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コラム

コラム:南ア財務相めぐる問題、新興国固有リスクの警鐘に

[ロンドン 25日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 南アフリカはつい最近まで、利回りを求める国際的な投資家にとって大助かりの存在だった。ところが今週、ゴーダン財務相が歳入庁長官時代の問題で警察の特別捜査部門への出頭命令を受けたことをきっかけに、通貨や債券の価格が急落している。

 8月25日、南アフリカはつい最近まで、利回りを求める国際的な投資家にとって大助かりの存在だった。ところが今週、ゴーダン財務相(写真)が過去の問題で出頭命令を受けたことをきっかけに、通貨や債券の価格が急落している。ヨハネスブルクで3月撮影(2016年 ロイター/Siphiwe Sibeko/File Photo)

新興国投資を再開した資産運用担当者にとっては、各国固有の経済的もしくは政治的リスクを見落としていないかどうかを点検する絶好の機会になった形だ。

過去数年間で新興国から資金を引き揚げた投資家はこのところ、回れ右をして足を戻している。バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチによると、新興国債券ファンドには過去7週間で202億ドルが流入。新興国株ファンドは7週連続の資金流入を記録し、総額は146億ドルと2014年9月以降で最大になった。MSCI新興国株指数が6月末以降に8%近く上がったのもうなずける。この間、MSCIの先進国株指数の上昇率は4.7%にとどまっている。

世界最大の資産運用会社ブラックロックを含めて、投資家が新興国株に夢中になるだけの理由はいくつかある。コモディティ価格とドル相場は安定し、投資環境に波乱要素は少なくなった。主要国の政策金利はより長期にわたって低水準に維持されるとの見通しも、市場のリスク志向を強めている。そこに潜む危険は、投資家がそれぞれの新興国が独自に抱える問題を無視してしまうことだ。

南アフリカでは政治的なリスクが定期的に高まる。ズマ大統領は過去において予測不能な振る舞いをしてきた。典型的なのは昨年、市場で評価が高かった当時のネネ財務相を更迭した一件だ。このため経験豊富な南アフリカの専門家といえども、ゴーダン氏が財務相の地位にとどまることができるとは断言できない。

新興国の固有リスクに関するもう1つの適切な例としては、トルコが挙げられる。同国では軍部の一部によるクーデター未遂事件とその後の政権側による粛清により、練りに練られた投資計画には狂いが生じた。政治的な捜査が行われると、外国人投資家にとって、その国で提供されるいくつかの投資上の選択で最適の判断をする際に必要なすべての情報を手に入れにくくなる。そしてこうした市場は、全員が一斉に動くことになれば参入するより撤退する方がずっと難しい。

当然ながら資産運用担当者の立場では、新興国投資すべてを回避するのは賢明ではないだろう。だが見境なく利回りを求めると、その先には転落が待っているというのはよくありがちな展開だ。

●背景となるニュース

*ゴーダン財務相が警察の特別捜査部門に出頭を命じられたと伝えられた23日以降、南アフリカの株価と債券相場は下落している。ゴーダン氏が歳入庁長官時代に違法な調査組織を立ち上げた疑いがあることが捜査の対象。ゴーダン氏が24日に出頭を拒否すると、資産価格の値下がりが加速した。

*通貨ランドの対ドル相場は23日から24日にかけて最大で5.8%下落し、24日には一時1ドル=14.27ランドと約1カ月ぶりの安値に沈んだ。

*南アフリカ国債の指標となる10年債利回りは、ゴーダン氏への出頭命令が明らかになった前後で8.48%から9%に上昇(価格は下落)した。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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