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アングル:パウエル議長再任、広がる米利上げ加速観測と新ポジション

[ニューヨーク 23日 ロイター] - 再任が発表された米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は、高騰する消費者物価への対応を強化するため、金融政策正常化のペースを加速する必要がある──。米金融市場ではこうした見方が広がっている。

 11月23日、再任が発表された米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長(写真)は、高騰する消費者物価への対応を強化するため、金融政策正常化のペースを加速する必要がある──。米議会で2017年11月撮影(2021年 ロイター/Joshua Roberts)

パウエル氏はこの数カ月、足元のインフレ率上昇は一過性のものだと主張し、ゼロ近辺に据え置いている政策金利の引き上げ開始時期を「忍耐強く」見極めると述べてきた。FRBは11月に月1200億ドルの国債購入プログラムの縮小を開始し、2022年半ばに新規購入を完全に終了する予定となっている。

しかし、一部の投資家は、10月に約30年ぶりの高水準となった消費者物価指数(CPI)の伸びを抑えるためにFRBは想定よりも速く量的緩和の縮小を進め、利上げ時期を前倒ししなければならないと考えている。複数のFRB高官が最近、インフレを抑えるために金融緩和巻き戻しを早めるべきかどうかについて公の場で論じたことで、こうした見方は一段と強まった。

フェデラルファンド(FF)金利先物は22日午後、来年7月までの利上げの確率を100%織り込んだ。先週は92%だった。

22日にパウエル氏の続投が報じられると、金利見通しに敏感な短期国債の利回りは2020年初頭以来の水準に上昇。パウエル氏は、もう1人の次期FRB議長有力候補だったブレイナード理事よりもタカ派の度合いが強いとの見方が一般的だ。

T・ロウ・プライスのポートフォリオマネジャー、マイク・セウェル氏によると、投資家は「FRBにある程度異を唱え、インフレ対応でFRBが後手に回るのを懸念するようになっている」と言う。

セウェル氏は、FRBがインフレ抑制のため来年3回の利上げが必要になると予測し、短期国債と米ドルを買っている。9月に発表された連邦公開市場委員会(FOMC)のドットチャートはメンバーの半数が来年の利上げ回数を1回と想定していた。

ジェフリーズのアナリストチームは22日の国債利回りの上昇(価格は下落)について、「パウエル氏再指名で来年6月利上げの見通しが大幅に高まったことが背景」と指摘する一方、同社として6月利上げの可能性は低いと見ている。

ヘネシー・エクイティ・アンド・インカム・ファンドのポートフォリオマネジャー、ゲーリー・クラウド氏も短期国債への投資に魅力を感じる1人。「投資家はかつて経験したことのない時代を迎えている。インフレ率のスパイラル的な上昇を防ぐためにFRBが適切なタイミングで行動するかどうか、大きな不確実性があるためだ」と言う。

FRBがどの程度積極的に動くかを巡り見解が分かれ、米国債市場ではボラティリティーが高まった。国債市場のボラティリティー指標のMOVE指数は2020年4月以来の高水準に接近している。

インフレ期待は22日に低下し、5─10年物のブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は約2週間ぶりの水準に下がった。

一方、FRB当局者の一部からも金融政策の正常化をもっと積極的に進めるよう求める声が上がっており、多くの投資家の考えを後押ししている。

クラリダ副議長は先に、次回のFOMCで「バランスシート縮小のペースを上げることについて議論する」必要があると述べ、ウォラー理事は量的緩和の縮小ペースを2倍に加速し、来年4月までに終了させて、第2・四半期中に利上げできるようにすべきだと訴えた。

パウエル氏は、物価上昇の原因となっているサプライチェーン(供給網)の制約がいずれ解消し、インフレは緩和するだろうと説明している。先月には貨物輸送コストが33%低下し、鉄鉱石や木材など商品の価格が下がるなど、供給網を巡る最悪の混乱に収束の兆しも見える。

ただ、物価はまだ上向きだとの声も聞かれる。ハリス・アソシエーツの債券部門共同責任者、アダム・アッバス氏は、ホテル運営会社などの社債を購入している。こうした業種は値上げによってインフレの影響をうまく回避できる可能性があるからだ。

フェデレーテッド・ハーミーズのシニア・ポートフォリオマネージャー、ドナルド・エレンバーガー氏は、インフレがFRBの予想よりも「しつこい」ことが証明され、債券市場はボラティリティーが高い状態が続くと予想。10年債利回りが2.5%以上に上がるまで短期国債に重点を置く方針だ。

「米国債市場は長年にわたり休眠状態が続き、金利はあまり動かなかった」とエレンバーガー氏。「インフレが予想以上に長引くという事態に直面し、市場はどう対応すべきが分からなくなっている」と言う。

(David Randall記者)

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