February 22, 2019 / 3:37 AM / 25 days ago

アングル:スペインの性的虐待被害者、教会の「隠ぺい」に苦悩

[モンセラート(スペイン) 19日 ロイター] - 今月のよく晴れた日曜日、カタルーニャ地方の山腹に立つ壮大なモンセラート修道院を訪れた観光客や信者たちは、プラカードを掲げる2人の男性にはほとんど関心を払っていないように見えた。2人は、性的虐待を隠蔽したことを理由に同地の修道院長の聖職追放を求めていた。

2月19日、今月のよく晴れた日曜日、カタルーニャ地方の山腹に立つ壮大なモンセラート修道院を訪れた観光客や信者たちは、プラカードを掲げる2人の男性にはほとんど関心を払っていないように見えた。マドリードで1月25日、写真撮影に応じるミゲル・フルタドさん(2019年 ロイター/Susana Vera)

だが、青少年期に受けた性的虐待を告発する2人の声は、スペイン社会の内外で反響を呼び、カトリック教会に対し、聖職者によるその種の悪事を明らかにするよう求める圧力となっている。

バチカン(ローマ法王庁)は2月21─24日にかけて、世界各国の司教、専門家、男子・女子修道会のトップを集めて異例の会議を開催し、性的虐待問題への対応を協議する。

ミゲル・フルタドさん(36)は、スペイン当局に対し、未成年者への性的虐待に関する時効期間の大幅延長を求めるオンライン請願を開始した。ウェブサイト「Change.org」に集まった署名は、2016年の開始以来、52万900人に達している。

性的虐待防止に取り組む活動家らは、歴史的に熱心なカトリック国であったスペインでは、何千件もの性的虐待事件が闇に葬られており、今こうして議論が始まったことで多くが明るみに出る可能性があると話している。

フルタド氏はロイターに対し、「私にとって最悪だったのは性的虐待そのものではなく、教会がそれを隠ぺいしようとしたことだ」と語った。

フルタド氏によれば、20年前、当時16歳だった同氏がボーイスカウトの活動に参加していたとき、グループの指導者だったアンドルー・ソレル修道士から性的虐待を受けたとして告発したが、ジョセップ・マリア・ソレル修道院長は何年にもわたり、その告発を封じ込めようとしていたという。

モンセラート修道院を訪れたフルタドさん(2019年 ロイター/Susana Vera)

問題の修道士は2008年に死亡した。

フルタド氏によれば、彼よりも50歳年上だった修道士は、マスターベーションは罪悪であると教えるふりをして彼の性器に触れ、キスをして舌を絡めようとしてきた。彼は「どうしていいか分からず、身動きできなかった」という。

モンセラート修道院は先月、メディア向けの声明のなかで、修道院長が2000年の就任以来フルタド氏による告発を承知していたこと、フルタド氏の治療費及び弁護士費用として2003年に8600ユーロ(約107万円)を支払っていたことを明らかにした。

同修道院は「完全な透明性を持って行動する」ことを約束する一方で、「期待に満たない部分があれば寛容を」と要請し、常にフルタド氏を支えることを念頭に置いてきたとしている。

修道院長は、フルタド氏の抗議活動が行われた3日、信徒の集まりに対して、「私たちは被害者たちに慎んで許しを請い、彼らの苦痛に共感し、支援を提供する。聖職者による未成年者に対する性的虐待は、聖職者に対する信頼を裏切るものであり、非常に有害である」と述べた。

(2019年 ロイター/Susana Vera)

モンセラート修道院によれば、「事件について、いつも異なる説明をしていた」とされる問題の修道士は、2000年に「予告無しに」別の修道院へ転籍になったという。

スペインのメディアによれば、1月にフルタド氏が告発を公表して以降、8人の人物から以前同じ修道士による性的虐待を受けたという告発があったという。

<申し合わせた沈黙>

2月3日、「修道院に透明性と責任を」というプラカードを掲げてフルタド氏の隣に立ったのは、英国人のピーター・ソーンダース氏。全英児童虐待被害者団体の創設者である。ソーンダース氏は、法王フランシスコが2014年に設立したローマ教皇庁の未成年者保護委員会に2017年まで参加していた。

「バチカンは、我々が活動を止めて修道院をそのままにしておくことを望んでいるが、そういうわけにはいかない」と彼は言う。

カトリック教会は性的虐待問題への対応で繰り返し批判されてきた。世界各国で、加害者である聖職者が聖職剥奪や司直への引き渡しではなく、教区を異動させられるだけで済んでいたことも明らかになった。

だが、スペインには変化の兆しが現れている。モンセラートを含む地域の司教会議は12日、虐待のすべての犠牲者に対する謝罪を発表した。昨年11月には、スペインにおける上位の司教であるジル・タマヨ司教が、スペインのカトリック教会には性的虐待事件をめぐって「申し合わせた沈黙」があると述べた。

スペイン政府は、未成年者に対する性的虐待に関する時効期間を、フルタド氏の提案するほどではないにせよ延長する法案を作成した。国会への提出はこれからである。

バチカンは15日、性的虐待を犯した、あるいはそれを隠ぺいしようとした司教を厳しく処分するという警告とも取れるメッセージを発した。未成年者や成人に対する性犯罪の容疑で有罪とされた米国のセオドア・マカリック元枢機卿について、聖職者の地位を剥奪したのである。

フルタド氏は他の11名の性的虐待被害者とともに、20日に今回のバチカンでの会議を立案した実行委員会と面会する。同氏は、モンセラート修道長は同氏の事件に関して、「沈黙を買うための金」を支払うのではなく、時効前に警察に通報すべきだったと話している。

フルタド氏は、モンセラート修道院から受け取った金を弁護士費用として支払った1400ユーロを差し引いたうえで2015年に返却したという。同修道院が、彼を虐待した修道士を称える本を2007年に出版したことを知ったためだ。

モンセラート修道院はフルタド氏が金を返却したことを認めており、その金を慈善事業に寄付したと述べている。同修道院によれば、修道院長は問題の本についてフルタド氏に謝罪し、修道院の出版目録から削除することを約束したという。

スペインの法律では、強姦を除く性的虐待の被害者は、18歳の誕生日から5年間、司法に訴えることができる。さらに深刻な事件の場合は18歳の誕生日以降で15─20年間告訴可能だ。フルタド氏はこの起算期日の引き上げを求めており、これが実現すれば、時効期間のカウントは18歳の誕生日からではなく50歳の誕生日から始まることになる。

15歳の時のコンデさん(2019年 ロイター/Susana Vera)

こうした延長が実現すれば、テレザ・コンデさんのような事件に適用されることになる。サラマンカの出身で哲学を教えるコンデさん(52)は、14歳のとき、30歳年上の司祭にレイプされたと話す。この虐待は3年近くにわたって続いたという。

「レイプ犯は当時何の処罰も受けず、隠ぺいした人々もいまだに何の処罰も受けていない」とコンデさんは言う。コンデさんは生涯にわたって心理的なトラウマを抱え続けた末、42歳のときに過去のレイプ事件について家族に告白したという。問題の司祭が3年前に死んでから、ようやく本当の人生が始まったのだと彼女は言う。

コンデさんが学校に通っていた当時に地域で有力な聖職者だったダニエル・ガルシア神父はロイターに対し、10年前に問題の司祭と交わした会話に基づいて、コンデさんの話は事実であると認めている。

被害にあったという現場の学校を訪れるコンデさん(2019年 ロイター/Susana Vera)

(翻訳:エァクレーレン)

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