December 12, 2019 / 3:53 AM / 2 months ago

アングル:英総選挙、6つのシナリオ 市場はどう反応するか

[ロンドン 11日 ロイター] - 12日投開票の英総選挙は、欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)への影響と、与野党が両極端の政策案を示す中での選択という意味で、数十年に一度の重要な選挙になるとされている。このため、短期的にも長期的にもポンド、英国債、英国株に大きな影響が及びそうだ。

市場はこれまで、ジョンソン首相率いる与党保守党が単独過半数を制する可能性を織り込み、ポンドGBP=が対ドルで7カ月ぶりの高水準を付け、英国株.FTMCも上昇するなど好反応を見せていた。

ただ、10日発表の世論調査では野党労働党が追い上げて2大政党の差が縮まり、市場に動揺が広がった。

選挙結果のシナリオごとに、予想される金融市場の反応をまとめた。

◎与党保守党が単独過半数

このシナリオが最も市場に「優しい」と見なされている。単独過半数を得れば、首相は既にEUと交渉済みの案にのっとってEU離脱を実行するだろう。

この案は、英国全体がEUの関税同盟に残ることを排除しているため、比較的厳しい内容だが、短期的には「合意なき離脱」が回避され不透明感が取り除かれる。

このシナリオでは、英国内を中心に事業展開する建設企業や、ロイズ(LLOY.L)、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)(RBS.L)などの国内銀行の株価がすぐに好反応を示しそうだ。

ポンドは、EU離脱の是非を問う国民投票前の1ポンド=1.50ドル台を回復することはなさそうだが、1.35ドル以上(現在は1.32ドル程度)に上昇する可能性はある。

ただ、ポンドが上昇すれば医薬品のグラクソ・スミスクライン(GSK.L)や資源のグレンコア(GLEN.L)など、国際展開する英企業の株価には重しとなる。

ジョンソン政権は減税と教育、警察、医療分野での財政支出拡大を通じ、過去10年間の緊縮財政に終わりを告げると約束しているため、社債と国債の利回りも上昇する可能性がある。

◎ハングパーラメント

与野党共に過半数を確保できないハングパーラメント(宙ぶらりん議会)になれば、間違いなく市場にとってマイナスだ。EU離脱を巡る不透明感と、第2次大戦以来で最悪の政治危機が再燃するからだ。

ただ、次期政権の顔ぶれと、正式な連立を組めるか否かは具体的な開票結果によって異なってくる。市場への影響を含め、数多くのシナリオが想定される。

いずれの場合でも、小売りなどクリスマス商戦が業績の鍵を握る企業すべてが大きな影響を受けるかもしれない。

◎保守党主導の連立政権

保守党が単独過半数を得られない場合、ジョンソン首相が1月31日までのEU離脱という約束を実行するには、野党同士が分裂するか、保守党が野党の協力を得るかして、議会を通過させる必要がある。

このシナリオは不透明感が強いため、ポンドと英国内型企業の株はほぼ確実に選挙公布前の水準まで下がるだろう。

保守党の過半数がごくわずかにとどまった場合も、同党内のEU懐疑派数人の造反によって首相の離脱案が阻止されたり、来年中にEUとの貿易協定締結を目指す首相の計画に支障を来す可能性が出てくる。

◎労働党が単独過半数

コービン党首率いる野党労働党が単独過半数を得る確率を、市場は5%未満しか織り込んでいない。従って、予想外の勝利となれば英国株にショックが広がるだろう。労働党政権の方がEU離脱に関する姿勢は穏健なため将来的に影響が相殺される可能性はあるが、それでもショックは大きい。

穏健なブレグジットと国民投票の再実施という労働党案はある意味で、ポンドとブレグジット敏感株の支援材料と言えるかもしれない。

しかし親EU派の投資家の間でさえ、大規模な国有化などコービン氏の過激な左派政策よりは、合意に基づくブレグジットの方が経済への打撃は小さいとの声は珍しくない。

従って、たとえ合意なき離脱の可能性が排除され、国民投票の再実施が視野に入ったとしても、労働党の勝利は英国株を急落させるだろう。

コービン氏は水道、ガス、電力、鉄道、郵便などの国有化を約束しているため、これらセクターの株価には「コービン・リスクプレミアム」が乗っている。

コービン氏は多額の国防支出にも消極的な姿勢を示しているため、防衛関連企業の株にも悪影響が及ぶだろう。

税制改革により高所得者の可処分所得が減れば、高級品小売り企業や生命保険会社.FTNMX8570の株も圧迫される可能性がある。

規制強化と増税により、英金融セクター全般も打撃を受けそうだが、HSBC(HSBA.L)のような国際的な銀行は衝撃をかわしやすいだろう。

◎労働党、自民党などが幅広い連立

保守党が過半数を大幅に割り込み、実質的に政権を樹立できない場合、労働党と、反離脱派の自由民主党およびスコットランド民主党(SNP)が連立を試みる可能性がある。場合によっては、緑の党などEU残留を支持する少数政党がこれに加わるかもしれない。

ポンドはいったん失望で売られた後、穏健なブレグジットと国民投票再実施の約束を好感する可能性がある。

また、自由民主党が労働党の過激な政策のお目付役を果たすため、関連する市場への影響が和らぐとの見方も多い。

◎スコットランド民主党が黒幕に

 12日投開票の英総選挙は、EU離脱への影響と与野党が両極端の政策案を示す中での選択という意味で、数十年に一度の重要な選挙になるとされている。写真はポンド紙幣。バンコクで2010年10月撮影(2019年 ロイター/Sukree Sukplang)

EU残留を望む有権者の方が多い中、断固とした反ブレグジット姿勢を示すSNPは選挙で健闘する見通しだ。

仮にSNPが連立の条件として、スコットランド独立の是非を問う住民投票の2020年中の再実施への約束を求めれば、ポンドと、スコットランドに拠点を置くRBSなどの株価は売り圧力を受ける可能性がある。

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