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ブログ:卓球の愛ちゃん、雨と涙
2016年8月17日 / 03:17 / 1年前

ブログ:卓球の愛ちゃん、雨と涙

[17日 ロイター] - 雨が降っていた。2008年の北京オリンピック、卓球女子シングルス4回戦。福原愛は、アテネ五輪でシングルス・ダブルスの2冠を獲得し優勝最有力候補とみられていた中国の張怡寧に負けた。1ゲームとったものの、ほぼ完敗だった。

 8月16日、リオデジャネイロ五輪の卓球女子団体3位決定戦で、日本はシンガポールを3―1で下し、銅メダルに輝いた。団体での勝利を喜ぶ福原愛(写真右)と伊藤美誠(2016年 ロイター/Alkis Konstantinidis)

    筆者が記事を送信し、メディアセンターに戻ろうと会場を出ると、外は朝方から降り出した雨が強くなっていた。ふとみると、体育館の壁際に人が集まっている。福原の囲み取材が外でも続いていた。

    オリンピックでは、試合後のメディア取材は何度も行われる。試合直後はテレビ取材。われわれがテレビで目にするのはこの場面だ。その後、海外通信社や地元優先メディアの取材を経て、出身国のマスコミの囲み取材となる。それもテレビなど映像メディアと新聞社など活字メディアは通常、別に行われる。

    福原は当時から中国で大変な人気者だった。中国のリーグに所属し、中国語も流暢に話す彼女はアイドル的存在であり、雨の中の囲み取材は、会場に入れない地元メディアなどからの取材だった。

 8月16日、リオデジャネイロ五輪の卓球女子団体3位決定戦で、日本はシンガポールを3―1で下し、銅メダルに輝いた。勝利を喜ぶ福原愛(2016年 ロイター/Jeremy Lee)

    取材は体育館の壁際で行われていたが、屋根のひさしは短く、福原にも雨のしぶきがかかりそうだった。シングルスは終わったが、団体戦はまだ残っている。負けて早く帰りたいだろうに、身体が冷えるかもしれないだろうに、福原は同じような質問に、丁寧に繰り返し答えていた。

    マスコミというよりも、マスコミの後ろにいるファンを大事にしているのであろう。今回のリオ五輪でも、負けた後でも会場で、観客と写真を撮ったり、サインをしたり、最後まで、ファンサービスをする姿が映っていた。

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    幼いころから注目されると、選手としては大成しないとよく言われる。驕りや変なプライドが生まれるからだろうか。そういう選手はマスコミやファンにも横柄な態度を取りがちだ。しかし、福原は違った。現在27歳の福原は、日本卓球界の「顔」として、選手としての強さには関係のない仕事も真摯に引き受けてきた。

    そういう姿勢は選手としての福原をも強くしていったに違いない。リオ五輪、シングルスで初戦敗退した石川佳純(23)の分もと、戦う福原の目には、これまでにないような鋭さがあった。個人ではメダルに届かなかったが、団体戦では12歳年下の伊藤美誠(15)を引っ張るチームリーダーの姿を見せた。

    卓球の愛ちゃん。小さいころは、うまく球が打てずに悔し涙を流していた。あれから20数年。また彼女は泣いていた。しかし、いま流す涙はうれし涙だろう。まっすぐにまっすぐに流してきた涙は2大会連続の団体メダルとなって結実した。

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