[ドバイ/ロンドン 19日 ロイター] - サウジアラビアは19日、国際金融資本市場で初の国債発行を行い、175億ドルを調達した。発行規模は新興国としては過去最大。関係筋によると、需要は670億ドルと発行額の約4倍に達した。
今回発行された国債はドル建てで、5年(55億ドル)、10年(55億ドル)、30年(65億ドル)の3トランシェで構成。プライシングは5年債が米国債+135ベーシスポイント(bp)、10年債が同+165bp、30年債が同+210bpとなっていた。
事前予想を上回る需要が見られたことの背景には世界的な超低金利環境があると見られているが、世界最大の原油輸出国であるサウジアラビアが原油安が続く環境に耐え、将来的には原油依存度を低下させることができると投資家が確信したことも反映していると見られている。
ロンドンに本拠を置くキャピタル・エコノミクスは今回のドル建て債発行でサウジアラビアは経常赤字のほぼ全額をカバーできると指摘。これにより同国の外貨準備が向こう数年間は大きく目減りすることはないとし、「通貨リヤルが切り下げられるとの観測は後退する」との見方を示した。
また、今回の国債発行により同国の債務の対国内総生産(GDP)比率は上昇するものの、同比率はそもそも低水準にあるため懸念にはあたらないとの見方も示した。
フランクリン・テンプルトンの最高投資責任者(CIO)、モヒエディン・クロンフォル氏は、今回の国債発行でサウジアラビアの金融市場は活気付くと予想。さらに「国際的な投資家が地域全体に長期的なアプローチをとると見られるため、湾岸協力会議(GCC)加盟国の債券市場全体にプラスの波及効果が及ぶ」との見方を示した。
新興国による国債発行ではアルゼンチンが4月に発行した165億ドルがこれまでの過去最大だった。
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