます注目を集めそうだ。

ポーランドの証券取引所では、2015年から19年にかけてゲーム企業8社が上場。小規模企業を対象とする「ニューコネクト」市場でも、この間に21社が上場した。

グーグル現地法人のモバイルゲーム・アプリ責任者、マリュシュ・ガシェブスキー氏は「こうした企業の多くはこれまで、資金調達の場として証券取引所を選んできた。他に調達手段が多くなかったからだ。しかし、今では海外からの関心が高まっているため、彼らは容易に資金調達できるようになりつつある」と話した。

取引所のデータによると、CDプロジェクトをはじめとする上場ゲーム企業の株式時価総額は昨年82%も増え、83億6000万ドルを超えた。CDプロジェクトの時価総額は、ポーランド最大企業の製油大手・オルレン(PKN.WA)に急接近している。

<日本や中国と競合>

CDプロジェクト本社はトレーニングジム、映画スタジオ、区切りのない「オープン・プラン・オフィス」など、米シリコンバレーのような特徴を備える。

同社創業者の1人であるアダム・キチンスキー社長は「CDプロジェクトを外国の投資家に広めようと尽力している。西側の市場に焦点を絞っている世界中のファンド、特に米国のファンドと会っている」と話した。

調達規模が増え、海外投資家からも調達できるようになると、ポーランド企業は中国、日本、米国などのゲーム業界リーダーとも競争できるようになるだろう。

ポーランド・ゲーム協会の元理事、スタニスラブ・ユスト氏は「外国人投資家にはノウハウと相応の予算があるため、これらの企業を、単に優れたゲームを作る段階から、押しも押されもせぬトップ企業へと飛躍させる手助けになる」と言う。

<夢見ていた世界>

ポーランドの「ビデオゲーム愛」は、共産主義時代にさかのぼる。学生たちは露天市に集まって海賊版ゲームを交換し合い、コミュニティーが花開いた。

上場しているビデオゲーム企業、11ビッツ・スタジオ(11B.WA)のグジェゴジ・ミエホブスキー社長は「夢見た世界に入るためのチケットは、その前の世代ならロックンロールだった。その後、ゲームがやって来て、僕らは皆、ゲームプレーを通じて西側世界で起こっていることに触れた」と語る。

ポーランドの人口約3800万人のうち、半分近くがゲーム人口とされ、活動しているゲーム企業は約400社と、ドイツの推計数十社を大幅に上回る。毎年100本前後のポーランド作品が世界で発売されている。

同国は人気の世界的に人気のビデオゲームイベントや、世界最大級のeスポーツ・イベント「インテル・エクストリーム・マスターズ」も主催している。昨年は過去最多の2億3200万人が世界中でマスターズを視聴した。

ミエホブスキー社長は、コンピューター科学に秀でた卒業生を輩出するポーランドの教育制度の影響も指摘する。

政府も業界に注目しており、欧州連合(EU)の資金拠出プログラムを通じ、ゲーム開発の初期段階に対する助成を行っている。

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