May 30, 2019 / 3:46 AM / in 5 months

アングル:ルノー・FCA、統合効果の実現に高いハードルも

[フランクフルト/デトロイト 29日 ロイター] - 欧米フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)(FCHA.MI)は仏ルノー(RENA.PA)に提案した経営統合が莫大なコスト削減効果をもたらすと見込むが、自動車業界の幹部経験者などは成功の可能性は低いと指摘する。統合当初の青写真を現実のものにするには多くの困難を伴い、自動車の長い買い替えサイクルも足かせになるという。

 5月29日、欧米フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)は仏ルノーに提案した経営統合が莫大なコスト削減効果をもたらすと見込むが、自動車業界の幹部経験者などは成功の可能性は低いと指摘する。写真はFCAのロゴ。ミシガン州 で昨年5月撮影(2019年 ロイター/Rebecca Cook)

過去の失敗例もある。1994年の独BMW(BMWG.DE)による英ローバーの買収や1998年の独ダイムラー(DAIGn.DE)とクライスラーの合併は、理論上は合理的に見えた。当初は車台(プラットフォーム)やエンジンの共通化による利益押し上げ効果が見込まれていたが、現実では経営統合は機能しないことが判明し、資本関係は解消された。

モルガン・スタンレーによると、1999年以来アライアンス(企業連合)を組んできたルノーと日産自動車(7201.T)は、日産車の70%に共通プラットフォームを採用するという目標を掲げたが、実際は35%にとどまっている。

FCAとルノーは、工場を閉鎖する可能性を排除することで、自らコスト削減効果を上げる際のハードルを高くした。FCAはルノーとの統合が実現すれば、部品調達コストや研究費の分担によって年間50億ユーロ以上のコスト削減が可能と見込んでいる。

FCAが提示した経営統合案は未決定の部分が多く残されている。ルノーの取締役会は近く、提案を受け入れるとみられるが、合意は覚書の形にとどまり、経営および財務に関する細部は今後詰めることになるだろう。全ての手続きが順調にいったとしても、最終合意と正式な経営統合までには数カ月を要する可能性がある。

自動車メーカーが二酸化炭素(CO2)排出量の削減を迫られていることも再編を後押ししている。業界の専門家らによると、新たに電気自動車(EV)を開発すれば、最初からコストを分担する機会が増えるという。

コンサルティング大手アリックス・パートナーズの幹部、エルマー・ケーディス氏は「コネクテッド(つながる)、自動運転、電動化、シェアード(共有)自動車の台頭でメーカー側は即座に投資する必要があるため、新たなコスト分担の機会が生じている」と指摘する。

ただ、大半のEVは損失が発生する。これは、欧州の都市を走ることを想定したシティー・カーにとっては特に大きな課題となる。ルノーとフィアットはともにこの部門が売上高に占める割合が高い。

スウェーデンのボルボ・カーや中国の浙江吉利(ジーリー)の幹部、BMWの生産部門の責任者を務めた経験があるカールピーター・フォースター氏は、「低価格の小型車で費用対効果を出すのが一段と難しくなっている」と指摘する。

「ハイブリッド技術は低価格部門では高過ぎるし、電動化についても高価な大型バッテリーと安くて小型だけど航続距離が限られるバッテリーのどちらにするかというジレンマがある」と語った。

フォースター氏は、ジーリー傘下に入ったボルボ・カーの経営など多数の大型M&A案件に接してきた。FCAとルノーの統合案についてコメントは差し控えたが、プラットフォームやエンジンの共通化の効果が目に見えるメリットとして表れるまでには時間がかかると指摘した。

<同業他社は大型合併に懐疑的>

ドイツ銀行のアナリストは今週、FCAが欧州で環境規制を満たすためには、1キロメートル走行当たりのCO2排出量の平均を124グラムから93グラムまで削減する必要があると分析した。エンジンの環境性能が高くスポーツ用多目的車(SUV)の販売台数が少ないルノーの平均排出量はFCAよりも低い113グラムとなっている。

FCAは競合社からCO2の排出枠を購入するなどして欧州の規制を満たすことが可能としている。

投資家は当初、ルノーとFCAの統合案を歓迎した。ただ、競合他社の幹部らは大型合併には慎重な姿勢だ。米フォード・モーター(F.N)と独フォルクスワーゲン(VW)(VOWG_p.DE)は広範な製品や地域、技術で提携する方向で協議しているが、合併の可能性は検討していない。

ダイムラーとルノー・日産連合は13の異なるプロジェクトで技術を共有し、20億ユーロ強のコスト削減を達成してきた。それでもなお、ダイムラーのディーター・ツェッチェ前最高経営責任者(CEO)は退任前に、大再編となるような大型合併の必要性は感じないとの見方を示している。

ツェッチェ氏はルノーのゴーン前CEOと行った会見で「われわれは2人とも提携や資本統合で多数の経験を積んでいるが、全てが好調だったわけではない」と述べた。

ダイムラーに買収される前のクライスラーの社長だったトーマス・ストールカンプ氏は「現実に問題となるのは経営陣の統合で、誰が指揮を執り、資本を掌握するのかということだ」と指摘。日産と三菱自動車も統合に加われば、経営陣のかじ取りは一層難しくなると付け加えた。

「ルノー、三菱、日産、フィアットそしてクライスラーとなれば気が遠くなるような話だ。正気の人はそのような試みはしないだろう」と述べた。

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