February 27, 2018 / 10:47 PM / 10 months ago

パウエルFRB議長、初の議会証言:識者はこうみる

[28日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は27日に下院の金融サービス委員会で行った初めての議会証言で、経済の過熱リスクと、成長を軌道上に保つことのバランスをとることを確約し、減税や政府支出などによる追加的な刺激が存在しているものの、FRBは段階的な利上げを実施する方針を堅持すると表明した。

 2月27日、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長(写真)は、下院の金融サービス委員会で行った初めての議会証言で、FRBは段階的な利上げを実施する方針を堅持すると表明した。ワシントンで撮影(2018年 ロイター/Joshua Roberts)

市場関係者の見方は以下の通り。

●タカ派的、日銀買入減額に追い風も

<三菱UFJモルガン・スタンレー証券・シニア債券ストラテジスト 稲留克俊氏>

予想通りにタカ派的と受け止められた。年内の利上げ回数が3回になるのか、4回になるのか、具体的な言及を避けながら、米経済・物価に対して強気な認識を示し、利上げ継続姿勢を示した。

米10年債利回りは2.90%から上振れることもなく、議会証言を無難に消化した印象だ。今後、米利上げ加速の思惑が高まる可能性も否定できない。

円債市場では、利回り低下を食い止めるべく日銀が国債買い入れ減額に踏み切るとの観測がくすぶっている。仮に日銀が減額に踏み切ったとしても、リスク回避ムードが強まりなどで、一方的な円高が進む可能性が小さくなったとみている。

●株安とドル安の連鎖みられず、センチメント変化も

<FXプライムbyGMO 常務取締役 上田眞理人氏>

発言内容は予想の範囲内で、米長期金利が上昇し、株価が下落する結果となった。

ただ、これまでなら米長期金利の上昇につれて株価が一段と深く調整し、株安によるリスク回避からドルが売られる可能性もあったが、前日の米国株の下落幅は300ドル程度にとどまり、ドル指数はむしろ上昇した。

こうしたことからは、米経済や米国市場に対する市場のセンチメントの変化がみてとれる。

米長期金利が2.9%―3.0%台にとどまる限り、金利高から大幅な株安がトリガーされるリスクは後退したとみている。

今夜には米国の第4・四半期GDPの改定値が発表されるが、前日の経緯をみる限り、GDPが強い結果となって米長期金利が上昇し株が軟調になったとしても、ドルはしっかりという展開が予想される。

目先は105円半ばから108円のレンジを想定しているが、108円を上抜ければさらにドルの上昇余地がでてくるだろう。

●想定範囲内でも株安、FOMCまで不安定

<三井住友アセットマネジメント シニアストラテジスト 市川雅浩氏>

基本的に1月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨に沿った内容だった。先行きの景気、物価上昇に自信をうかがわせ、現状の緩やかな利上げペースを続けていく、ということだろう。

議長証言を受けて市場は、長期金利上昇、ドル全面高、株安といった反応になった。質疑応答の中で議長が、景気やインフレ上昇への自信に加え、財政政策も刺激的だとして利上げ軌道見直しの可能性を示唆したことに反応したようだ。

ただ、議長は明確に利上げ回数に言及したわけではない。市場の反応はやや先走り過ぎにもみえる。3月のFOMCまでは、不安定な相場が続きそうだ。メンバーの金利見通しや、概ね織り込まれた利上げを実施した後の議長会見で、新体制のスタンスを確認する必要がある。

●株価は数週間前の水準に逆戻りも

<ファースト・スタンダード・フィナンシャルの首席市場エコノミスト、ピーター・カルディロ氏>

パウエル氏が年内に3回を上回る利上げがある可能性を示唆すると同時に米国債(利回り)が上昇、ドルが小幅に値を上げ、株価は下落した。

パウエル氏が示唆したのは、2%のインフレ目標は市場が予想するよりも早く達成できる見通しだということだ。これは、市場がまだ織り込んでいない利上げを意味する。

10年債利回りが3%に近づけば、恐らく市場は再び下落傾向となり、株価指標は数週間前の水準に達する可能性がある。非常に厳しい展開が待っているかもしれない。

●期待通り、的確かつ明確

<カンバーランド・アドバイザーズの会長兼最高投資責任者(CIO)、デービッド・コトク氏>

中立派で経験が豊富だと考えられている新議長として、期待されていたことをそのまま実行した。証言文書は的確かつ明確な内容だった。

自身に向けられた質問や主張に忍耐強く耳を傾け、11月(の中間選挙)にかけての政治的な意図があると思える内容にも、すべてに落ち着いて対処した。

金利が上向くトレンドをたどり、バランスシートの縮小を進めるという現在の段階的な道筋以外へのコミットメントを避けた。

●ややタカ派的、市場巡る言及は意外

<アルビオン・フィナンシャル(ソルトレークシティ)の最高投資責任者(CIO)、ジェイソン・ウェア氏>

ややタカ派的だった。1つ意外だったのは、株式市場やこのところのボラティリティーについて懸念していないと直接言及した点だ。

パウエル議長は「このところのボラティリティー」は懸念していないと述べた。短期的な株式相場の動向はFRBがとりわけ集中するものではないが、バーナンキ元議長、イエレン前議長の下でのFRBは、それ以前のFRBと比べて株式市場の動向を注視するところに特徴があった。

パウエル新議長は議会で、こうしたことは特に神経質になることではないとし、段階的な利上げの軌道に乗っていると発言。これは株式・債券市場のこのところの動静を踏まえると、非常に地に足がついた発言だった。

●景気強まったとの発言、4回の利上げ示唆

<ジョーンズトレーディングの首席市場ストラテジスト、マイケル・オローク氏>

年内に3回もしくは4回の利上げを実施するかとの質問に対し、パウエルFRB議長の回答はわれわれの四半期見通しとほぼ一致した。ただ、景気は強まっているとの認識を示したことは、利上げ見通しを4回に引き上げる可能性があることを示唆したと受け取られ、相場は反応した。

●金利見通し、積極的なメッセージ無く

<テンパス(ワシントン)のトレーディング部バイスプレジデント、ジョン・ドイル氏>

前任のイエレン氏とほぼ同様の内容だったようだ。緩やかな追加利上げを見通すなどした。

今回の機会を活用して、金利見通しについてより積極的なメッセージを発するとの一部予想もあったようだが、本日は外れた格好だ。

●良好な米経済示す

<グリーンウッド・キャピタル(サウスカロライナ州)の最高投資責任者(CIO)、ウォルター・トッド氏>

パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言と26日のクオールズFRB副議長の発言は、米国経済が非常に良好であることを示した。これまで長期に渡って「経済は順調である」とされてきたが、一段と良くならない言い訳などが常にあった。ただ今回のパウエル議長の議会証言では状況が非常に良いことが示されたとみている。

米国株が下げた理由は何か。思うにパウエル議長が議会証言の中で利上げに言及したことが要因なのだろう。

市場が求めているものは一貫性であり、FRBの思考プロセスにおける大きな変化などではない。その点で言えば、パウエル議長はうまくやったと言える。

*内容を追加します。

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