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コラム

コラム:国際海運運賃の上昇長びくか、インフレ圧力は長期化も

[ロンドン 26日 ロイター BREAKINGVIEWS] - インフレ圧力の「嵐」が今、海から吹き付けようとしている。サプライチェーンの混乱で海運コストの大幅上昇が抜き差しならなくなっており、これが多くの財価格の上昇圧力につながっている。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長はインフレの潮流が引くのを見守る構えだが、実際にそうなるには予想よりも長く待たねばならないかもしれない。

 5月26日、インフレ圧力の「嵐」が今、海から吹き付けようとしている。ロサンゼルス港で4月撮影(2021年 ロイター/Lucy Nicholson)

12種類の国際貿易航路の運賃を反映するフレイトス・バルチック・コンテナ指数はこの1年で3倍以上になっている。要因は幾つも重なっている。世界的なコロナ禍で昨年、港湾や海上輸送は動きが中断。次にモノの需要が急増した。これは特に政府が総額8500億ドル超のコロナ対策支出に動いた米国で顕著になった。今年に入ると、スエズ運河のコンテナ船座礁事故が事態をさらに悪化させた。その結果、貨物船は港湾に待機させられ、コンテナはニーズと違う場所にあり、貨物は求められているのとは違う場所に到着したりしている。

国際海上輸送運賃はサプライチェーンの流れに沿って転嫁されていく。需要が強いときには特に転嫁が進む。製品の最終コスト全体で見るとこれはたいした割合にはならないものだが、コンテナ船コストの急騰がここまで大きいと話は違ってくる。

欧州中央銀行(ECB)の最近の推計によると、コンテナ船チャーター市場の運賃指数HARPEXが前年比で50%上昇すると、その1年後に米個人消費支出(PCE)の物価指数は前年比で最大0.25%上がる。この運賃指数は今年に入ってこれまでに2倍近い値上がりになっている。

家計が政府のコロナ支援金を使い切ったり、貯蓄を迫られたりすれば、需要は確かに、より通常の水準に戻るだろう。港湾会社や海運企業は滞留分の解消に努めており、最終的には供給の混乱も海運運賃も落ち着いていく。しかし時間はかかるだろう。

デンマークのAPモラー・マースクは世界のコンテナ船の5隻に1隻を握る世界最大手だが、先月、利益見通しを大きく上方修正。理由として、現在の流れが今年第4・四半期まで続くとの予想を示した。

購買担当者調査から見るに、これは受注に対して在庫のかなりの低水準が続いているためかもしれない。企業が在庫を再び積み増すには時間がかかる。海運大手各社も、景気回復が本物でないのに新しい船の注文を早まってしまった過去の失敗を繰り返さないよう警戒している。

しかし、サプライチェーンの正常化に時間がかかればかかるほど、インフレ上昇が落ち着きを取り戻すまでの時間も長引くことになる。

●背景となるニュース

*国際12航路の40フィート級コンテナ運賃を反映するフレイトス・バルチック・コンテナ指数は25日が5099.37で、年初来で51%上昇した。昨年5月25日は1455.74だった。

*デンマークのコンテナ船世界最大手APモラー・マースクは5日、運賃の大幅上昇を指摘。需要の強さに加え、世界のサプライチェーンのボトルネックや不十分な輸送収容力、輸送設備の不足を挙げた。

*マースクのセーレン・スコウ最高経営責任者(CEO)は同社の業績について、今年強いスタートを切った流れが第4・四半期まで続くとみられるとして、利益予想を大きく上方修正したと明らかにした。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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