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コラム:エリオット、サムスン電子への影響力は健在か
2016年10月6日 / 04:56 / 1年後

コラム:エリオット、サムスン電子への影響力は健在か

[ニューヨーク 5日 ロイター BREAKINGVIEWS] - アクティビスト(物言う投資家)のエリオット・マネジメントの韓国サムスン電子(005930.KS)に対する影響力は、まだ消えていないかもしれない。

 10月5日、アクティビスト(物言う投資家)のエリオット・マネジメントの韓国サムスン電子に対する影響力は、まだ消えていないかもしれない。写真はエリオットを率いるポール・シンガー氏。米ネバダ州で2012年5月撮影(2016年 ロイター/Steve Marcus)

今回エリオットは270億ドルの特別配当支払いや、会社の分割、フリーキャッシュフローの最低75%を還元する約束、外部取締役起用といった要求を並べた。アジアでは外国のアクティビストがはかばかしい成果を収めないケースがままある。だがエリオットはこの夏、サムスングループを率いる李一族との闘いで勝利にあと一歩のところまで到達した。

サムスンは、押しの強いアクティビストにとっては典型的な標的と言える。トムソン・ロイターがまとめた向こう12カ月の利益見通しに基づくと、株価は同業者のバスケットに対して40%も割安となっている。主力製品の1つ、スマートフォンの「ギャラクシーノート7」はバッテリーの出火事故のために回収を余儀なくされるという問題に直面。さらにグループに君臨しながら現在病床にある李健熙(イ・ゴンヒ)会長が死去すれば、一族は多額の相続税支払いを迫られる可能性があり、経営に集中できなくなるかもしれない。

エリオットは、サムスン電子を上場持ち株会社と上場事業会社に分割する提案が、李一族を味方にできると期待する。その後エリオットが望ましいと考えているのは、持ち株会社が事業会社の株式買い付けを行い、現在グループ全体の持ち株会社的な地位にあるサムスンC&T(サムスン物産)(028260.KS)と合併する展開だ。一方李一族はこうした過程を通じて事業会社の支配を強化しながら、税制面である程度有利な状況も得られる可能性がある。

そうなると外部の株主にとって魅力を持つことになるとみられるエリオットの財務上、企業統治上の要求は受け入れやすくなるだろう。このやり方は、エリオットが夏に反対したサムスン物産と当時の事実上のグループ持ち株会社だった第一毛織の合併とは様相が異なる。サムスン物産と第一毛織の合併は、株主総会で必要とされた3分の2の承認をかろうじて獲得し、サムスン物産がサムスン電子株を保有していたため、李一族のサムスン電子の支配力が高まった。

もちろん李一族がエリオットの要求をにべもなく拒絶したり、威勢の良いナショナリズムが事態に影響を及ぼすこともあり得る。それでもサムスン側が少なくとも提案をまじめに考えてみる可能性は予想外に大きいのではないだろうか。

●背景となるニュース

*エリオット・マネジメントは5日、サムスン電子の経営陣に書簡を送り、企業構造の見直しと株主への利益還元を要求した。

*エリオットが求めているのは、サムスン電子の上場持ち株会社と上場事業会社への分割。その後持ち株会社が事業会社の株式買い付けを実施し、最終的には持ち株会社とサムスン物産が株式交換により合併すべきだという。

*エリオットは、サムスン電子が特別配当の形で30兆ウォン(270億ドル)を株主に還元し、投資家にフリーキャッシュフローの75%を支払うこと、さらに持ち株会社と事業会社双方に3人の外部取締役を起用することも提案した。

*サムスン物産の株主は7月17日、グループを率いる李氏一族の事実上の持ち株会社である第一毛織との合併を僅差で承認。エリオットはこれに反対していた。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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