[シドニー 24日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)のロウ総裁は24日、既に歴史的低水準にある政策金利をさらに引き下げても経済に恩恵はほとんどないとし、財政政策を通じた景気刺激が必要だとの認識を示した。議会経済委員会で述べた。
総裁は、政策金利が1.50%という低水準にあるにもかかわらず民間設備投資は不足していると指摘し、インフラへの公共投資拡大を通じて成長を押し上げる必要があると主張。
とりわけ輸送網などのインフラを新たな資産として構築することが望ましいとし、金融政策は需要を喚起する最善の方法ではないとの考えを示した。
ロウ総裁はまた、市場が年内の金利据え置きを織り込んでいるのは合理的と思えるとの認識を示した。
先物市場<0#YIB:>は、年内利下げを織り込んでおらず、来年初めの利上げを予想する市場関係者もいる。
総裁は、家計部門の借り入れのトレンドを注視しているとの姿勢を示し、追加利下げに否定的な考えをあらためて示唆した。
RBAは昨年8月の利下げ以降、政策金利を1.50%に据え置いている。ロウ総裁は、現在の政策設定で均衡した経済成長を実現することを望んでいるが、労働市場が減速すれば対応が必要になると語った。
総裁は「バランスが重要だ。今、借り入れをし過ぎれば、将来的には問題が生じかねない。負債は返済しなければならない」と指摘した。
一方で、失業率が高止まり、あるいは上昇すれば利下げ要因になることから、労働市場も「注意深く」見守っていると言明した。
総裁は「国内の失業率を持続的に引き下げることは可能なはずだ」と述べたが、失業率は過去1年余りにわたり5.7%付近で横ばいとなっている。
ロウ総裁はまた、豪ドルについて、下落することを望んでいるが、現在のレベルが過大評価されているとは言い難いとの認識を示した。
豪ドルAUD=D4は主要輸出品である鉄鉱石の価格上昇に支援され、今年に入って7%超上昇。主要通貨で最も上昇率の高い通貨の1つだ。
総裁は、商品価格が上昇すれば豪ドル相場も上昇する、と述べた。
総裁は、住宅投資家への貸し付けが増加し続ければ、大手銀行への監督を一段と強化する可能性があると表明した。オーストラリアでは投資向け不動産への融資が拡大し、大都市の住宅価格が急上昇している。
不動産投資における優遇税制「ネガティブギアリング」を改正すれば、住宅市場の一定の沈静化につながるのではないかと指摘した。
*内容を追加します。
私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」