[ムンバイ 8日 ロイター] - インド準備銀行(中央銀行)は8日、主要政策金利を50ベーシスポイント(bp)引き上げた。長引くインフレに対応するため、2カ月連続で利上げに踏み切った。
さらに、緩和的スタンスを維持するとの従来の文言を取り下げ、向こう数カ月の追加利上げや、他の形式での引き締め実施を示唆した。
ダス総裁は政策決定後「過去の政策会合で指摘されたインフレの上振れリスクは、想定より早く現実のものとなった」と指摘した。
中銀は今回、市中銀行向け貸し出し金利のレポレートを4.40%から4.90%に引き上げた。常設預金ファシリティー(SDF)金利と限界常設ファシリティー(MSF)金利も同様に50bp引き上げ、それぞれ4.65%、5.15%とした。
総裁はかねてより、6月の利上げ実施は「考えるまでもないことだ」と公言していた。ただ、ロイターが実施したアナリスト調査では利上げ幅で予想が割れ、25―75bpのレンジでばらついた。
インド中銀は5月上旬の臨時会合で40bp利上げし、引き締めサイクルを開始した。
キャピタル・エコノミクスのインド担当シニアエコノミスト、シーラン・シャー氏は「インフレに関するタカ派的トーンの高まりは、向こう数カ月の政策引き締めを示唆している。8月の次の定例会合で、50bpの追加利上げがあるのではないか」と述べた。
<強まるインフレ圧力>
ダス総裁は、インフレ率は4月1日からの年度の最初の3四半期、中銀の容認レンジの上限を上回る水準が続くと予想。
流動性は依然として新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)前の水準を上回っているとし「成長を支援しつつ、インフレ率が目標圏内に収まるよう、緩和策の解消に引き続き注力することを決定した」と説明した。
インドの4月の消費者物価指数(CPI)は前年比7.79%上昇、中銀が掲げる容認レンジ(2─6%)を4カ月連続で上回った。原油や食品、その他のコモディティー(商品)価格の世界的な上昇加速を受けて、物価上昇圧力は今後も強まるとみられている。
中銀は、2022/23年度のインフレ率予想を6.7%とし、従来の5.7%から引き上げた。成長率見通しは7.2%に維持した。
エムケー・グローバル・ファイナンシャル・サービスのエコノミスト、マダビ・アローラ氏は「今後2四半期はインフレ率が7%を超える可能性が高く、中銀は早急に行動する必要に迫られるかもしれない。(今年度中に)さらに75bp以上引き上げられる可能性がある」と予想した。
クオンツエコのエコノミストは「預金準備率が50pb引き上げられるとみていたが見送られた。だが全体の流動性を縮小する何らかの措置を引き続き予想している」とし、預金準備率の変更やドル売り介入の拡大が考えられると述べた。
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