January 1, 2018 / 11:59 PM / 16 days ago

コラム:韓国サムスン電子、自動車セクターで急成長も

Robyn Mak

[香港 28日 ロイター BREAKINGVIEWS] - ハイテク大手の韓国サムスン電子(005930.KS)は、柱となるスマートフォン事業と半導体事業の成長が鈍り、経営陣は朴槿恵(パク・クネ)前政権時代の贈収賄事件に揺れている。

しかし、ヤン・ソン最高戦略責任者は最近、自動車セクター強化の方針を明らかにしており、同社の豊富な資金力を考えれば、この分野で急成長を遂げることもあり得る。

半導体はサムスン電子の営業利益の60%強を占めるが、来年はその周期的な性格から市況が悪化しそうだとアナリストは警戒している。半面、自動車関連ハイテク市場は急成長しており、ジェフリーズは2030年に市場規模が6450億ドル強に膨らむと見込んでいる。バーンスタインの予測では、2030年には新車販売台数の95%を自動運転車が占める。

サムスン電子は2016年に80億ドルという大枚をはたいて米自動車部品メーカーのハーマンを買収した。ハーマンはインフォメーションとエンターテインメントを組み合わせた「インフォテイメント」関連の製品をフォルクスワーゲン(VW)(VOWG_p.DE)やゼネラル・モーターズ(GM)(GM.N)などの自動車メーカーに納めている。

ただ、これまでのところサムスン電子の自動運転車関連セクターへの関わりは、レーダーセンサーのメーカーであるOculiiへの小規模な資本参加など、踏み込みがかなり浅い。

これに対して米通信用半導体大手クアルコム(QCOM.O)はオランダの半導体大手NXPセミコンダクターズ(NXPI.O)に470億ドルで買収を提案し、米半導体大手インテル(INTC.O)はイスラエルの運転支援ソフト会社モービルアイMBLY.Nを150億ドルで買収。アップル(AAPL.O)、アルファベット(GOOGL.O)、ウーバーなども自動運転車セクターに大量の資金をつぎ込んでおり、GMは2019年までにロボタクシー事業向けに自動運転車を供給する計画だ。

しかしサムスン電子は差し引き460億ドル以上もの現金を保有しており、財務面ではこの分野の強化を図り、ライバルに追いつくだけの力を備えている。例えば買収したハーマンの自動車システム部門をてこ入れし、デルファイ(DLPH.N)と競合するのも一案。また半導体事業という強みをいかし、テスラ(TSLA.O)やトヨタ自動車(7203.T)を顧客に持つNXPやエヌビディア(NVDA.O)と競うという手もある。

あるいはサイバーセキュリティー分野に手を広げようというならば、ファイアアイ(FEYE.O)やシマンテック(SYMC.O)が買収候補となる。

こうした経営方針を実際に進めるにはいくつか障害がある。第1に、サムスン電子は贈賄罪に問われた事実上のトップの李在鎔(イ・ジェヨン)氏が8月に有罪判決を受け、複数の幹部が辞任するなど、経営体制が危機に見舞われている。第2に、企業買収を伴わない自力での事業拡大には時間がかかるが、同社は大型M&Aを行った経験がない。ハーマン買収が過去最大規模だ。

つまり新たな経営陣は迅速に同社のかじを握る必要があるということだ。既に多くのライバルが先行しており、競争に加わるには経営の加速が不可欠だ。

    ●背景となるニュース

    ・サムスン電子のヤン・ソン最高戦略責任者は1日、自動車やデジタル医療、産業用オートメーションなどの市場に事業分野を広げたいと述べた。ヘルシンキで開催された新興企業関連イベントに出席の傍らロイターの取材に応じた。

    ・ソン氏は、昨年に米自動車部品メーカーのハーマンを80億ドルで買収し、サムスン電子は大型の事業買収を模索する自信を手に入れたと述べた。

    ・バースタインのアナリストチームによると、2030年には自動運転車の販売台数は年間1億0600万台に達し、新車市場でのシェアは95%に達する見込み。

    *筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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