for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up
コラム

コラム:サムスン電子の李健熙会長が残した混乱の「企業統治」

[香港 25日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 韓国・サムスン電子005930.KSの李健熙会長は、見事ではあるが深く傷ついた帝国を残した。父親の事業を引き継ぎ、スマートフォンや半導体を製造する3550億ドル規模の巨大企業へと発展させ、「韓国株式会社」に残した功績は今後も残るだろう。だが、その78年間の生涯にはスキャンダルもまた根深く、一族による経営支配を脅かし続けている。

10月25日、韓国・サムスン電子の李健熙会長(写真)は、見事ではあるが深く傷ついた帝国を残した。米ネバダ州ラスベガスで2012年1月撮影(2020年 ロイター/Steve Marcus)

李氏は20年余り前、品質の重要性を強調するため、集められた従業員の前で不良品の出た携帯電話とファックス機15万台を燃やした。これは、サムスンを米ゼネラル・エレクトリックGE.Nやソニー6758.Tと並ぶ世界ブランドへと作り変えようとする李氏の飽くなき追求を体現する炎だった。この逸話はまた、長時間にわたる会議や「妻子を除き全てを変えよう」の方針で知られる情け容赦ない同氏の経営スタイルを象徴してもいる。

サムスンを世界ブランドにすることに成功した李氏はその後、贈賄や脱税で起訴され、2008年に退任。息子が安く株を買うのを助けたとの疑惑も出ていた。

サムスングループはこの頃までに、ハイテクから保険、造船その他の事業へと拡大。李氏がメモリーチップと携帯電話機に投資したことは物議を醸したが、後に米インテルINTC.Oや米アップルAAPL.Oの牙城を崩すための布石となった。

李氏の死去によって、サムスンの運営が大きく変わることはないだろう。同氏は14年に急性心筋梗塞で倒れて以来、何もできなくなっていた。現在は息子の李在鎔副会長が事実上、経営を仕切り、スマートカーや次世代通信規格「5G」、バイオ技術などへの新規投資を指揮している。

李在鎔氏も法的な問題に巻き込まれている。当時の朴槿恵大統領に賄賂を贈った疑惑などで執行猶予付き懲役刑を受け釈放され、その後も公判が続く。釈放の2年後には子会社2社の合併を巡って再び裁判になっている。15年のこの合併は、同氏のサムスン電子への経営支配力強化を助けるとして批判を浴びた。

問題の核心は、数十もの関連会社による複雑な株式の持ち合い構造にある。これにより、李氏一族は少数株を直接保有するだけで大きな支配権を行使することができる。

例えば、死去した李氏のサムスン電子の株式保有率はわずか4.2%、息子の李氏は0.7%に過ぎない。多くの関連企業で取締役会にすら席を持たない一族の子孫が、株式の相続もせずに経営を率いることができるとは考えにくい。ただし、相続には重税が課されることになる。

規制当局はまた、子会社間の不明朗な取引に新たな規制を課すことも検討中だ。

李健熙氏は信じられないほどの事業的成功を収めた半面、混乱した企業統治も後世に残した。

●背景となるニュース

*サムスン電子の李健熙会長が25日、78歳で死去した。6年以上前に急性心筋梗塞を煩い、入院していた。サムスングループは具体的な死因を明らかにしておらず、同氏が遺書を残したかどうかについてもコメントしていない。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにロイターのコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up