[21日 ロイター] - ロシア外務省は21日、プーチン大統領が米国との新戦略兵器削減条約(新START)の履行を停止すると発表したにもかかわらず、ロシアは新STARTの下で配備可能な核弾頭数の制限を引き続き順守すると発表した。
プーチン大統領はこの日の議会演説で、新STARTの履行停止を表明したが、脱退はしないと強調した。
プーチン氏はその後、議会下院に履行停止に関する法案を提出。ウォロジン下院議長は声明で、22日に審議して直ちに採決し、上院に送る意向を示した。
上院国際委員会のカラシン委員長も同日に審議する可能性があると、国営ロシア通信(RIA)に述べた。
新STARTは両国の戦略核弾頭の配備数を1550発に、弾頭を運ぶ大陸間弾道ミサイル(ICBM)、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)、戦略爆撃機の配備数を700基に制限している。
ロシア外務省は声明で「核ミサイルの領域で十分な予測可能性と安定性を十分維持するために、ロシアは責任あるアプローチを取る意向だ。条約のライフサイクルの中で新START条約が規定する量的制限を厳格に順守し続ける」と表明。ICBMの発射実験を計画している場合には引き続き米国に通知するとした。
一方、ロシアが新STARTの履行停止を決定したのは米国が条項を順守しておらず、ロシアの国家安全保障を損なおうとしているためと非難。「米国の政策がロシアの国家安全保障を損なうことを目的としており、条約の序文に記された基本原則と理解に真っ向から反すると断言できるあらゆる理由がある」とした。
米国や他の核保有国の英国とフランス、 北大西洋条約機構(NATO)はプーチン大統領の決定を非難した。
ロシア側は13年前に署名された新START条約の基礎となった地政学的現実が変化したとし、条項は一方的に米国に有利なものとなり、米国は配備可能な核弾頭数の制限を破る方法を見いだしたと主張。
一方で、米国の対ロシア政策が修正されれば、新STARTの履行再開に異存はないと言及。「新STARTの履行停止に関する決定は覆すことが可能だ。そのためには、米政府が政治的な意思を示し、全般的な緊張緩和に向けて誠実に取り組む必要がある。国際的な安全保障と戦略的安定の強化に貢献するという点で、この条約の可能性はまだ尽きていないと確信している」とした。
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