June 15, 2015 / 4:08 AM / 5 years ago

コラム:顔から読み解くプーチン大統領の「秘密」

[10日 ロイター] - 米国のマケイン上院議員(共和党)はロシアのプーチン大統領と会談した後、次のように冗談を飛ばした。「プーチン氏の目をのぞき込んだら、KとGとBという3つの文字が見えた」

 6月10日、ロシアのプーチン大統領が見せる表情からは、怒りや恐怖や軽蔑などが見て取れるが、最も重要な感情は、失望や後悔や孤独の念だ。写真は4月撮影(2015年 ロイター/Maxim Shemetov)

マケイン氏は、プーチン氏が旧ソ連時代に国家保安委員会(KGB)の元スパイだったことをジョークにしたのだが、プーチン氏はスパイとしての重要な資質に欠けていたように思える。その資質とは、内心を顔に出さないポーカーフェースでいることだ。

他の米国の政治家たちも、プーチン氏の豊かな表情を読み取ろうとしてきた。

よく引用される例を挙げると、ブッシュ前大統領が2001年にプーチン氏と初めて会談した際、同氏の「魂に触れた」と述べ、「とても率直で信頼できる」人物だと評した。

これとは対照的に、バイデン副大統領は2011年にモスクワを訪問した際、プーチン氏に面と向かって「目を見ているが、あなたに魂があるとは思わない」と述べた。バイデン氏がのちにニューヨーカー誌のエバン・オスノス氏に語ったところによれば、プーチン氏は動じず、「われわれはお互いに理解している」と笑顔で答えたという。

人の感情を読むことは、その人を完全に理解するためには極めて重要である。そして、感情は表情に最もよく表れるというのは本当のことだ。

その理由は2つある。

第1に、顔の表情は非常に普遍的であり、生まれつき目の不自由な人も健常者と同様に感情を表す。顔の筋肉の動きと、それによって表される感情は学習によるものではなく、生まれつき脳に備わっているものだ。第2に、顔は体のなかで唯一、筋肉が皮膚とくっついているので、感情の情報をすばやく伝えることが可能だ。

では、プーチン氏の表情から、同氏の性格やロシア大統領として取り得る行動について、何が読み取れるだろうか。

1つ目は怒りだろう。最も頻繁に見られる表情は怒って目を細めるものだが、これは相手に挑みかかる衝動を表す攻撃的な態度を表している。その相手は、ジョージア(旧グルジア)だったりウクライナだったり、もしくはロシア国内の反政府勢力だったりするかもしれないが、その候補は数多くいる。

攻撃的な態度のほかにも、怒りは自分の運命を支配し進歩を遂げたいという感情を表す。そして、進歩を妨げる障壁が不当と感じられるまで怒りは増幅していく。

ケリー米国務長官は、ロシアによるウクライナ東部への介入を「21世紀の世界で19世紀の行動」だと表現したが、プーチン氏は明らかに今現在起きていることについて感情をぶつけている。同氏はロシアの伝統的な象徴であるクマをよく持ち出し、西側は「いつもクマを鎖でつないでおこうとする」と主張する。

プーチン氏が2番目によく表す感情は恐怖だ。眉を上げて口をあんぐりと開ける表情をする。恐れの感情もまた、プーチン氏がどのように世界を見ており、同氏の性格というフィルターを通して、ロシアがいかに行動するかを大いに教えてくれる。プーチン氏にしてみれば、自身とロシアを守るため、危険を回避する必要性を深く感じているに違いない。

恐怖は人を凍りつかせ、行動を取れなくする。しかし、怒りを伴った場合は違う。恐怖と怒りが混ざり合い、強さを増した感情は、生き残ることこそが重要であり、悪い結果をもたらすことになろうとも、自己主張を増長させる可能性がある。

3つ目に、プーチン氏は時々、にやけて軽蔑したような表情をすることがある。特に、オバマ米大統領や、法の秩序を重んじ、前向きすぎる彼の世界観に対してそのような態度をしがちだ。

しかしプーチン氏の心理的構造を理解するのに覚えておきたい最も重要な感情は、何と言っても悲しみ、つまり失望や後悔や孤独の念だ。プーチン氏が目を閉じたり伏せたり、口角を下げたりした場合にそういった感情は表れている。

プーチン氏は西側に対して容赦のない、強硬な態度を示しているが、ロシアの地政学的な孤独もそのような態度の結果だと言える。欧州の周辺国であり続け、その完全な一員でもない。ロシアのほか、バルト3国、ポーランドなどを訪れて初めて完全に理解したことだが、東欧には本質的な頑固さがある。

プーチン氏の慎重さを考えると、このような東欧の気質の一部を備えているようだ。同氏はいつでも危険に敏感で、常に職務を忘れない。

東欧で気づいたことだが、同地域の人たちは心からの笑顔を見せない。幸せな人は無防備な愚か者だという基本的な考えが広く共有されているようだ。

筆者がエストニアでスピーチを行った後に、通訳が言ったある話がすべてを物語っている。男は妖精から望むものは何でも得られると言われるが、最大の敵は男が望むことの2倍の量を得られるということだった。では、男は何を望んだのか。なんと、自分の片目がくり抜かれることを望んだというのだ。

このブラックジョークは、西側諸国がプーチン氏の表情と性格から何を読み解くべきかについて大いに物語っている。プーチン氏は苦痛をも恐れない人物なのだ。それがたとえ、いかに危険で怪しい見返りだったとしても。

*筆者は顔分析をマーケットリサーチに取り入れた第一人者。「Emotionomics」など4冊の著書がある。

*本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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