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アングル:欧州5Gでファーウェイの「穴埋め」狙う韓国サムスン

[マドリード/ストックホルム/パリ 17日 ロイター] - 欧州の通信会社が、第5世代(5G)移動通信システムを納入する中国の華為技術(ファーウェイ)の穴を埋める競争が繰り広げられる中で、これまで久しく下馬評にもなかった韓国サムスン電子の採用を検討している。ただ、交渉の初期段階からうかがう限り、勝負はなお難しそうだ。

12月17日、 欧州の通信会社が、第5世代(5G)移動通信システムを納入する中国の華為技術(ファーウェイ)の穴を埋める競争が繰り広げられる中で、これまで久しく下馬評にもなかった韓国サムスン電子の採用を検討している。写真はサムスンのロゴ。ソウルで10月撮影(2020年 ロイター/Kim Hong-Ji)

複数の業界幹部によると、サムスン電子が意表を突いて9月に米通信大手ベライゾンから60億ドルの契約を獲得した後、欧州通信大手のスペインのテレフォニカ、フランスのオレンジはそれぞれサムスンと協議した。

ファーウェイの機器は欧州の4G網の半分近くを占める。これはそのまま、今後の5G展開の基盤になる。フィンランドのノキア、スウェーデンのエリクソンの既存の4G設備にとっても事情は同じだ。

一方で、欧州の通信会社は米政府から、ファーウェイを5Gのシステムから締め出すよう圧力をかけられている。5Gシステムは将来、遠隔医療から工場自動化まであらゆるサービスを支える可能性がある。米政府はファーウェイが情報を盗み出して中国政府に渡すリスクがあると主張している。

サムスンの問題の一つは、ファーウェイが構築した4Gのネットワークとサムスン製品の互換性がないのではないか、単にアップグレードするのでなく、既存の製品を取り外してサムスン製品に置き換えるには莫大なコストがかかるのではないかと通信会社が懸念していることだ。

テレフォニカのエンリケ・ブランコ最高技術責任者(CTO)は「サムスンは徹底的に競争力を高める必要がある」と話す。「サムスンにとっては既存の4Gを外して置き換える分、余計なコストになる」とし、その分だけ競争力が落ちると指摘する。

サムスンの広報担当者は、自社機器と既存の通信インフラの互換性がないというのは認識が間違っているとしたが、具体的な理由は説明しなかった。同氏は欧州のどの市場に参入しようとしているのか明示するのも拒んだ。ただ、アジアや米州での参入の実績を欧州でも実現できたらいいと表明した。

米ベライゾンは国内の広大な通信網の多様な部分でサムスンを採用している。最高製品開発責任者のニコラ・パルマ-氏はロイターに「サムスン製品で幾つか実験し、少々の市場でも機能を試してみたところ、申し分なかった」と説明した。

<ファーウェイの代役になれるか>

フランスのオレンジの最高技術・イノベーション責任者のミシェル・トラビア氏も、欧州でサムスン採用を検討していると話す。同社が欧州でこれから通信機器メーカーを選ぶ場所はポーランドとルーマニアだ。

同氏は「サムスンは4Gでも5Gでもますます信頼できるようになっている」と評価する。しかし、オレンジはフランスの5Gではサムスンとファーウェイの両方を試して、結局ノキアとエリクソンを選んだとも明かした。

欧州の通信会社は既に域内の光通信網構築に総額数十億ユーロを投じている。5Gはさらに資金負担を増やすことになる。業界団体のGSMAによると、世界全体では向こう5年で総額1兆1400億ドルが通信設備に投資されるが、その78%が5G投資の見込み。

何らかの納入業者の製品を取り換えることが必要になれば、値段は張る。ベル・カナダが今年、ファーウェイ製品の撤去を決断した際、アナリストは4G製品の入れ替え費用が数年間で約2億ドルになると推計した。

欧州の通信大手アルティス・ヨーロッパ傘下のフランスのSFRも、新規に導入する5G機器を既存のシステム網に適合させる必要があると認める。同社に近い筋によると、サムスンも将来的に選択肢になる可能性があるという。

欧州の通信最大手ドイツテレコムは、同社の情報筋や内部文書によれば、サムスンが短期的に競争力を持てるか、依然として懐疑的だ。

アナリストらも、サムスンが欧州でノキアやエリクソンと競っていくにはまだ努力が必要だとみる。

OPマーケッツ・ヘルシンキのアナリスト、キモ・ステンバル氏は「サムスンがドイツテレコムないしテレフォニカから契約を取るなら、インフラを構築した後にサポートもしていく大規模な組織作りが必要になる。欧州の通信会社にただ提案を送り、当地でネットワーク構築を始めるというだけではだめだ」と話す。

サムスンの広報担当者は、同社には欧州に強力なネットワーク部隊と研究拠点があると主張する。しかしステンバル氏によると、大規模案件というものは通常、通信会社との関係を構築しネットワークを試験していく上で、前もって何年もかけて足場を固めていくことが前提条件になる。

テレフォニカのブランコ氏は「われわれ通信会社は通信能力を維持していく必要がある。これが損なわれるわけにはいかない」と説明した。

(Isla Binnie, Supantha Mukherjee, Mathieu Rosemain記者)

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