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桜井審議委員、日銀の3次緩和に限界ない:識者はこうみる

[東京 2日 ロイター] - 日銀の桜井真審議委員はロイターとの単独インタビューで、9月の金融政策決定会合で議論するマイナス金利付き量的・質的金融緩和(QQE)の総括的な検証に関し、現行のマネタリーベース目標を含めた量・質・金利の3つの次元による金融緩和政策に限界はないと述べ、今後も現行の枠組みのもとで緩和政策を継続していく考えを示した。市場関係者のコメントは以下のとおり。

 9月2日、日銀の桜井真審議委員はロイターとの単独インタビューで、9月の金融政策決定会合で議論するマイナス金利付き量的・質的金融緩和の総括的な検証に関し、現行のマネタリーベース目標を含めた量・質・金利の3つの次元による金融緩和政策に限界はないと述べた。1日撮影(2016年 ロイター/Toru Hanai)

<ニッセイ基礎研究所 シニアエコノミスト 上野剛志氏>

主流派と目される人物だけに、基本線は黒田東彦総裁の発言と平仄(ひょうそく)があっていて違和感はない。

イールドカーブのフラット化に問題意識を示した。フラット化するとマイナス金利の深掘りができなくなることへの問題意識が背景にあるのだろう。総括的な検証を踏まえて、国債の平均残存期間の短期化などの対応が考えられ、その蓋然性が高まったといえる。

イールドカーブを立てる際、起点が現在の水準のままでは長期金利や超長期金利が上がってしまい、円高に作用する可能性がある。ただ、マイナス金利政策の限界に対する市場の思惑が後退するようなら円安材料になり得る。

外債購入に否定的な立場を示したが、仮に日銀がサプライズをねらうなら外債購入は数少ない有力な選択肢となる。質的緩和の強化やマイナス金利の小幅な深掘りは可能かもしれないが、ポジティブサプライズにはなりにくい。

もっとも、仮に外債購入に踏み切ったとしても、円安効果は限られそうだ。いったんは円安になったとしても、米国からの批判への警戒感から継続性への疑問が広がったり、外債購入による米金利低下によって日米金利差が縮小したりすることが想定される。

<クレディ・アグリコル証券・チーフエコノミスト 尾形和彦氏>

桜井真日銀審議委員のインタビュー記事は、他の委員との整合性を欠く内容ではない。しかし、利回り曲線の平たん化に関して、より踏み込んだ発言があった。

桜井委員は、利回り曲線の平たん化を政策検証で議論するとし、平たん化の効果とコストを踏まえて政策の組み合わせを考えると述べた。利回りカーブが下方にシフトすれば、実体経済が刺激されて為替が円安方向に振れる可能性があるが、平たん化が行き過ぎると、金融機関の収益への悪影響を招き、金融システム不安を招きかねないことを懸念しているとみられる。

利回り曲線を傾斜化するとなると、国債買い入れの枠組みに調整余地が生じることになる。国債買い入れの柔軟化や長期国債買い入れの平均年限短期化といった対応が取られるのだろう。円債にとってスティープ化要因だ。

<松井証券 シニアマーケットアナリスト 窪田朋一郎氏>

桜井真日銀審議委員は、利回り曲線の急速なフラット化について予想以上と指摘し、利回り曲線の形状を変化させることも政策の選択肢と言及した。市場では、過度な利回り曲線のフラット化が金融機関に悪影響を与えているとの見方が強く、9月の日銀会合での政策検証で、利回り曲線をスティープ化させる方向にシフトしてほしいという市場期待に沿った発言内容となった。実際に政策が変更されれば金融株に追い風となるだろう。

一方、外債購入に関しては、先の浜田宏一内閣官房参与が示した日銀による外債購入も選択肢という見解を否定した格好となったが、そもそも市場では外債購入は相手国が存在するため物理的に難しいとみており、桜井審議委員の発言に違和感はない。

Reporting By Michio Kohno

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