September 21, 2019 / 10:09 PM / in a month

アングル:米国で洋服レンタル急拡大、実店舗と「共食い」懸念も

[マドリッド/ニューヨーク 18日 ロイター] - ニュージャージーの博物館で広報担当者として働くリサ・バティットさん(54歳)は、もう服を買うことはほとんどないという。レンタルするようになったからだ。

9月18日、ニュージャージーの博物館で広報担当者として働くリサ・バティットさん(54歳)は、もう服を買うことはほとんどないという。写真は12日、ニューヨークのレンタル店で洋服を選ぶ女性(2019年 ロイター/Shannon Stapleton)

バティットさんは、3つの衣料レンタルサービスを利用しており、会費として合計月277ドルを払っている。その1つは、米国内に数百店舗を持つ中間価格帯のレディス衣料チェーン、ニューヨーク&カンパニーが提供するサービスだ。

今払っている金額は、以前のファッション関連支出よりも少ない、という。「購入していた頃の服はまだクローゼットにあるけれど、最後に何か買ったのがいつかは思い出せない」そうだ。

<大手チェーンも相次ぎ参入>

RTWリテールウィンズ(RTW.N)傘下のニューヨーク&カンパニーから、ブルーミングデールズ(M.N)、ギャップ(GPS.N)傘下のバナナリパブリックに至るまで、商品を月単位の料金でレンタルに回すアパレル小売企業は増加しつつある。

全世界に5000店近い店舗を持つファストファッションの雄、H&M(HMb.ST)でさえ、8月、改装されるストックホルム中心部の店舗において、再生繊維で作られたプレミアムコレクションを中心とする限定レンタルサービスを開始する予定だと発表した。

バティットさんのように「少数のアイテムだけを購入し、残りはレンタルで済ませたい」と考える人は増加しており、これらのサービスはそうした要望に応えるものだ。

だが、この戦略にはリスクも伴う。商品を繰り返し発送したり受け取ったりするにはかなりのコストを要するし、長期的にはレンタルと実際の店舗での売り上げがカニバリゼーション(共食い)を起こす恐れもある。

レンタル料金はほぼ月50ドル~160ドルの範囲となっており、複数の商品を注文し、それらを割引価格で買い取るオプションが付く。ほとんどのサービスはオンラインだが、店舗によっては、レンタル対象商品を実際に手に取り、貸出・返却が可能なスペースを設けているところもある。

サンフランシスコを拠点とする衣料レンタルサービス、ルトート(Le Tote)は先月、業績不振に悩むカナダのハドソンズ・ベイ・カンパニー(HBC.TO)から、百貨店「ロード+テイラー」の店舗網を買収した。

ルトートでは今後9ヶ月以内に、「ロード+テイラー」38店舗に、レンタル対象商品の返却用ロッカーや広大な展示スペースを構築することを計画している。

競合するレント・ザ・ランウェイはこの1年間で物理的な返却拠点ネットワークを拡大し、ロサンジェルス地域では、直営店だけでなく、「ウィワーク」が提供するコワーキングスペースや百貨店「ノードストローム」店舗を加えた25カ所でレンタルした服の返却が可能になっている。

レント・ザ・ランウェイの広報担当者によれば、同社では1つの商品を最短1日で次のレンタルに回すことが可能だという。同社は7月、増加する需要に対応するため、従来のニュージャージー州内の施設に加え、テキサス州に総面積30万平方フィートの注文処理センターを開設した。

<最大のコストは配送料>

だが、レンタルサービスが拡大を続ければ、アパレル産業の従来の売上高が食われてしまいかねないというリスクはある。ショッピング習慣の変化や価格下落により、米国の平均的消費者の支出に占める衣料関連の比率は30年前の半分近くに低下している。

さらに、アパレル関連の実店舗は、アマゾンなどオンラインショッピング事業者との競争で苦戦している。コアサイト・リサーチによる最近の報告では、年初来のアパレル関連の閉店件数はすでに2018年の総数を超えたという。

調査会社グローバルデータによれば、パーティ用衣装等を除く米国の衣料レンタル市場の規模は2018年で10億ドルとなっており、アパレル市場全体の1%に満たない。だがデータによれば、2018年の成長率は、アパレル市場全体が5%だったのに対し、レンタル部門は24%となっている。

急拡大するレンタルビジネスだが、その成長ペースを維持するにはかなりのコストがかかっても不思議はない。それに対応した新たなビジネス手法も登場している。

ルトートでは、会員が最大15点までの衣類を入れられるボックスを返却したとたんに、次の貸出しに向けた一連のプロセスが始まる。ルトートでは現在、オンライン会員に対してUSPSプライオリティを使ってボックスを発送している。

ルトートのラケシュ・トンドン(Rakesh Tondon)CEOは、あるインタビューのなかで「最大のコストは配送料だ。だから、顧客が立ち寄って商品の借り出しや返却を行う窓口として、こうした店舗を保有すれば、配送コストをかなり抑えることができる」と語っている。

ニューヨークを本拠とするカースル(Caastle)は、ニューヨーク&カンパニー、ブルーミングデールズ、バナナリパブリックなどの衣料レンタル事業に対してテクノロジーやロジスティクスを提供している。母体であるレディス向けアパレル事業グウィニービーから、他社向けのレンタル関連サービスを確立するために2018年にスピンアウトした事業である。

カースルのクリスティン・ハンシッカーCEOはあるインタビューのなかで、レンタル事業とのカニバリゼーションを懸念するアナリストの味方とは裏腹に、入会した消費者がレンタル利用以外にも商品を買ってくれるおかげで、レンタル事業によって収益は増加している、と話している。

<ブランド側との収益配分方式で>

衣料レンタルサイトは、ブランドから卸値で商品を購入しているが、収益配分モデルを導入しつつあるサイトも多い。つまり、ブランド側にはレンタル向けに商品をアップロードしてもらい、サイト側では収益の一部と引き替えにクリーニングや配送を担当するという方式だ。

ルトートのトンドンCEOによれば、こうしたモデルはキャッシュフローの点では優れているが、利益率は下がるという。ルトートは過去5年間で、アジュール・キャピタル、スウェイ・ベンチャーズ、グーグル・ベンチャーズなどの投資家から約7500万ドルの資金を調達しており、この3年間、営業利益は黒字になっていルトートンドンCEOは話している。

収益配分モデルに基づいてレント・ザ・ランウェイに商品を提供しているジーンズメーカーのリーバイス(LEVI.N)は、レンタルに提供する商品を、11月に提供を開始したときの12品目から、現在では、スキニータイプのジーンズや刺繍加工のあるデニムジャケットなどを含む29品目に拡大した。

リーバイスから米国の高級ブランド「レベッカ・テイラー」(シルクのドレスの小売価格は数百ドルだ)に至るまで、さまざまなブランドが在庫商品をレンタルに提供している。新たな収益源を開拓し、新規顧客を獲得し、貴重なフィードバックを得るのが目的とされている。

米国南部ジョージア州の小さな町で暮らす大学生ティアラ・フィリップスさん(18歳)は、「エクスプレス」の会費として月69.95ドル払っている。エクスプレスはアパレル小売ブランドで、やはりカースルのシステムを利用したレンタルサービスを提供している。

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フィリップスさんは、600店以上もあるエクスプレスの実店舗ネットワークを一度も訪れたことがないが、レギンスからドレスまで、さまざまなアイテムをレンタルしているという。

「洗濯してくださいとも言われない。ただ着て、送り返して、次のボックスを借りるだけ。実際のところ、何もせずに家で座っていればいい」と彼女は言う。

(翻訳:エァクレーレン)

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