[ロンドン 16日 ロイター] - サウジアラビアの主要石油施設が14日に攻撃され同国の石油日量生産能力の約半分が停止した影響について、アナリストらは16日、同国は当面石油の輸出を継続できると予想しつつも、生産停止が長期化すれば世界の石油供給を揺るがす恐れがあるとの見方を示した。
業界関係者は15日、ロイターに対し、サウジ政府は輸出用の生産減少を在庫の放出で補う計画だと話した。
サウジは国内の施設に加え、ロッテルダムやエジプトのシディ・ケリル、沖縄などの戦略的拠点に石油を蓄えている。
共同石油統計イニシアチブ(JODI)の最新統計によると、サウジの原油在庫は今年6月時点で約1億9000万バレル、石油製品の在庫は9700万バレルだった。
バークレイズは「これらの在庫は同国の原油総輸出および石油製品の純輸出の約35日分に相当する。これを日量平均にすると、2019年上半期の輸出実績は約820万バレルだった」と指摘。この在庫が衝撃を吸収するため、サウジの輸出が大きな影響を受ける公算は小さいと述べた。
だが石油生産の停止が長期にわたって続けば、状況が変わる可能性もある。
リスタッド・エナジーの石油市場調査部門を率いるBjornar Tonhaugen氏は「攻撃の被害で日量570万バレルの生産が停止している現状が長引くシナリオでは、例えば10日間かそれ以上長期化するなら、サウジアラビア産原油の市場へのフローを巡る状況は、当社の見解では重大な局面を迎える。世界的にこれに置き換わる量を輸出するのは限界があるためだ」と述べた。
国際エネルギー機関(IEA)は15日、世界の石油市場は現時点で「豊富な商業在庫で十分な供給が確保されている」との見方を示した。
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