[ワシントン 23日 ロイター] - 米政府は23日、南アフリカのラマポーザ大統領が表明した土地改革計画について、無補償での土地収用を行えば同国は誤った道に進む恐れがあると警告した。
ラマポーザ大統領は今月1日、無補償での土地収用を可能にする憲法改正を与党が推し進めると表明した。同国では大半の土地を白人が所有しており、アパルトヘイト(人種隔離政策)終了から20年以上が経過してもなお社会の不平等が続く象徴となっている。
トランプ米大統領は22日、南アフリカでの「土地や農地の収用」や「農家殺害」の実態を詳しく調査するようポンペオ国務長官に指示したことをツイッターで明らかにし、南ア政府は23日、人種間の分断をあおっているとしてトランプ氏を非難した。
トランプ氏のツイートは、南アの土地問題と白人農家の殺害に焦点を当てた22日のフォックスニュースの報道を受けたものとみられる。
米国務省のナウアート報道官は23日、「無補償での土地収用を行えば南アは誤った道に進む恐れがある、というのが米国の立場だ」と説明した。
その上で「南アにとってこれは非常に重要な問題だとわれわれは考えており、引き続き平和的かつ透明性のある公の議論が行われることを求める」とした。
ラマポーザ大統領は23日付の英紙フィナンシャル・タイムズに掲載された寄稿で、土地改革計画について「土地の収奪でも私有財産への攻撃でもない」と強調した。大統領はこれまでに、改革によって経済成長や食糧安全保障に影響が及ぶことはないとも述べている。
与党アフリカ民族会議(ANC)は、改革計画の発表後、実際に「収用」された土地はないと説明した。
ラマポーザ大統領の報道官は、南ア外務省がプレトリアの米大使館からトランプ大統領の発言について明確な説明を求めると述べ、トランプ氏は「誤解している」と付け加えた。
関係筋がロイターに明らかにしたところによると、トランプ氏の投稿を巡り南ア外務省は米国のラッペン駐南ア代理公使を呼び出した。
南ア政府のツイッターの公式アカウントはトランプ氏の発言について、「われわれの国の分断を目指し、植民地時代の過去を思い起こさせる狭い見解を決して受け入れない」とした。
*内容を追加しました。
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