[26日 ロイター] - インドネシアのコモド島で、世界最大のトカゲであるコモドオオトカゲを守るため当局が島を閉鎖し、島民約2000人を強制移住させると発表した。だが最終的には、島を一大高級リゾート地に生まれ変わらせると説明しており、本当にトカゲの保護が目的なのか、いぶかる声があがっている。
コモド島では最近、観光客が急増し、最大3メートルまで成長するコモドオオトカゲの生息地が被害を受けている。そのため当局は、この希少生物を保護する抜本的対策のため、今回の大胆な手段を発表した。
島では反対の声が上がっており、島民のダリアさんは「引越しなどしたくない。父の墓はこの島にある。私たちがいなくなったら、墓は誰が守るのか」と話した。
現地では観光業が盛んになる一方、多くの農民は公園に土地を奪われ、観光関連の仕事に職を変えざるを得なかった。ところが、その仕事さえも奪われようとしている。
工芸品を作る男性は「私たちはお土産を売って生計を立てている。ここを閉鎖されたらどうすればよいのか。仕事はこれしかない」と当惑する。
政府は最終的に島を高級リゾート地にする計画だが、人々の理解が得られているとは言えないようだ。フランスからの旅行者は「もし観光がトカゲや島民に悪影響を与えており、そのために閉鎖するというなら良いと思う。だがそれ以外の目的、例えばリゾートや何か人工的なものを建てるためなら、良いとは言えない」と語った。
計画に反対する人々は、うまい汁を吸えるのは大手の旅行会社だけで、長年この島で暮らしてきた人々にはほとんどお金が落ちることはないと批判する。だがいまのところ、当局は計画を変えていない。
島は来年1月から1年間閉鎖される予定だ。
私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」