[東京 23日 ロイター] - 金融庁は、信金大手の西武信用金庫(東京都中野区)に対し、24日にも銀行法に基づき業務改善命令を出す。昨年秋から実施している立ち入り検査で反社会的勢力と疑われる先への不適切な融資が発覚するなど、経営管理態勢に重大な問題があると判断した。経営責任を明確化するため、落合寛司理事長は辞任する。複数の関係筋が23日、明らかにした。
複数の関係筋によると、金融庁による立ち入り検査では、反社会的勢力と疑われる先と関わりのある企業に対する複数の融資が発覚した。
取引には一部の役員が関与していた。また、同信金が積極的に進めてきた投資用不動産向け融資でも、職員らの関与は認められなかったが、不動産業者の書類改ざんなどが見抜けず、甘い審査が行われていた実態も判明した。
金融庁では、こられの不適切な融資が実行されていたにもかかわらず、経営陣の認識が乏しく、適切な管理が行われていなかった点を問題視。ガバナンス(組織統治)の不備を含めて業務改善命令を出し、経営の建て直しを促す必要があると判断した。
こうした事態の責任をとって、同信金では落合理事長をはじめとした複数の役員が辞任する見通し。後任には同信金役員の昇格が有力視されている。
西武信金は預金量が2兆円を超える大手の信用金庫。落合理事長のもとで、積極的な融資活動を展開し、飛躍的に業績を伸ばしてきた。
編集:田巻一彦
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