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長期金利上下0.25%の変動、市場機能の点で妥当=日銀会合主な意見

[東京 29日 ロイター] - 日銀が18―19日に開いた金融政策決定会合で、長期金利の上下0.25%程度の変動を許容することについて「収益機会が失われていたアービトラージャーやスペキュレーターが債券市場から退出することを防ぎ、市場が持つ価格安定化機能を維持する観点からも望ましい」との意見が出ていたことが明らかになった。

 3月29日、日銀が18―19日に開いた金融政策決定会合で、長期金利の上下0.25%程度の変動を許容することについて「収益機会が失われていたアービトラージャーやスペキュレーターが債券市場から退出することを防ぎ、市場が持つ価格安定化機能を維持する観点からも望ましい」との意見が出ていたことが明らかになった。日銀本店前で2020年5月撮影(2021年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

日銀が29日、決定会合で出された「主な意見」を公表した。日銀はこの決定会合で政策点検の結果を取りまとめ、長期金利の許容変動幅について「プラスマイナス0.25%程度」と初めて声明文に盛り込んだ。

もっとも、委員からは金利上昇への警戒感が示された。ある委員は、長期金利の変動幅の上限について、新たに導入する連続指し値オペ制度も駆使して「厳格に対応することが適当」と指摘した。新型コロナウイルス感染症の影響が続く中、「当面は、イールドカーブ全体を低位で安定させることを優先した運営が適当だ」との意見も出ていた。

日銀は、金融仲介機能に配慮しながら機動的に長短金利を引き下げるため「貸出促進付利制度」を創設。日銀による各種の資金供給オペを制度趣旨に合わせて3段階に分け、金融機関による融資を促すため、インセンティブを短期政策金利に連動させる仕組みにした。

この制度について決定会合では「利下げの可能性を限定的にみている市場参加者の認識を改めてもらう上でも有効」といった意見が出された。

副作用への対応の観点から「金利引き下げ時の対応を具体的に明記することや、長期金利の変動幅を緩和政策と整合的な範囲で明示することで、透明性を高める必要がある」といった指摘も出ていた。

<ETFなどの買い入れ見直し>

日銀は決定会合で、上場投資信託(ETF)などの買い入れ手法も見直した。ETFなどの買い入れについて、ある委員は「市場が大きく不安定化した場合に大規模な買い入れを行うことが効果的」と指摘。「これまで以上にめりはりをつけることで、持続性と機動性を高めることができる」と述べた。

また「必要な際に機動的に対応する方針を明確化することが適切」といった意見も出された。買い入れの見直しが「金融緩和の後退と誤解されないように注意が必要」との指摘も出ていた。

<「埋め合わせ戦略」としてのオーバーシュート型コミットメント>

日銀は政策点検で、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまでマネタリーベースの拡大方針を続ける「オーバーシュート型コミットメント」を修正しなかった。

日銀はオーバーシュート型コミットメントを、物価上昇率の実績値が目標を下回る期間が続いた場合には、そうした状況を考慮に入れて金融緩和を行うという「埋め合わせ戦略」の実践と位置付ける。決定会合では「デフレのリスクの方を懸念せざるを得ない現状では、出口には容易には向かわないという日銀の強いコミットメントを示す役割を担っている」との指摘が出された。

一方で、このコミットメントを「戦略実現に向けた具体的な行動が伴う形へと修正することが適当だ」との意見も出ていた。

今回の政策点検は、新型コロナの影響で経済・物価に下押し圧力が掛かり、2%の物価目標の実現までより長い時間が掛かるとの見通しのもとで行われた。ある委員は「今回の政策対応によって、物価安定目標の実現のために必要な政策の持続可能性と機動性が確保できたことは大きい」と評価。「この政策枠組みが、今後数年間、金融緩和政策の基本的指針となることを期待する」と述べた。

和田崇彦 編集:内田慎一

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